第23話 2回戦目②
「はぁ、あれだけ言ったのにハルト完全にハメられてるね」
ハメられていたことに勘づいたアリスが言う。
「まあいいんじゃないか?前見たいな不利な状況ではあるまいし」
アリスの気分を害さないようにハルトを庇う言葉を選ぶ。
「それもそうだね、ハルトはロロに勝てるのかな」
「よそ見しちゃだめだよ! 水よ 穿て!」
ティアラが放つ尖った水がアリスを狙う。
「悪かったね!氷塊よ 凍てつき 潰せ!」
一つの氷の塊がティアラの水を相殺しかつ、威力衰えずティアラに飛ぶ。
「展開されし 二つの風よ 混ざり我らを守れ!」
「展開されし 二つの風よ 混ざり我らを守れ!」
ティアラとベンディアは二人で一つ。風を複合する事で、全てを粉々にする風の壁が展開される。
「雷鳴よ 天より昌来し 万物を貫け!」
ラグナが雷魔法を詠唱する。その詠唱で創り出された槍は、風の防壁を破ろうとするが容易く消し炭にされてしまった。
「こんなに簡単に防がれるのは予想外、これからどうするアリス」
「厄介な相手ね、威力だけで勝つのは無理がありそう。だからこっちも複合魔法使お?」
それを聞いたラグナは首を縦に振り準備をする。
「氷よ 溶け混じり合い 全ての万物を凍て刺せ!」
「氷よ 溶け混じり合い 全ての万物を凍て刺せ!」
巨大な氷塊が空中でそれぞれ分解され、何百個もの小さなツララに変わる。アリスとラグナが手を前に振るとツララはティアラとベンディアを囲うように周回し、真ん中から順に射出される。
「これだとロロが来るまで私達が持たないよ、ベンディア・・・」
ティアラが辛そうな面持ちでベンディアに不安を溢す。
「そうだね、これだとロロが来るまで持たないね。そろそろ戻ってきてくれると信じてもう少し耐えよう」
「分かった。早く戻ってきて・・・」
話終わると複合魔法を準備する。
「火よ風と混ざり 辺りを周る風となりて 燃え盛れ!」
「風よ火と混ざり 辺りに火を散りばめる 風となれ!」
火と風が混ざり辺り一面を火の風で埋め尽くす。アリスとラグナの複合魔法は一瞬にして溶かされる。
二人同士で行われるハイレベルの技の攻防、先に勝負が着いたのはハルトとロロの戦いだった。
「はぁ、はぁ、ここまで耐えれてるのが奇跡まであるな」
手に痺れが伝わってくる。長い時間身体強化を使い過ぎた反動で身体も鈍くなってきている。
「はぁ、私も、段々、疲れて、きた」
ロロも身体強化で動きが鈍り限界を迎えようとしている。
「これで、最後に、しよう」
「ああ、これで最後にしよう」
二人は立ち止まり自分の最大を引き出せる構えを取る。違う場所で戦っている仲間、敵の火魔法による爆発が動き出す合図とかする。
「はあぁぁぁっっっっ!」
「はあぁぁぁっっっっ!」
声を合わせ最後の駆け引きに出る。ハルトもロロも前進しながら行う行動は、突き。
鉱石で作られた黒色の剣先と、荒技によって創り出された青色に輝く氷の剣先がお互いに突き合う。
剣先によって刀身まで破壊されたのはハルトの剣。
勢いに任せて刀身が割れなかったロロの剣がハルトに突き刺さる。魔道具が守ってくれるとはいえ、剣が人に突き刺さるとは誰も想定していない。突き刺さった箇所からは血が溢れ出てくる。
意識が悶えない内に、魔道具を覗くとアリスチームに倒れた一つの魔道具。これで俺は負けを認める。
魔力減少によって発生した眠気と、突き刺さった剣から伝わる痺れが交互に襲ってくる。一分も経たずに気絶してしまった。
「ハルト負けちゃったかー、ロロをあそこまで消耗させているなら後で文句は言えないかな」
「それには共感だよ。だけど現状は不利に傾いただから気をつけないとな」
ラグナがロロがある方を向き、少し卑屈な表情を浮かべるがロロがロロが剣に電気を纏わせ、その剣を真っ直ぐアリスに投げる動作を、した途端に表情を焦りに変える。
「土よ 這い出ろ!アリス後ろだ避けろ!」
ラグナが土の壁を地面から現わしアリスを守ろうとするが、間に合わないと悟ったのかアリスを横から押し飛ばす。
「え?」
アリスは状況が分からず尻餅を着いた。
電気を纏った剣は加速され土の壁を貫き、それに掠ったラグナが痺れて動きを鈍らす。
「集いし雷鳴よ重なり合って 轟音と共に 引き裂け!」
アリスがラグナの退場を防ごうと努力するが空から降り下ろされる眩い黄色の光を放つ雷は動きを止めない。
「ロロがそんな技を持っているなんて予想外だったよ」
雷が痺れて動けないラグナに直撃し、ジュワッと音を出す。ラグナは前に屈み倒れ、手足はビクともしない。
それを機にロロが猛ダッシュでティアラとベンディアが合流する。
「アリスちゃんには私達の全力で思いっきりの技を見せてあげよ!」
ティアラが微笑みながら仲間に呼び掛ける。
「うん、見せ、よう」
「一体何をするっていうの?もう勝てる自信がないけど・・・」
アリスが一人で呟いた。
「火よ混ざり合い 天より導き現れ 悉くを燃やし尽くせ!」
「火よ混ざり合い 天より導き現れ 悉くを燃やし尽くせ!」
「火よ混ざり合い 天より導き現れ 悉くを燃やし尽くせ!」
三人で行う複合詠唱、どれだけ三人で人生を共にしたのか伝わってくる。
それぞれの詠唱から生み出された火が集い一つの劫火へと変貌する。
手が振り下ろされ火が向かいくる。
どうしよう、こんなの防ぎようが無い。一か八かで上級魔法?いや、何をしても無駄かもしれない。でもやってみる価値はある。
「純真に青く輝く 零度の氷塊よ 大地より現れ 全ての万物を穿ち 凍てつかせ!」
劫火に対抗するために創り出された巨大な氷塊だが三人合わせて創り出された複合魔法には威力が届かない。アリスは氷塊ごと劫火に飲み込まれる。
試合はロロチームの勝ちで終った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます