尾張《おわり》の大うつけ
父・信秀のぶひでと敵対していた美濃国みのうのくに、戦国大名・斎藤道三さいとうどうさんとの和睦が成立すると、その証として道三の娘・濃姫のうひめと信長の間で政略結婚が交わさる。
斎藤道三の娘と結婚したことで、信長は織田家の継承者となる可能性が高くなる。
信秀が亡くなったその時、鷹狩たかがりでやってきてお焼香をぶちまけたが大うつけ者。
信長は、家督継承を機にするようになる。
ただ斎藤道三だけは見抜いた。
「この大うつけ者。こやつは大うつけ者のフリをしていたら麒麟児きりんじかも知れんな」と。
日吉丸は織田家へ織田信長に志願したが
「ここには居らん。濃姫を連れて山奥に行った」兵士はやる気が無さそうに向こう側へ差した。
「あの山あるじゃろ?あの山の中腹ぐらいに信長様に砦がある。お前、良いのか、信長様じゃぞ?信勝様の間違えじゃろ?」兵士は聞くと
「信長様です」日吉丸は答えると
「いいか?信長様はやめとけ。大うつけ者と言われておるのだぞ。逆らったら問答無用で斬られるぞ」兵士はヒソヒソと喋った。
「ありがとうございます」と日吉丸は礼をして向かう。
同時に果心居士も烏に化けて向かう。
だが美濃国はなんせ細くて山の上にあり遠かった。
「美濃国は本当にしんどいわ」日吉丸ひよしまるは言うと
「オィ。着いたがこれはなんじゃ?簡単な砦と違う。天然の要塞じゃ!」小六が驚愕したが
「小六。もし信長がこれは違うと思ったら・・・」日吉丸は目を座らせて
「信長を斬れ」日吉丸は低い声色で、ただ冷静に答えた。
「オィ、消えるぞ」小六は日秀、秀長に喋ると消える。
そして砦の門番にいうと連れて行かれ、また捕まりにいく。
「不審者を捉えました」門番は日吉丸を引きずって濃姫に差し出した。
「どうしましょうか?」門番は言うと
「ワシは、織田信長様へ志願したいのです!」日吉丸は囚われながら懇願した。
ただ目が死んでいなかった。むしろ抜け縄で意図も容易く解いて門番と濃姫、信長へと辿こうかと虎視眈々と狙う。
それを察したのか濃姫は「織田信長おだのぶなが様へ志願したいと申すと。
だが残念じゃ。少し遅かったな。一山向こうじゃ」
一山へ取りに行ったと濃姫が柿をほうばりながらが仰った。
「向こうでどれですか?」日吉丸は濃姫は向こうの方を指していた。一山向こうだった。
「またかぁ〜」日吉丸がガックリ。
「離してやれ」濃姫は門番に言って離して
「ありがとうございます」日吉丸ひよしまるは言うと
「殿は鋭いぞ。気をつけることだ」濃姫はボソボソと言い首元に扇子を当てた。
「気をつけてまする」日吉丸は汗を流した。
砦を出て大きく息を吐く。
「あ〜怖!何なあの威圧感」日吉丸はまだ汗を引かなんだ。
「そんなにか?」小六はビックリして
「嫁であの怖さ。実際、信長本人見たらチビるん違うんか?」日吉丸は震え上がり、小六達は笑う。
谷を降り、山を登ると山を見渡してもいない。
「どこにも居らんじゃないか?」日吉丸はだんだん腹が立ってきたはらがたってきた。
「あれ?なにか見える」日秀は細目をして何か見えた。
「どれだ?」秀長も見た。
「信長だ!信長がケンカをしよる」秀長は驚く。
「よし、日秀と秀長は隠れて見る」小六らは消える。
日吉丸はどんどんと近づいてく。
すると信長が混ざって喧嘩をしてるではないか。
兵力で言うと一対十。だが細い道を来る。勝機はここしかなかったが
「向こうの大将からは見えん!行くぞ!」信長軍は奇襲作戦で襲い掛かってきた。
馬は斜面は急過ぎて何頭か転げ落ちるが
「かかったぞ〜!行けー!」信長は配下とかかった。
「ゔぁー、襲い掛かってきた」兵士は混乱したが
「うぉぉぉ〜!行けぇ〜!」信長は突撃し「逃げろ〜!」混乱した兵士は逃げた。
「嘘だろ⁈怪我人出ても突き進んできよるぞ!」日吉丸は驚愕する。
そしてあっという間に囲まれて降参し「打ち取ったぞー!」兵士は声高々に言った。
「えぃえぃ、おぉぉぉ〜」勝鬨かちどきをあげる。
「じゃあ今日は終わりじゃ!」信長はさっさと終わらせる。
「殿?信長?」やんちゃでボサボサ頭が信長とは日吉丸は驚いたがそれ以上に果心居士は驚く。
そして、人数が圧倒的に少ない方が信長が指揮を取ったとこだった。
「喧嘩とは違う。これはなんじゃ⁈」果心居士は冷静に考える。一方、日吉丸は頭が混乱していた。
すると「なんじゃ!」遠くにおった日吉丸を見つけ、信長が吠えたばっかりに周りの兵士も(ギロッ)と見たし、果心居士は逃げる準備をした。
だか「ほー、何という警戒のよさじゃ」急いで山を降り「拙者、日吉丸と申します。殿、失礼で御座いますが喧嘩ではないと思うのですが?」日吉丸が言ったので、果心居士はどきどきしてたが飛び立つのを辞めた。
「なんじゃお前は?ガハハハ、これは喧嘩ではない、戦じゃ、戦の練習をしてるじゃ!」信長が馬の上から興奮気味に喋り
「これを見よ!相手が十だとすると自分らは一じゃ!普通なら戦うと負けじゃ、普通ならばな!
この戦では戦力ではこちらは負けなのだが、一転勝機があった。わかるか?
この戦の戦場は細い長い道が勝機だ。それを生してこちらが勝った!それにしてもサルみたいな奴だな」信長は大満足だった。
「殿、大変失礼ながら・・・いや、いいんです」日吉丸は思った。信長が抜かんでも、相手が抜いてしまうと。果心居士も思ったが
「あぁ〜、手を抜かんかって思ってるな?奴らは悪餓鬼でな、わしを殿とは思っておらんのよ。たがそこがいい。手を抜かれたら本番に役に立たない。そこがいいのよ!」信長が柿を(むしゃり)と齧かじる。
「あの〜、殿は今誰と戦う準備をしているのですか?」日吉丸ひよしまるが聞くと「・・・」信長は柿を頬張り無言。
「まさか、今川軍ですか?」日吉丸が恐る恐る聞いた。
すると「ほぅ〜」信長か目を細めて日吉丸に顔を近づいた。
「何故そう思うのだ?」信長が興味津々に聞く。
「ここが戦場を場合、これと似たような景色だったのです。それは今は今川軍、しかも今川軍と交戦中だとお聞きしました」日吉丸は考えたことない景色だった。
もし今、今川軍を討てばとんでもない大波乱が起きる、そう日吉丸は直感した。
だが果心居士は理解に苦しむ。
何故そう思うか?果心居士は今川義元いまがわよしもとを天下を取ると思っていたからだ。
「殿は天下を取れますか?」日吉丸は突飛をないことを聞く。
すると「世界の王を奪い取るのよ!そこにはまず日の本を統一とういつする!」信長は力一杯拳を固める。確信した、この男は天下人に最も近いだと。
「殿。志願させてください!」日吉丸が志願した。「はぁ?」果心居士は驚いたが
「我は忍びです」日吉丸は日秀、秀長、小六が急に現れて
「ほぅ」信長は目を細めた。
「拙者、信長様に就きます!それから蜂須賀軍をまとめます!」日吉丸らは最大の敬服を見せたし、信長自身最大の敬服となってるのをわかる。
忍びを主人と見ないという常識を覆せる信長と日吉丸は天下人となった嗅覚は凄いと言える。
「サル、今日から木下藤吉郎きのしたとうきちろうだ!使えんやつは斬る!覚えておけよ、ガハハハ!」信長は解散といって自分自身も帰って行った。
そして「日秀は武田たけだ、上杉うえすぎ、秀長は毛利もうりに根を延ばせ。特に武田は慎重にな」藤吉郎はさっそく指示を出す。
忍びはどこにでもいるが、どこにもいない、それが忍びだ。
「フフフ。面白くなってきたな。もし小国の織田おだ軍は勝ち、今川いまがわ軍は負けるとひっくり返るぞ」果心居士は烏の術で「もう少し見るか」飛び立つ。
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