第26話 神学②

「それでは神学を始める。前回は神が殺され、神の残滓が世に魔力として降り注ぎ、それに侵食された生き物が魔物に変貌して蔓延ったと教えた筈だ。それについて質問がある奴はいるか?」


「はい!」


 後ろ側の席に座っている誰かが挙手をして質問をするために挙手をした。


「質問を許可する。述べよ」


「少し話は逸れますが僕は昔、図書室に置いてある本で神はそれぞれ違う力を宿していると目にしました。もしそれが本当であるのなら、その神が待っていた能力、本質が地上に降り注いだと言っても過言ではありません。地上に神の力を持つ何かが潜んでいると推測出来るのですが、僕の推測は正しいのでしょうか?」


 教室が私も僕もと見聞した覚えがある生徒が次第に騒つき始めた。


 俺に至ってはそんな話を耳にした事も無ければ目にした事もない。


 質問が本当であるなら人間は魔物に生かされている?と疑問に少々思った。


「今日の授業ではそれを講じる予定だったから丁度いい。質問に答えながら授業を進めて行くとする。単刀直入に言うと、その本に書いてあった内容は嘘偽り無く全て事実だ。殆どは未解の能力ではあるが、神の核を体内に放り込んだ魔物は偽りの神へと成り上がった。圧倒的な力を誇り、人類では手を打っても勝れない程に・・・・・・」


 教師は手元にある教科書を閉じて生徒に向き直る。


「人はそれを魔神と呼んだ。魔神は固有の能力を扱い、私達が生まれる生前には村、帝国を滅ぼした。それでも人類は諦めず抗い続け、魔法使いや剣士が努力を何重にも重ねた末に編み出された魔神に抗う技。それを魔法の極地、剣の極地と呼んだ。それを扱える者は現在、世界に9人いるかいないか、名は隠されていて、魔法が五つ、剣に五つの技があると本に記されている。一つの技はこの世から存在を消している。そいつらと間違っても対立しようとするなよ?足一歩踏み出す間も無く惨殺されるからな」


 厨二心を擽ってくる。昔の俺なら勝手に名前をとってつけて叫びながら剣を縦に振っているんだろうなぁと過去を少し振り返った。


「話を戻すが魔神はハッキリ言って何を使うか分からない。最上級の魔物にそれを使う魔物が居るそうだ。亡国の生き残った三人の青年が言うには魔物は神と等しい輝きに神々しさを纏ってとの証言だ」


 王国には何百万人もの民が暮らしていたとして、生き残りがたった三人。逃げる時間も与えられず待つのは蹂躙。何とも言えない無慈悲な話。


 そんな話を丸一時間された後。


 興味があるとは言え、脳の容量がいくらあってもパンクする直前まで及ぶ難解な話だった。


 興味津津の生徒は授業が締めを迎えても生徒同士で神学の考察、魔物が扱う能力についても考察している熱心な生徒もいた。


 それに対し俺はそこまで熱心に考察する余裕は無く、話を聞き終えるだけでも疲労が極限まで溜まり続け、脳はオーバーヒート手前。


 悩み事のせいでもある。


 アリスとはまともに喋り合える雰囲気を互いに作り出せはしないし、ラグナには若干避けられているような気がして気分も良くなれない。


 俺を疫病神とでも思っているのだろうか。真意は分かってはいないけれど、分かり易く立ち回られるとそう感じてしまう。


 まともに会話を成立させれるのはレイクとロロの二人。


 エルフには出会す度に心の底から嘲笑され、挙句の果てにはアリス取っちゃいますよなんて言われる始末。


 魔法と剣だけでも劣る俺には人間関係に傷を入れる訳には行かなかった。


 仲間がいなければ自分一人孤独で立ち止まり、周りから差を猛スピードで開かれる。最後には追いつけなかった虚しさしか残らないだろう。


 所詮魔法を斬った、試験官の気分で高い評価をたまたま与えられて、化け物地味た者しか混入を許されない地獄に放り込まれた。


 あの場で魔法を斬っていなかったのなら魔境に入り混じるのは避けれたのかもしれない。


 悩みの種は増え続けるばかりで絶えはしないが、悩み過ぎは良くないからリフレッシュしなさいよーと言っていた姉からの教えが俺を悩みから解放した。


 リフレッシュにはシャワーが一番、浴び後に食事は喉を通りそうに無かったからそのまま横になった。












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