第6話 実技試験後

 目が覚めると俺はベッドの上で寝ていた。


「ここはどこだ・・・俺は死んだのか・・・」


 ガラガラした声を上げる。


「何寝ぼけてるの?貴方は魔力が尽きて剣魔学園の治療室で寝ているの」


 横に顔をゆっくり向けると今日戦った銀髪の女が座っていた。


「アリス・・・何だっけ」


 俺は隣に座っている女の名前をすっかり忘れてしまっていた。


「失礼な奴ね。アリス・グロリダよ」


 拗ねたように銀髪の女は言った。


「お前・・・本当にアリス・グロリダか?そんなに美人だったか?」


 戦っている時はあんまり顔を見ていなかったが、近くで見ると体型はスリムで、顔は美人としか言いようがないくらいに整っている。見惚れてしまうほどの美貌だ。


「喜べばいいのかわからないじゃない!ここは剣魔学園の治療室、入学もしてないんだから、起きたならお礼言ってすぐに出て行くわよ!」


 アリスは頬を赤らめてそう言った。


「ちょっとまて、俺は病人だぞ!体が痛むんだからそんなに強く手を引っ張るな!」


 アリスと病人になっている俺の手首を強く掴み、引っ張るようにして校門まででる。


「にしてもお前強かったな」


 素直に褒めた。


「私にはアリスって名前があるの!お前じゃなくてアリスって呼んで?」


 少し怒り口調でそう言った。


「わかったわかった。アリスの魔法の威力には驚かされたよ」


「あなたも魔法の出力は低いのに、よくあそこまで接戦したのは素直に褒めてあげる。それに私の生み出した魔法を斬った時はびっくりしたんだから」


「あれは偶然だよ。俺も斬れるとは思っていなかったし、あそこまで上手く剣に魔力を注ぎ込めることができるとは思っていなかった」


「普通は剣に魔力は通せても、魔力が拡散してしまって、あそこまで器用に多くの魔力は注げない。それが偶然とでも?」


 アリスは褒め口調で言う。


「そうなのか?まあ多分偶然だよ」


 俺はよくわからなかったので曖昧な返事をした。


「そろそろ日が沈む時間だからお別れね」


「そうだな、入学できたらまた話そう、約束だからな」


 寂しそうな顔をしていたので俺はそう言った。試合には負けてしまい、試験官に魅せることができたかは自分でもよくわからない。


 別れを告げ、俺は宿に戻った。


 明日には受験番号が校門前に張り出されるので朝早く起きるためにも食事を摂ってすぐに再び寝た。

















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