第15話 神学

 ダンジョン実習が幕を閉じて、また授業が始まると思っていたところそれは教室でいきなり起こった。


男達が大声で会話し始める。


「周りをしっかり見ねぇで魔法を撃つなよ!危うく怪我するところだったんだぞ?魔物にビビるのは分かるぞ?だからって仲間の位置も把握せずに魔法を乱射するなよ!」


 声からして声を張って怒鳴っているのはベール・グラミアだ。


「お前だって探索魔法が得意だって言うから任せていたのに、俺は使わなくても余裕だーとかほざいて、結局は魔物に気づかずにみんな奇襲されて死にかけたんだからな!」


 もう一人は、グレンダ・アルバードだ。


 話を聞く限り、ベールは魔物にビビって魔法をとりあえず乱射していたみたいだ。


 確かにこれは問題だ。


 仲間に当たりでもすると怪我どころじゃ済まない可能性の方が高い。


グレンダの方も同じくらいの危険だ。ダンジョンで探索魔法は必須だ。それを使わないで進んでいた事を考えると奇襲されても死んでいないのが奇跡と言える。


「二人とも!どっちもどっちなの分からないの?こんな頭の悪い行動してるのうちらだけだよ?」


「うるせぇ。お前もお前だろ!料理で美味い物食わせてくれるのかと思ったら、ダンジョン内に生えてるキノコ?あれ食べて何時間も腹痛くて死にそうだったんだぜ?ふざけんな!」


「おいそこ!授業始まるからそろそろ座れ!」


 緑の髪をした、まだ一度も見たこともない先生が言う。


 あんなにうるさく怒鳴り合って居た三人が落ち着きを取り戻し席に座る。


 授業が始まるチャイムの音が鳴り響く。


「落ち着いたね、反省するのは良いことだ。だけど周りの人様に迷惑をかけるのは良くない。だからもう少し落ち着いて反省しなさい。これで一旦この話は終わり。これから神学の授業を担当するレキギーナ・ベルギントスだ。神学は今も続いていることを時を遡って一から勉強していく。例えばそれが起こった原因はなんなのか、などだ。」


「では授業を始めよう。まず神学が必要な理由、どのようにして始まったのかを説明していく。率直に言うが神学が必要な理由は今後の世界のためだ。時は遡って神代の時代、神は現代にある命全てを一から創造した。世界に人だけいては世界が回らない、現代で言う経済が回らないのと同じだ。だから他に動物をいくつも作った。でもそこで問題が発生したんだ。何人かの神が裏切り者によって殺されてしまった。これも問題なんだけどもう一つの方が問題だ。神は想像イメージで創造することができる魔力を持っている。神がこの世界に秩序を定める時に、神は死ぬと想定されていない。神が死んだ事により地上に魔力神の残滓が降り注いだ。緑の地に降り注いでは、その緑の地はやがて荒野に成り果てる。動物に降り注いだ場合も同じだ。動物は生きるための生のエネルギーを持っている。だが魔力が強すぎた余り、生のエネルギーは魔に犯され体は変形し、より魔力を求めるようになった。神の持つ核は地上に落ち、長い年月をかけダンジョンとなった。剣魔学院の敷地内にあるダンジョンにも神の核が用いられている。今日はこのくらいだ。次は今日の話よりも濃ゆくなる。楽しみにしていてくれ」


 チャイムがまた鳴り響き授業が終わる。


 確かに興味のある話だった。だけど情報量が多過ぎて全てを頭に叩き込むのは無理だった。


 この授業はみんな真摯に受けていた。いつも大抵何人かはふざけている奴がいる。俺以外もこの話に興味があったんだと思う。


 俺は質問したい事が多かった、だけど質問する時間がなかったので次に説明してくれる事を願うばかりだ。









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