囚われの不審者たち

 とりあえず草原を歩き出した俺たちだが、俺はというと段々正気に戻ってきていた。ちょっとまずいんじゃないか、これ?ここはどこなんだ?


 嫌な予感と同時に人の気配を感じる。振り返れば、ファンタジーに出てくるような服装の兵士たちが、俺たちを取り囲んでいた。


「おい、君たち、何をしてるんだ?」兵士の一人が俺たちに厳しい目を向けた。俺は焦りながら説明しようとした。「俺たちはただの——」


「その奇妙な服は?」兵士たちは俺たちのスーツ姿に驚き、怪しんでいる様子だった。

 特にモモのスーツはぴったりしていて、その豊かな胸が目立っていたし、リリーのスーツも彼女の細い腰やむっちりした太ももを強調している。


 有無を言わせず縄をかけられ、モモが手を振り回しながら叫ぶ。「やめてください!私たちはただの…ただの観光客です!」


「モモさん、少し落ち着いて。」リリーはそのおっとりした口調で、しかし冷静な瞬きで言った。「騒いでも状況は変わらないみたいよ」


「不審者として拘束する!」


 俺たちは不安を感じながらも、抵抗する手段もなく城へと連れて行かれるしかなかった。移動手段が馬車なところを見ると、そこまで文明が進んでいるわけではなさそうだ。



「これ、どうなっちゃうんだろう…」不安そうに呟くリリーを見て、ハッとさせられる。

 そうだ。俺はともかく、リリーとモモは巻き込まれただけなのだ。俺は楽になってラッキーだが、リリーたちはそうじゃない。


 なんとかしなければ、と拳を握るが、どうしようもない現実がもどかしかった。

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