ダメダメ御曹司だった俺が異世界に飛ばされたら、なぜかモテている件

ゴブリンとの遭遇

　朝の光が差し込む中、俺たちは森の外れにあるというゴブリンの巣を目指して出発した。

　道中は静かで、木々の間に差し込む光が神秘的な雰囲気を醸し出している。しかし、しばらく歩くうちに、森は次第に暗くなり、道も険しくなってきた。

「この辺りだと思うんだけど…。」

　俺が地図を確認しながら言うと、リリーが周囲を見回しながら不安そうな表情を浮かべた。

「本当にゴブリンがいるのかな…。怖いな。」

　さらに進むうちに、足元の茂みがわずかに揺れる音が聞こえてきた。

「気をつけろ！」

　俺が声を上げると、茂みから何かが飛び出してきた。ゴブリンの一体が突然現れたのだ。小柄で緑色の皮膚を持ち、鋭い爪と牙が特徴的なその姿に、俺たちは驚きの声を上げる。

「ゴブリンだ！」

　リリーが叫び、急いでハルバードを構える。しかし、ゴブリンは素早く、すぐに俺たちに向かって突進してきた。俺たちは慌てて武器を構えるが、相手の動きについていけない。

「リリー、モモ、守れ！」

　俺が叫ぶと、リリーはハルバードを振るうが、その振り幅が大きすぎてバランスを崩してしまう。モモは盾を構えようとするが、ゴブリンの素早さに翻弄されている。

　俺は剣を振り下ろそうとしたが、ゴブリンは軽く跳ねて避ける。焦りと緊張で手が震え、剣が空を切るばかりだった。

「くそっ、当たらない…！」

　周囲の木々の間に広がるゴブリンの動きはまるで乱舞しているようで、俺たちはただ追いかけるだけで精一杯だった。

　リリーもモモもそれぞれに奮闘しているが、なかなかゴブリンに一撃を与えることができない。

「みんな、落ち着け！まずはゴブリンの動きを見極めるんだ！」

俺が叫びながら、一旦後退して冷静さを取り戻そうとする。

　ゴブリンがさらに数体現れ、状況はますます厳しくなった。

　リリーとモモもそれぞれ必死に戦っていたが、未経験のために動きがバラバラになってしまっている。

　その時、俺はふと、柔道の技術を思い出した。剣を振り回すだけじゃダメだ。相手の動きを読み、タイミングを見計らうことが重要だ。

「下がろう、ゴブリンの動きを見て、次の一手を考えるんだ！」