一年編

第8話 入学

 今日は入学式。朝早くから身支度を済ませ早急に剣魔学園に向かった。


 そうして入学式が始まった。教壇に校長が足を運んで言った。


「皆の者、入学おめでとう!!だがこの剣魔学園に入学する上で守って貰いたい注意事項が2つ程ある。」


「一つ目、自重しろ。ここ剣魔学園ではダンジョン実習などで身の程を弁えず軽率に動き死んでも剣魔学園側は何一つ保証しない。何故こんなことを言うのかわかるな?過去にイキって深層に向かった三人組の馬鹿がいた。教師が捜索に向かって発見された時には手遅れだった。下半身から上は無く、内臓が外に飛び出し血が溢れ返っていた。これが自重しなかった結果だ。もう一度言うが自重しろ。わかったな?」


 校長の言葉に周りの浮ついた雰囲気が一気に張り詰める。


「二つ目、簡単に教師を頼るな。剣魔学園の教師が生徒を手伝えば発生した問題なんて簡単に終わってしまう。剣魔学園では生徒がメインとなって物事をこなす事を重点に置いている。教師が手助けできる場合は、ダンジョン内でのイレギュラーの発生、剣技の訓練や魔法の訓練などだ。教師に頼らない学園生活を送るように」



「これからAクラス、Bクラス、Cクラスに別れてもらう。クラスの振り分けは試験が基準となっている。半年に一度、剣魔闘技における順位が出て上のクラスに上がる事もあれば下がる事もある。本気で訓練に励むように。


 そう言って校長は話を終えた。


 俺はAクラス。机と席は筆記試験の時と同じ数と配置だ。先程貼り出された剣魔闘技の順位は36位。40人中36位。中級魔法を斬ったのが大きく評価されAクラスになれたのだろうか。Aクラスになったからには本気で訓練し、順位を上げていきたい。


 教壇の横にある扉から教師が入って来る。


「今日からAクラスの担任をする。カリーナ・イゾルデだ。よろしく。

 早速本題に入るよ。剣魔学園の学びには、魔物と戦うために必要となる知識を学ぶ魔法生物学。魔力回復薬、回復薬などに徹した錬金術。魔法、剣が無くなっても闘える為の体術学。剣と魔法ありで戦う闘技学。エルフ、ドワーフなどについて学ぶ種族学。これから生きていく中でも一番重要となる、魔神族との戦い方について学ぶ、神学がある。全て死なないようにするための学びだからしっかり聞くんだよ。」


 続けて言う。


「実技、本戦では3ヶ月に一度、剣魔学園ではダンジョン実習を行う。それに半年に一度、闘技場を使った剣魔闘技祭がある。ダンジョン、剣魔闘技祭どちらも三人一組で行う事になっている。これらに参加するためには三人一組で参加するのが必須条件になっているからね。闘技祭は個人戦もあるからこれは一人でも大丈夫。団体戦で二人しか集まらなかった場合は絶対に参加はできないと思って欲しい。」


「寮は一人ずつに個室を確保しているよ。個室を良いことに、荒い女遊びはやめなよ?過去に魅了の効果を相手に施す魔法を使ってそんなことをしていた奴の部屋が臭過ぎて、リフォームが必要となったくらいだから。魅了は人にかけちゃだめだよ。1000歩譲って好きな人と性的干渉をするのは仕方ないかもしれないけど避妊はしてね」


突然何の話をするんだ。この話で先程まで緊張と恐怖で張り詰めていた教室の雰囲気が少し和んだような気がした。


「今日は授業はしないから自由に仲を深めるんだよ」

 

 それを最後にカリーナ先生は教室を出て行く」


 緊張と恐怖が少し解け、深呼吸をする。


 深呼吸をしていると後ろにいた赤髪の男が話しかけて来る。


「よお!俺はシン・ダスティン、今日からよろしくな!実技試験の時観てたぜ?魔法を切ってたところ、アレどうやってたんだ?」

 

 シンが聞いてくる。


「俺はハルト・テイディス、よろしく。実はその事なんだけど俺にも良くわからないんだ。無意識だったと言うか・・・。相手曰く俺が剣に魔力を纏わせ、それで魔法を切り裂いたらしい」


「剣に魔力を纏わせた?そんな事できる奴がいたのかよ。俺なんかすぐに拡散しちまうぜ?」


「ハルト!同じクラスだったのね!」


 アリスが少し離れた場所から勢い良く喋りかけてくる。


「えっと、そちらの方は?」


「俺はシン・ダスティンだ。シンったら呼んでくれ、同じクラスだからよろしく頼む」


「私はアリス・グロリダよろしくね!」


 二人は笑顔で挨拶しあう。、


「友達作るの早いねハルト、ハルトはいつまで経っても出来ないと思っていたのにー」


「俺どんな風に思われてるんだよ、友達くらいは出来るぞ」


 そんな話をしていると何処からか、キャーキャー聞こえる。


「エイタ・グリンブスね。」


 アリスがそう言ったので俺はそいつを見てみる。


 金髪のイケメンエルフだ。そのエルフにクラスの五人ほどの女が群がっている。


「あれこそさっき先生が言っていたようになりそうだな」

 シンが言った。


 俺はそれに思わず笑い飛ばしそうになったがなんとか堪える事が出来そうになった。それを見たアリスが軽蔑したような目で俺を見てくる。ここでチャイムが鳴る。


「今日は一旦お別れだな」


「そうね」


「そうだな」


 俺は明日から始まる授業に備えて街に剣を買いに行く。お金があまり無いのでこの前折れてしまった安物の剣より少し高いものしか買えなかったが、俺はとても満足した。


 明日からは学びが始まる。心配な一面もあったが。真剣に学びたいと思う一面もあった。その後、疲れたので俺は用意されていた部屋でいつの間にか眠りについていた。










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