金の道と冒険
「10万ゴルドって…一体どうやって稼げばいいんだ?」
俺は城の書斎でうつむきながら、計算を繰り返していた。実際のところ、異世界の通貨やその価値について全く知識がないが、その金額が大きいことは俺でもわかった。
というのも、元の世界へ戻る方法を聞いた時、エリス姫からそれには高名な魔導士による儀式が必要だと聞かされたのだ。その儀式には莫大な金がかかることも。
金額は約10万ゴルド。これは国家予算の一年分に当たる数字だという。つまり、この金額を稼ぐためにはかなりの時間と努力が必要だということだろう。
どれだけエリス姫が親切でも、そんな金額を不審者のために出すわけがなかったし、かといって、異世界の経済や商業についても何もわからないため、どう手を付ければよいか全く見当がつかなかった。
そのとき、リリーとモモが部屋に入ってきた。
「ケイさん、どうかしましたか?なんだかとても悩んでいるようですね。」
「ケイさん、何か力になれることがあれば教えてください。私たちにできることがあればお手伝いします。」
「実は…異世界に戻るためには、10万ゴルドが必要だって言われたんだ。正直、どうやって稼げばいいのかわからない。」
リリーとモモは一瞬の沈黙の後、決意を込めた表情で言った。
「ケイさん、それなら私たちもお手伝いさせてください。」
「ありがとう、リリー、モモ。君たちの手助けを受けるのはありがたいけど、できれば君たちを巻き込みたくなかったんだ。でも、これで少し心が軽くなったよ。」
リリーは優しく微笑みながら言った。「ケイさんが困っているなら、私たちも全力でサポートします。一緒に頑張りましょう。」
モモも明るい笑顔で続けた。「そうです、ケイさん。どんな困難があっても、私たちが一緒にいますから。」
俺は少し考えた。そして、城の人々と話す中で、「冒険者」という職業を知った事を思い出す。
冒険者は、危険な依頼を受けて、様々なモンスターや問題を解決し報酬を得る仕事だという。城の周りにはそのためのギルドがあり、たくさんの冒険者が活躍しているという話を聞いたのだ。
(冒険者…か)
俺はその言葉を反芻しながら、心の中で計画を立て始めた。冒険者になるためには、まずそのギルドに登録しなければならない。
そして、実際の冒険に出て成果を上げなければならない。
「リリー、モモ、ちょっと話があるんだ。俺はまずギルドに行って、冒険者として登録する。その後、依頼を受けて金を稼ぐ方法を探るつもりだ。」
「でもこれは危険で、命が危ない可能性もある職業らしい。だから二人は来ないでくれ」
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