甘美な興味
エリス姫に従い、城の内部へと進んで行った俺たちは、その豪華さに圧倒されるばかりだった。広々とした廊下には金箔が施され、壮麗なシャンデリアが天井から吊り下げられている。大理石の床には精緻な模様が描かれ、どこを見ても異世界の美術品が目を引いた。
「まるでおとぎ話の中みたいな、綺麗な城ですね」
モモが思わずといったように感嘆の声を漏らした。
「そうでしょう?」
エリス姫は微笑みながら振り向き、その華やかなドレスの裾を軽く持ち上げて、少し優雅なポーズを取った。
「私のためにお父様が作ってくださったお城なのよ」
エリス姫は俺たちを、豪華な室内に案内した。部屋の中央には、長いソファと低いテーブルがあり、暖炉の前にはふかふかのクッションが整然と並べられていた。
温かい光が部屋全体を包み込み、リラックスした雰囲気を醸し出している。
「さあ、どうぞこちらへ。」
エリス姫はソファに優雅に腰掛け、俺たちに対して無理なくリラックスするように手でジェスチャーを送った。
部屋の隅に立っていた召使いがトレイを運び、テーブルの上に紅茶とお菓子を並べると、静かに退室していった。
リリーとモモは、少し緊張しながらもソファに座り、テーブルの上に置かれたティーカップを見つめていた。
俺も同様に、エリス姫の配慮に感謝しながら、お茶の香りを楽しむ。
「エリス姫、ありがとうございます。」リリーが落ち着いた声で言った。「こんなに素晴らしいおもてなしをいただけるなんて…」
「お礼なんていらないわ。」
エリス姫は軽く笑いながら、カップを持つ手をクイッと上に上げた。
「ただ、あなたたちとお話しできるのが楽しみなの。異世界から来たって、本当に興味深いわ。」
エリス姫は俺たちの方をじっと見つめ、カップから香り立つ紅茶を一口すすった。その瞳には興味と期待が輝いていて、彼女が紅茶を飲む姿には、どこかエレガントさと共に、ほんのりとした幼さが感じられた。
「それで、異世界ってどんなところなの?お話ししているうちに、もしかしたら私たちが見たことのない世界が広がっているかもしれないわ。」
「ええ、実は…」
俺は少し緊張しながらも、エリス姫の期待に応えようと話を始めた。
「僕たちは確かに異世界から来たんです。」
「本当に?」
エリス姫は目を大きく見開き、期待の色を隠せなかった。
「それなら、ぜひ詳細に教えてほしいわ。どんな風景が広がっているの?どんな人たちがいるの?」
エリス姫の興奮と好奇心は、俺たちを少しリラックスさせた。彼女の優雅な動きと、その中に混じる無邪気な期待が、俺たちの心を少しずつほぐしていった。
「もちろん、どんなことでもお話しします。」俺たちは、エリス姫の無邪気な興味に応えながら、彼女に異世界のことを詳しく説明し始めた。
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