新しい世界

 エリス姫に案内された豪華な室内ではリラックスした時間が流れていた。


「えーとじゃあ、うちの世界について教えますね。」


 俺はカップから一口紅茶をすすりながら言った。独特な風味がして美味しい。


「僕たちの世界では、魔法の代わりに技術が発展してるんです。例えば、スマートフォンという機器があります。これ一つで電話をかけたり、インターネットで情報を調べたり、音楽を聴いたりできるんです。」


「スマートフォン?それはどういうものなの?私たちの世界にはそのようなものは存在しないから、想像がつかないわ。」

「スマートフォンは、手のひらに収まる小さな機械で、画面に触れるだけでいろんな操作ができるんです。例えば、世界中のニュースや、どこで何をしているかもわかるんですよ。それに、電車やバスという乗り物もあって、簡単に遠くの場所に移動できます。」


 エリス姫はさらに興味津々で目を大きくしていた。


「それはすごいわ!私たちの世界では、馬や馬車が主な移動手段なの。」

「なるほど、伝統的ですね。」

 俺はにっこりと微笑んだ。嫌味っぽくならないようにフォローする。

「エリス姫の世界も、独特で素敵ですね。」


「じゃあ、エリス姫の世界のことも教えてください。魔法のことや、日常生活について詳しく聞きたいです。」

「もちろん!」


 モモの質問にエリス姫が楽しそうに声を弾ませた。


「私たちの世界では、魔法がとても重要なの。例えば、料理をするときには火を使うのも魔法で、普通の人でも少しだけ魔法を使うことができるのよ。」

「魔法で料理?それは面白いですね。」

「そうなの。」


 エリス姫は嬉しそうに笑いながら続けた。


「それに、私たちの世界にはドラゴンや恐ろしい魔物がいて、それに立ち向かう騎士たちがいるの。騎士たちは魔法と剣の技術で魔物と戦っているのよ。」

「それは壮大ですね。うちの世界とはずいぶん違いますね。」


 俺は驚きながら頷いた。


「魔物と戦う騎士、カッコいいですね。」

「でしょ?」


 エリス姫は誇らしげに笑った。


「魔法で城を守ったり、天気を変えたりするのも、私たちの国では普通のことなのよ。私たちの国では、魔法があるからこそ生活が成り立っているの。」

「すごいですね。」


 俺は感心しながらも、エリス姫のその目が自分に向けられていることを感じた。


「異世界に来たからには、その違いを実感するのが面白いです。」

「ところで、あなたたち、お名前は?」


 それぞれ姫に名乗ると、エリス姫は何故か俺に向きなおり、じっと見つめてきた。


「ケイさん、あなたたちの世界の話を聞いていると、まるで夢の中にいるみたい。」エリス姫が低い声で、まるでささやくように言った。「でも、あなたの話を聞いていると、もっと知りたくなるわ。まるで魔法のような世界に惹かれていくみたい。」



「そう言ってもらえると嬉しいです。」俺は少し照れながら微笑んだ。「異世界の違いを知ることができて、楽しいです。」

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