エレナの依頼

 カフェのテーブルに戻ると、リリーとモモがホッとしたような笑顔で迎えてくれた。同時に、横にいるエレナに気づく。


 エレナは笑顔で自己紹介を始めた。


「初めまして、私はエレナと言います。僧侶として活動しています。」

「私はリリーです、ケイさんの秘書をしています」

「私はモモです、私も秘書をしています」


 エレナがよろしくお願いします、と会釈をしたはずみで胸がテーブルに当たってしまい、カップが揺れた。


(すごい、ここまで巨乳だと挨拶でテーブルが揺れるのか…)


 思わず感心してしまう俺をよそに、エレナが真っ赤になりながら謝る。


 リリーがその姿に微笑みながら手を差し出し、「気にしないで。」と軽く笑った。


「そういえば、さっきエレナさんが言ってた情報収集ってなんなんです?」


 場の空気を変えるために、リリーとモモに視線を向けながら話題を振る。


「あ、えっと実は最近受けた依頼で、古代の遺物を探しているんです。そのアイテムは、強力な力を持っていると言われていて、私の修行にも役立つし、周りの人たちにも良い影響を与えられると思っています。」


 その時、リリーが興味津々で身を乗り出して尋ねる。


「それって、具体的にどこにあるんですか?」

「それが、まだはっきりとは分からないんです。」


 エレナが肩をすくめた。


「ただ、街のどこかに隠されているかもしれないと言われています」


(まさに、異世界って感じの話だなあ…)


「報酬は5万ゴルド」

「5万ゴルド…!」


 思わず声が漏れる。目標額の10万ゴルドの半分が、一気に稼げるなんて…

 リリーとモモも同じことを考えていたようで、思わず顔を見合わせる。


「お三方も、何か有用な情報を聞いたら教えてください。とても重要なものらしいのです」


 わかりました、と神妙な顔で頷くとエレナはにっこり笑った。

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