シルバーフォークでの教え

「はい、今日が初めての依頼でした。」


 俺がそう答えると、男は嬉しそうに頷いた。


「おお、初めての依頼か。俺たちは『蒼き剣の団』の一員だ。今日はちょっと手強いモンスターと戦っていたんだが、君たちも初めてなら大変だったろう。」男は仲間たちを指さしながら続けた。「俺の名前はマリオだ。左から、剣士のジェフ、弓使いのマーク、そして僧侶のアリスだ。」


 ジェフは一際大きな体格で、重い鎧を身にまとっていた。マークは細身で、背中に複数の矢を背負っている。アリスはスリムな体型で、優雅な僧侶の衣装を着ていた。


「よかったら夕飯でも食べないか? せっかくだから、君たちの初めての依頼の成功を祝おう。」マリオが提案する。「これも何かの縁だ」


「それはありがたいですが…」


 俺が少し戸惑っていると、リリーがそっと俺に耳打ちした。


「行ってみましょう。彼らから色々と学べるかもしれないし。」


 俺はその言葉に頷き、マリオに答えた。


「それでは、ぜひご一緒させていただきます。」

「決まりだな!」


 マリオは嬉しそうに笑い、仲間たちに声をかけた。


「みんな、今夜は新しい仲間が加わるぞ。」


 俺たちはマリオたちと共に、街の外れにあるという酒場「シルバーフォーク」へと向かった。

 酒場は木造の古い建物で、温かい灯りが漏れ出していた。中は木のテーブルや椅子が並び、心地よい賑やかな雰囲気が漂っている。


 壁には武具や冒険の記録が飾られており、ところどころに木彫りの装飾が施されていて、冒険者御用達のようだ。


 俺たちは席に着き、メニューを眺めながら、徐々に会話が弾んでいった。マリオたちが気さくなおじさんだったからなのか、依頼が成功した安堵か、ビールも美味しく幸せな気分になれる。


 ここのシチューは絶品だ、とジェフが勧めてくる。酒場のメニューには地元の特産品を使った料理が並び、シチューやグリル、焼きたてのパンが目を引いた。

 料理が運ばれてくると、テーブルには色とりどりの料理が並び、特にジェフが勧めたシチューは、濃厚な味わいで美味しい。


「今日の戦いはどうだった?」

「実は…」


 マリオが振ってきた話題にモモは少し困った顔をしながら返した。


「実は、まだ武器が整っていなくて」

「そうか」


 マリオは驚きながらも頷いた。


「それじゃ、これを使ってみるといい。」


 マリオは、自分の腰から使わなくなったという剣をおもむろに取り出し、俺たちに手渡した。


「古いものだが、君たちに役立ててもらえればと思ってな。」

「これを…無償で?」

「もちろん。武器も使わなければただの鉄くずさ。」


 マリオは笑いながら言った。


「ただ、これからも冒険者として食っていきたいならやっぱり武器だけじゃなくて魔法使いもいる方がいい」

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