烏が鳴く頃は

平山剛大

禿げ鼠

 (ザー、ザー)雨が降ったある日、橋の下で二人の男の人がボーと立っていたのを果心居士かしんこじは『からすの目』からてる。

 「あー暇だなぁー」日吉丸ひよしまるは言うと「お前もかー。俺も暇だなぁー」小六ころくもだった。

 すると(ガサガサ、ガサガサ)ふたりとも静かにし

 「金の匂いがするな?」日吉丸はペロッと唇を濡らす。

 すると遠くから人が走ってきた。

 「ハァ、ハァ」足軽が走ってきた。ただこの足軽は走って汚くはなっていたが傷は綺麗

 「おぃ、足軽が綺麗だぞ!」小六は喋って

 「見てくる!」日吉丸はすぐさま飛び跳ねていった。

 「おーい、おーい!何があったや?」日吉丸は手を上げて問うた。「おっ!気づいたな」小六とニヤッと遠くから笑う。

 「水をくれ!水を!」兵士は言うと「水やな!ほれ飲め」日吉丸は渡したが、水を(ゴキュ、ゴキュ)と一瞬で飲みだし、カラカラだったのだろう、もう一本と(ゴキュ、ゴキュ)「ぷはぁ〜生き返ったわ。」兵士はお礼をした。

 そんな礼などはいい。「どうしたんじゃ?」日吉丸が聞いた。

 「なんじゃ、知らんのけ?戦よ、戦!」もう一本くれんかと。

 「どことよ?」日吉丸はもう一本出して聞く。

 「織田軍と我が今川軍よ!」ありがとうと兵士は言い

 「それで伝達してどうなっておる?」日吉丸は聞いてきた。

 「ハハハハ、我が今川軍が無敵よ!それで松下之綱まつしたゆきつな様に御報告ごほおこくせなあかん!」兵士は笑ったが「あれ?伝達って言ったけ・・・」兵士はクナイが刺さって

 「あほ!」小六は遠くからクナイを刺した。

 「すまん、すまん!」日吉丸は手を合わせて言う。

 ただ「今川軍に就く!お前は他の人をまとめて各方面を行け!」日吉丸は小六に指示を出した。この日吉丸とは、なんとのち豊臣秀吉とよとみひでよしである。

 戦国時代、背中をいつ何時に刺されるかわからない。

 どこのどいつかはわからない奴に安易あんいに近づくなんてもっての外、小さい頃から忍びの訓練をやってた小六、日吉丸は常識。それも果心居士がわかるのも忍びだったからだ。

 (バサッ、バサッ)からすは飛び立った。

 この時「よーしっと」松下之綱まつしたゆきつなに逢うためにはなんと門番のところへ行き、わざわざ捕まりに行った。これには果心居士は「なぜだ?」と疑ったぐらい。

 案の定、門番を捕まえて松下之綱に連れていかれた。

 「ハッ!農民を捕まえましたこのいわく農民の伝令は第一陣を突破した模様。

 ただ死亡とのことで、この農民のうみんはそれを引き継いで門番で参上のこと。どうしましょう?」兵士が伺う。

 この時、果心居士は烏に化けて屋根から聞いていた。

 「よい、まだニ人帰ってきてない。もし、違った時は織田おだ配下はいか!切り捨てよ!」松下之綱は睨めつけていたが、日吉丸はもちろん知っていた。

 一人は絶対ないのだ。もちろん果心居士も知っていた。

 案の定、伝令の二人は同じことを言ってき

 「よくやった、褒美を取らせる!」松下之綱言っが「イヤイヤ、城主様、お褒め言葉十分です」日吉丸は褒美を受け取られなんだが

 「イヤ、褒美取らせるぞ!」松下之綱がかたくなに言う。

 そしたら日吉丸は下を向いて「じゃあ、草履ぞうり取りからをさせてもらいます。これなら殿に仕えてございます。どうでしょうか?」

 なるほど、こういう事か。門番に捕まって置いて、松下之綱に尋問されて、最後は褒美をもらう。

 しかし一旦は断るが、松下之綱から言われたら志願されて断るやつはいない。 果心居士は感心した。

 忍びの術ではない、それだけ厄介な相手。

 「ハハハハ!そんなんことでいいのか?草履取りからやらしたる!」松下之綱は笑う。

 あれよこれよと納戸なんと出納すいとうを任された。

 ただ、果心居士は暇であった、そんな時「話がある、丑三つ時に会おう」小六が変装して言ったのを見た。

 これを『烏の目の術』果心居士は見逃さずに烏の目を観て飛び立つ。

 (カーカーカー)日吉丸は夜の真っ暗の最中、日吉丸達の忍びからしたら、ちょっと暗いかな?ぐらい。

 「よおっ!」小六は橋の下だった。よく通る、夜なので見辛いが声でよくわかる。

 「なんじゃ、わしは忙しいんじゃ!」全然忙しくない格好で言った。

 「全然忙しそうではないぞ」小六が冷めた目で見たが

 「ほいで、なんじゃ!」日吉丸ひよしまるも冷めた目で見る。

 「ほうじゃほうじゃ!織田信長おだのぶながは知ってるるやろ?これがな中々面白い!こう言ってええんやろか、なんか天下の予感がする!何か勘じゃが」小六が目をキラキラさせる。

 「勘か。でもお前の勘は当たるからな?・・・よし乗った!そしたら、どうする小六?」日吉丸も興奮気味に言った。

 「まずは織田信長を就こうと思うんじゃ。だが織田信長に就くものは必死やぜ。命いくらあっても足らんぜ」小六はニッコリと笑う。

 「それじゃ、わしも移ろっかな?織田信長に。足取り頼むぜ」日吉丸らは出世の世、わかっていた。こうして烏も飛び立つ。

 こうして出世も周りはねたみ、いじめに会う為にわざわざいったのだ。

 さっそく次の朝、日吉丸は松下之綱に言ったのだ。

 「最近、虐めにうのです。」日吉丸ひよしまるはめそめそと涙をこぼすと

 「最近、何度も噂に聞くがそうか。わしの側から去ると、それで生きていけるのか?」

 「もう我慢の限界です」日吉丸ひよしまるはわんわんと泣いた。

 「そうか」見るに見かねた松下之綱が一貫文いっかんぶんを渡し実家に帰省する。

 しょんぼり帰ってたが、城から離れたのでウキウキと帰って

 「では、いくか!信長へ」ウキウキの日吉丸は戸を開け

 「行くか。日秀ひびり秀長ひでなが、行くぞ?」

 「日秀。起きろ!」

 「ん?行くのか?」大きなあくびをして、秀長は呆れながら行った。

 日吉丸達は旅立った。果心居士かしんこじも飛び立つ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る