第10話 企み
ロロと闘ってから3週間が経った。
ロロに教わり訓練の仕方を変えた。魔力は使えば使うほど身体に馴染んでいく。それに伴い魔力量も増えていく。だからいつもは魔力を8割魔法などで放出して訓練していた。9割放出すると身体が気怠くなり、動きたく無くなる。10割の時はもう動けない。
ロロに教わってからは身体強化魔法を重点に置き、訓練する事にした。
魔法を撃ち、熟練度を上げる訓練も効果的ではあるが、身体強化は筋肉を魔力で無理矢理増強する技だから身体が耐えれる時間に制限がある。
俺は剣士でもあるため継続的に身体強化を使わないといけない場面が多い中、途中で使えなくなるのは負けると同義。
「今は7分間継続出来るけど、どれくらいが合格ラインなんだ?」
「15分、以上は、欲しい。じゃないと、敵によっては、戦闘が、終わらない。15分、継続できて、他の魔法を、撃つこともできる。これが、理想。これが、できない限り、下級の魔法しか、斬れない。」
「うっ・・・レベルが高いな、でも確かに敵によっては戦闘が中々終わらないな。対人戦では大体いつも12分以上はかかっている。」
こまめに発動させているから大丈夫なものの、これからは継続的に使っていないと必ず敗れる。
「3日後、ダンジョン、実習が、ある、モンスターと、戦って、学べる、ことも、ある。だから、まあ頑張って。」
「3日後にダンジョン実習とかあったなぁ、ロロは組む人決まってるのか?決まってないなら俺と組んでくれないか?」
「ごめん、ロロは、組む人、決まってるの、あなたは、アリスさんと、組んだ方がいい、」
少し俯きながらロロは言う。
「そっか、アリスに聞いてみるよ。今日は訓練手伝ってくれてありがとうな」
「うん、それは、全然、良い、じゃあ、また・・・」
俺は何故あそこまで魔法を斬る所が見たいのか気になった。
今度また会ったら聞いてみよう。とりあえずダンジョン実習は必ず受けたい。仲間探しよう。まずはアリスに聞いてみよう。
「アリス!ダンジョン組む人決まってるか?」
「ん?まだいないけど、まさか誘いに来てくれたの?嬉しいな!」
笑顔で返してくる。
「何をそんな喜んでいるんだ?用件はそれであってるけど」
実技試験ではあれだけ言っておきながら今はこんな感じだ。優しい口調、この笑顔がたまらなく愛おしい。ずっと拝んでいたいと思えるほど。
「もちろん組むよ私、ハルトと一緒に冒険したいから」
「後一人誘わないといけないんだけど、誰か誘えそうな人はいるか?」
「私の友達はみんな組んじゃったかな、シンくんは誘えないの?一番仲良いじゃん」
「そうだな、一度聞きに行くけどついてくるか?」
「それじゃあついて行こうかな、私はあんまりシン君と会話慣れてないからね」
「ハルト!やっと見つけたよ」
ちょうど話しかけに行こうとしていた所シンの方から走りながら話しかけてくる
「ハルト、ダンジョン組む人決まったか?よかったら俺と、はぁはぁ」
走り疲れた声で聞いてきた。
「今からちょうどシンを誘おうとしていた所だよ。もう一人はアリスだけど大丈夫か?」
「大丈夫だ。逆に頼もしいくらいに・・・はぁはぁ」
まだ疲れていた。相当走ったのだろう。
「こんにちはシン君、ハルトに誘われたから来ちゃった。3日後のダンジョン実習宜しくね!」
「こちらこそアリス・・・様?」
侯爵家の令嬢という事を気にしたみたいだ。
「令嬢だからって私には敬語を使わないでタメ口でいいよ。凄いのはお父様達だし、私は気にしないから」
「わかった。アリス宜しくな」
三人が喋り終えた頃合いを狙っていたように見覚えのあるエルフが話しかけて来た。
「アリス嬢?そのダンジョン実習良ければ私と組みませんか?私なら貴方を守る事ができます。そちらの平民風情にはそれはとても務まらないかと」
「いくらなんでもその言い方はないだろ!」
最初に怒りを言葉にしたのはシンだった。
「なら貴方はアリス嬢を守れると?順位26位の貴方が」
鋭い棘を飛ばす。
「うっっ、だけど!」
シンは何も言い返せずに下を俯き、歯を食い締めていた。
「私はこの二人と組むわ。貴方とは何があっても組まない!」
アリスは強く否定する。
「そうですか、まあ今回は都合が悪かったって事にしておきますよ。」
ニヤニヤしながら生意気エルフは引き下がって行った。
「何か企んでいないか?あのクソエルフ。ロロはどう思う?」
「ひいっ!」
「はっ!」
「どうした?二人ともそんなに驚いて」
「何でお前は何も驚いて無いんだよ!」
「何で貴方は何も驚いてないのよ!」
「当たり前だろ?クソエルフが来る前から居たんだから。本題に入ろう、ロロはどう思う?」
「ロロは、あのエルフが、何かを、企んでるように見える。今のは確実に、アリスだけを、引き抜こうと、していた。だから、相手から、すると、一番、厄介なのは、付き纏ってる、ハルト、貴方だけ。」
ちょっと気にかかる言葉が一つある。だけど今はエルフの考えてる事が優先だ。
「何であのクソエルフはアリスを引き抜こうと?」
「それは、わからない、だから、気を付けた、方が、いい」
「わかった。気をつけるよ」
それぞれ別れてからも俺は警戒を怠らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます