エリスの厚意

 エリス姫の目がさらに輝き、俺たちに対する好奇心が強まっていくのがわかった。その視線はまるで宝物を見つけた時のようで、俺たちの運命が彼女の好奇心次第なのをひしひしと感じる。


「うーん、どうしようかしらね…」


 エリス姫は少し考え込みながら、俺たちをじっと見つめた。彼女の表情には興味津々とした笑みが浮かんでおり、その美しさと相まって、どこか優雅な気品が漂っていた。


「あなたたち面白いわ。お話ししてみたいけれど…」エリス姫がふっと口元に笑みを浮かべた。「でも、今はどうしても警備隊長に従わなければならないのよね。」


 明らかに絶望の表情を浮かべたであろう俺たちに彼女がくすくすと笑う。


「でも、あんまりにも可哀想だし…」エリス姫は小さくため息をついた。「あなたたちが本当に異世界から来たのなら、お話しして見たいから…」

「え?」


 俺は驚いた。まさか、姫君が俺たちを助けてくれるとは思ってもみなかった。


「よわかったわ。こうしましょう。」エリス姫がにっこり頷く。「私が一度、あなたたちの話を聞いて、どうすればいいか考えるわ。今すぐに牢屋に入れてしまうのは可哀想だし、まずはあなたたちと話してみたい。」


 エリス姫の言葉に、俺たちは安堵の息を漏らした。これで少しでも希望が見えたような気がする。


「姫様、それは…このような不審者たちと姫が同席するのは、あまりにも危険です。我々と交流がない国かの使者かもしれません」


 警備隊長らしき男が姫を止める。


「大丈夫よ、悪意は感じないし、異世界人と話す機会は二度とないかもしれないし…それに、少しでも怪しい行動をしたら魔法使いたちが杖を振るでしょうから」


 魔法使いたち?


 聞いた言葉が頭の中で反芻している間に、警備隊長は渋々ながらも納得したようで、姫は笑顔でこちらに向き直った。


「それでは、どうぞこちらへ。」


 エリス姫は優雅に手を振り、俺たちに城の中へと案内するように命じた。俺たちは兵士たちに囲まれながら、ゆっくりと城の中へと歩き始めた。

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