第17話 最終調整
明日は闘技祭、トーナメント戦となっている。
全12チームとなっている。
ルールは実技の時とは違い、試合が始まる直前に自分を魔力で纏ってくれる宝石を壊す事。
魔法、剣で敵に攻撃を当て、宝石を付けていない場合の、付けている人自身の活動限界が起こる一定の攻撃を受けると自動的に壊れる仕組みとなっている。
一、二試合目は決められたチームとの三対三の対決となっている。各一試合目で六チームが退場となり、各二試合目で三チームが退場。残った三チームは三対三対三のフィールドを使った戦をする。
時間は今日しかないため最終調整に入る。
とりあえず剣技から。魔法も使うのは使うがメインは剣だ。
剣で対人戦を行う時はいつも負けているから、負けない様にする方法を編み出さなくてはならない。
空中歩行を織り交ぜると考えても、結局は一撃必殺の技にしかならない。
観戦者は自分の動きを予測できるから、予測されても大丈夫にするために幾つかのパターンを作って置かなければ、俺は何もできなくなってしまう。
俺が剣を振るえる間合いは4mか3m。
魔力を剣に込めることも俺にとっては技術だから、その技術を使って魔法を斬る鍛錬をする。
俺の魔力はまだ12歳にしても少ない方。
身体強化の限界も早く、魔法での圧倒的質量攻撃で押されてしまうと魔力は減少し、普段なら斬る事ができる魔法すら斬れなくなるため、これが起こる事だけは避けて間合いを詰めたい。
他に雷魔法なんかは速度が俺の剣を振るよりも早く、早さによって威力が増加し、相殺される時があるのも難点。
魔法から逃げる際に必要になるのは身体強化か、それとも相手の魔法を最小限の動きで避けることか。
最小限で魔法を避けることが一番か・・・
空中歩行は一回戦に2度使えるか否か。使い過ぎると脳に負担をかけ最終的にはパンクしてしまう。あんまり空中歩行を使用する前提を述べない方が良いと思うほど俺が軽く扱える代物じゃない。危機の時に一度使って魔法を避けれる程度。
「次は魔法の鍛錬か・・・剣と同じで心配だ。」
魔法はロロに鍛錬を付けてもらってからは毎日9割使うように努力している。
そのお陰か、微々たる物だが少しずつ増えている。
でも同級生と比べるまでも無いのは明らか。
「どうすれば良いんだよ・・・」
魔法は魔力を圧縮する事で威力を同級生と同等に持っていく事ができれば良い、でも圧縮し過ぎると小さ過ぎて簡単に避けられてしまう。
今の俺は味方に頼り過ぎている。味方がいないと一人では何もできっこない。
このような事を考えても時間の無駄になるだけだと自分でもわかっている。
だけどここまで劣っている自分を見ると情けなく見える。
ルリ姉は、こんな自分よりもずっと偉大な存在だった。平民として生まれ、貴族のように血筋もあったわけじゃない。なのに貴族を凌駕するほどの実力者。
俺があの時に叶わないのも無理は無い。
そして魔法を試行錯誤している間に今日という一日も終わってしまった。明日は闘技祭だ。
早くシャワーを浴びて寝よう。寝る前に口が勝手に声を上げていた。
「絶対勝ってやる」
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