第4話 看護師のイメージとダメンズ捕まえ放題
居酒屋の昼飲みが進むにつれ、会話のボルテージが上がってきた。三杯目のビールが全員の手元に運ばれると、彩香がジョッキを片手に話題を切り出す。
「ねえ、最近さ、患者さんの家族から『看護師さん、優しそう』って言われることが多くて、ちょっと疲れちゃうんだよね。」
「わかる!それ、めちゃくちゃプレッシャーよね。『白衣の天使』って言われるけど、実際、患者さんの命預かってるし、癒し系なんて全然無理だから。」
惠も大きく同意する。
「ほんとそれ。看護師って、みんな『優しそう』って思ってるけど、夜勤でクタクタでしょ。むしろ、どっちかっていうと冷静に対応するのが求められるし、精神的にしんどいよ。」
美里もうんざりだと言うように首を振りながら話す。
彩香がビールを一気に飲み干すと、少し肩の力を抜いて言う。
「しかも、合コン行くとさ、『看護師だから癒してくれそう』って勝手に思われて、結局ダメンズ捕まえ放題になっちゃうんだよね。『僕、疲れてるんですけど…』とか言う男、ほんと無理。」
「ああ、それ!『看護師なら、俺を癒してくれるだろう』って感じで甘えてくるやつね。絶対に無理。私たちが癒してるのは患者さんだけだっつーの。」
惠も怒りをあらわにし、美里も同意するように話を続ける。
「おまけに、看護師ってだけで、みんな『優しそう』とか『お世話してくれそう』って思い込んでくるけど、実際は現場では冷徹よね。患者さんが『痛い』って言っても、『痛いって言っても、注射しないと治らないんですよ』って言わなきゃいけないんだから。」
彩香が笑いながら続ける。
「それで、合コンのときに『こんなに優しそうなのに』って、私が見事にダメンズ引き寄せてるパターンだよ。結局、向こうからグチグチ言われて、私がずっと話聞く羽目になってる。」
「わかる!ほんと、合コンってさ、男性が『看護師さんなら、俺のこと癒してくれる』って思ってるけど、こっちからするとただの疲れた男を世話しなきゃいけないっていう地獄。」
惠はダンッとグラスをテーブルに叩きつけながら続ける。
「それでいて、最終的に『やっぱり看護師さんって、みんな優しいんだな』って、私たちが救ってあげたみたいに思われるし。いや、私たち、そういう仕事してないから!」
美里も同じように怒りをみせる。
彩香がうなずきながら、グラスを持ち上げる。
「ほんと、それ!看護師って職業、やたら勘違いされる。でも、現実はただの職場で、患者さんにどう対応するかが一番大事だから。」
惠もグラスを持ち上げながら話す。
「結局、私たちは仕事でめっちゃ疲れてるからね。そんな時に癒し系なんて無理だよ。私たちが癒すのは患者さんだけだって!」
美里もグラスを持ち上げる。
「まったく、その通り。あー、でもこうやって愚痴ると少しスッキリするね!」
「ほんと、男性からしたら『看護師さん』ってだけで勝手にハードル上げられて、こっちがついていけないよな。」
と翔太も続ける。
「まあ、でも今日は愚痴ってスッキリしたし、そろそろ帰ろうか。」
と彩香の号令でみんながジョッキを掲げると、乾杯の声が響き、飲み会は終わりを迎える。
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