信長包囲網が終わる

 そして「正親町天皇おおぎまちてんのうのおーなーりー!」(リーン、リーン、リーン)と正親町天皇は入ってきた。まるでその一帯だけ、鳥のさえずり、木々の薫り、神聖な空気と言う方が良いのか、戦国時代せんごくじだいとは別次元の空気を感じた。

 「おもてをあげなさい」

 「ハッ」信長があげるのを躊躇ったが

 「どうした?」

 「ハッ」信長は噴き出る汗で拭いた。ちなみに季節は冬。

 松永久秀を短期間で退治した褒美として、正親町天皇は、勅諚を下し、三位中将に任命した。

 「ハッハ〜」信長が答えると正親町天皇は後ろへ消えた。

 屋敷を後にした信長は何か違和感があったがその日は決して訪れる日はなかった。

 織田軍は岐阜城に帰城した。

 (カァー、カァー、バサッ、バサッ)烏と止まり中の様子を見た。

 「さてと岐阜城に帰城したが次は甲斐国の武田勝頼が東美濃に侵攻してくる!しかし、迎撃しようと思う!行くぞ!」信長軍は甲斐国の勝頼が東美濃に侵攻してくるのを見越して、これを迎撃しようと三万の兵で出陣。

 だが「遅かったな、やるか?」勝頼は信長の援軍が到着する前に東美濃の明知城が落城した。

 「やるなら勝ち負けをはっきりさせようか?」唐沢玄蕃は微笑した。

 信長は武田軍との衝突を避けて岐阜に撤退した。

 「クソッー!」信長がまた勝頼軍に負けたことを悔やんだ。

 仕方なく信長は伊勢長島の一向一揆を打ちに行く為

 「信忠!だだちに伊勢長島の一向一揆を叩きのめせ!」

 「ハッ」織田信忠は織田信雄・滝川一益・九鬼嘉隆の伊勢・志摩水軍を含む大軍を率いた。

 伊勢長島の一向一揆を水陸から完全に包囲。

 「よし。父上も呼んでやるか」信忠は岐阜城の信長へ使いをやった。

 「よし、わかった」信長は伊勢長島へ軍を進めた。

 「どうじゃ、進み具合は?」

 「父上。最初は抵抗は激しかったですが、ご覧の通りであります」信忠らは抵抗は激しかったが、兵糧不足に陥り、大鳥居城から逃げ出した一揆勢千人余が討ち取られるなど、一揆方は劣勢となる。

 「よし、抵抗戦力は一掃せよ」

 「ハッ」信忠らは答え火縄銃を構えていた。

 その矢先、長島城の門徒は降伏した。

 「降伏しようとしてるわ。そのまま引きつけろ」信長は微笑し、船で大坂方面に退去しようとした。

 だが「撃て〜!」(バンッ、バンッ)信長らは火縄銃の一斉射撃を浴びせ掛けた。

 「不意打ちだ!」一向宗側が言うと「何が不意打ちじゃ!先に不意打ちに食らったのはこっちじゃー!撃てー!」信長は有力武将が討ち取られたことによる半ば八つ当たりに近い。

 これを受けて信長は中江城なかえじょう、長島城ながしまじょうに立て籠もった長島門徒二万人に対して、城の周囲から柵で包囲。

 「焼き討ちじゃ!」信長は焼き討ちで全滅させた。

 この戦によって長島を占領した。

 これで終わりはあるはずもない、まだ戦は続く。

 武田軍は織田・徳川への再侵攻を繰り返しす。

 だがそんな中、武田軍より離反し徳川軍の家臣となった奥平貞昌おくだいらさだまさがいたのだ。

 武田勝頼は武田軍より離反し徳川軍の家臣となった奥平貞昌を討つため、貞昌の居城・長篠城に攻め寄せた。

 「信玄様はもう居らず、勝頼は頼りにならん。これにより徳川家康様に尽く!守れ〜!」貞昌は必死に叫ぶ。

 「おのれ〜、父上の時は尽くしたのに、勝頼はダメじゃと〜⁈攻めたてろ!」勝頼は必死に攻めた。

 だが貞昌軍の善戦により勝頼軍は長篠城攻略に手間取る。

 一方織田軍はというと大規模な練習をしていた。

 織田・徳川連合軍と武田軍の逆襲劇が始まる。

 「どうじゃ?成果は?」信長は馬に乗って現れた。

 「訓練はもうちょっとで終わりです!あとは」秀吉がニヤリとすると「そうか!武田軍は如何に鍛錬しようとも我が火縄銃で葬る!ハハハハ!」信長は高笑いする。

 一方で信長は指揮官らの佐々成政ら五人の武将に多くの火縄銃を用い「成政!もう一度!」信長は繰り返し射撃を行わせた。

 「成政。これは指揮官達の連携で決まるといっても間違いじゃない!」

 「ハッ!」

 「もう一度!」信長は佐々成政ら五人の武将に叩き込んだ。

 一方で「もう一度攻める!」武田勝頼は指示を出す。

 勝頼は「くノ一を呼べ」

 「ハッ」唐沢玄蕃はくノ一部隊を呼ぶ。

 くノ一部隊は予備集めて「徳川軍、正室・築山殿、嫡男・信康が怪しい動きありっと伝えろ」勝頼は伝えてくノ一部隊は消える。

 しかし烏は見た。

 「武田軍は離反してそのくせ奥平貞昌は引き下がった。情け無いな、武田勝頼は。そのくせ信玄が親とは。信玄の時は窓もない密室で行われてたが」果心居士は飛んで行く。というのも信玄の時は密室だったことだ。今じゃ、勝頼の時だったら開放する。

 ちょうどその頃「武田軍と裏切せようと徳川軍、正室・築山殿、嫡男・信康が怪しい動きがある」小六が秀吉に報告。

 「何⁈」

 「ただ怪しい。築山殿と嫡男・信康が完全に誤報で二人共会ってはいないそうじゃ。捕虜の武田軍のくノ一部隊が吐いたそうじゃ」

 「ほぅ。それで誤報をあたかも事実ということか?」秀吉はニヤけた。

 「そうじゃ。徳川家康の正室・築山殿、嫡男・信康が怪しいと信長様に告げ口すると、秀吉の株は一段と増すものよ!」小六はケラケラ笑う。

 「お前、武田たけだ軍のくノ一は生きておるのか?」

 「中々武田軍のくノ一はしぶとく生きておるわ!飲まず食わずで気を失っては水をかけては起こしてムチを食らっているよ!もう体は麻痺を起こしてるかもな」小六は噴き出した。

 「しぶとくか。お前は相変わらずえげつないからな。まぁ、わしは徳川家康の正室・築山殿、嫡男・信康が何やら怪しい動きと信長様をと。フフフ、笑けてきそうじゃ」秀吉は微笑して信長に会いに行く。

 秀吉は先の浅井長政の一件いらい信長は秀吉に大変感謝していた。だからすんなりと会うことが出来た。

 「なんじゃ?言うてみよ!」信長は上機嫌だったが

 「ハッ。徳川家康の正室・築山殿、嫡男・信康が何やら怪しい動きと」秀吉は言うと

 「な〜に〜⁈」信長は上機嫌だったが一気に沸騰しかけた。

 「何やら小六が捕虜の武田軍のくノ一部隊が吐いたそうです。一応御用心を」

 「家康を呼べ〜!すぐに呼べ〜!」信長は大激怒。

 すぐさま家康を呼ぶ。

 「徳川家康の正室・築山殿、嫡男・信康が武田軍のくノ一部隊が吐いたそうじゃ!何か言い訳をあるのか!」信長はカンカンに怒る。

 「信長様、信長様!それはない!あるはずがない!なんかの間違いじゃ!」家康は断じて違うと。

 が「噂がたつこと自体おかしい!二人を斬れ!それか家康、お前もか!斬れ!」信長が命令した。

 徳川家康の正室・築山殿を殺害、嫡男・信康を切腹させて、果心居士はじっと遠くから見ていた。すると望月千代女も見にきた。

 「ねぇ。徳川家康の正室・築山殿を殺害して、嫡男・信康を切腹させるのはさすがに許されないのだけど」望月千代女は冷静に果心居士を見る。

 「確かにな。だが徳川家康を裏切るのはこの様な結果をもたらすと示したんだろう」果心居士は冷静に答えたが

 「オィ!何を冷静に答えてる?違うだろうが!秀吉に嵌められてるんだろうが⁈違うんか⁈」望月千代女は果心居士の胸ぐらを掴んだ。

 「確かに嵌めな。だが武田勝頼はこれによって確実に滅ぶ」果心居士は望月千代女の胸ぐらを掴んだままグイッと前に出てきた。

 「どうした?殴らんのか?」

 「殴らよ。だかな信長と秀吉を尽くあんたも呆れて物をよく言えん」望月千代女は離して消える。

 だが果心居士も思っていた。 あれでいいのかと。

 そんなこんなに武田勝頼は次々と落としていった。

 烏は止まりながら織田軍は怒るおこるかと思いきや「次々と落としてしまってる、馬鹿よの〜、これで居てわ兵站へいたんが長くなる事に気が付かんとは。それも気が付かせんとは本当に貴方は恐ろしい」黒田官兵衛は竹中半兵衛を恐ろしいっと揶揄からかって見せる。

 竹中半兵衛は「お主では見抜いておったではないか」肩をすくめて言う。

 「半兵衛、なかなか大したもんじゃ!これはワシィではころっと騙されておったわ!」秀吉は頭をペシッとしてた。

 「ほほう。忍びのわしは気がついてなかったが、兵站が長くなる事がそんなに不利か?よく竹中半兵衛と黒田官兵衛は気づいていたな」果心居士は烏に化けて飛び立つ。

 そして「よ〜し、これで整った!」秀吉が勢いよく言う。

 「徳川の兵は煮湯に飲みおったな〜。これも勝つためよ。そしたら戦死したものも浮かばれまする」官兵衛は秀吉に言ったが

 「官兵衛。兵も親、兄弟、そして嫁や息子、娘とおる。死んで良い兵など居ない」半兵衛は官兵衛の事をキツくしかり

 「はい。失礼しました」官兵衛は半兵衛の言うことだけ言う事を聞いた。

 一方で初めての実践を試そうとした。

 「もうちょい待て。もうちょい待て。今だ!」秀吉は小六の方を見て「弾を込め、狙いを定めさだめ、、、撃てぇー!」小六は次々と撃ち落とす。

 「どうじゃ?」信長は秀吉を見た。

 「これは画期的であります!」秀吉は満足する。

 世に言う長篠の戦いの三段構えである。

 時は戻り遠江・三河を再掌握すべく反撃を開始し、蜘蛛は動く。

 武田軍の奥平家は徳川の離反したが徳川家の忍びが活躍した。

 「護れ!ここを護れば織田軍が来る!」忍び叫んぶ。

 大軍の指揮を執り三河へ侵攻し、長篠城を包囲する。

 これにより、長篠・設楽原における武田軍と織田・徳川連合軍の衝突に至った。

 だが始めは小さなミスで怒った。

 「殿!内通者を捕らえた!」徳川家康の家臣、服部半蔵は内通者を引き摺ずって言う。

 「よくやった、半蔵!」家康は半蔵をよく褒めた。

 「ハッ。オィ、喋れ!武田軍の内通者は誰じゃ?」半蔵は内通者を問う。

 (ペッ!) 「ヘッヘッヘッ」内通者は半蔵に向けて唾を吐いた。

 すると(んぅ〜⁈)「このやろう⁈」なんと半蔵は内通者の足の爪を剥がした。

 「どうだ?悶絶もんぜつする痛みだろ?喋ったら解放してやる。内通者は誰だ?」半蔵は冷淡に言ったが「殺せ!」内通者は言ったが(んぅ〜⁈)「死ぬなんて赦すと思ってるのか?あらゆる地獄の苦痛を味合わせてやる」半蔵は家康も目を背向けるぐらい内通者の響きを三日三晩続けた。

 「内通者は誰だ?」半蔵は意識を失っていた内通者を水で起こして言った。

 (ポタポタ)「大岡弥四郎おおがやしろう。」内通者は心も体もズタボロになって言う。

 「大岡だと⁈あいつは!」家康は激怒。

 「よく喋った。褒美じゃ、何がいい?」半蔵は内通者に聞く。そしたら「殺してくれ」内通者は言い「わかった」半蔵は殺害し、丁重に弔った。

 これにより、大岡弥四郎の調略に成功した武田軍が岡崎城を目指したものの

 「何⁈バレただと?」

 「ハッ。大岡弥四郎はバレたと」唐沢玄蕃は冷や汗を掻いていた。

 「クッソ⁈長篠方面に進路を変えるぞ!」武田勝頼は内通が発覚して大岡が殺害されたために長篠方面に向きを変える。

 これは望月千代女達が頑張った。まずは蝙蝠として声帯から超音波を発して、その内通者と思しき者を捉える。この内通者と思しき者はこの城には居らなかった事だ。これを半蔵に伝える。それにより徳川軍は向きを変えさせるのに成功。

 一万五千の武田軍の大軍に対して、たったの長篠城の守備隊は五百人の寡兵であった。

 しかし「クッソ!中々落ちんな!」武田勝頼は椅子に座りながら言う。

 「鉄砲や大鉄砲を有しておりまして」兵士は困りながら事情を説明した。

 「そんな事わかってるわ!」武田勝頼は苛立ち怒る。

 また周囲を谷川に囲まれた地形のおかげで武田軍の猛攻に何とか持ちこたえていた。

 「火矢を使いましょう」唐沢玄蕃は提案。

 「火矢か。火矢をどこを目指したらいい?」

 「兵糧蔵で、兵糧攻めで」

 「よし、放て!」武田勝頼は兵糧蔵を目掛けて火矢を浴びせた。

 「うわ〜。火矢だ!消せ、消せ、兵糧蔵を消すんだ!」奥平貞昌は全兵を動員して火を消す。

 しかし兵糧蔵の焼失により食糧しょくりょうを失い、数日以内に落城必至の状況に追い詰められた。

 深夜「すまぬ!頼めるか⁈」奥平貞昌の家臣である鳥居強右衛門とりいすねえもんを密使として放ち、約六十五キロメートル離れた岡崎城の家康へ緊急事態を訴えて、援軍を要請させる。

 (ハァ、ハァ、ハァ)夜の闇に紛れ、川に潜って武田軍の厳重な警戒網を突破。

 鳥居はやっとの思いで、たどり着いた岡崎城では、門兵に「奥平貞昌様の家臣であります、鳥居強右衛門、鳥居強右衛門とございます!援軍、援軍は、援軍はまだですか?」なんと直訴した。

 「お待ちください!とりあえず中へ」門兵は鳥居を中へ入れてこちらへ待てと言って慌てて報告しに行く。

 「報告!奥平貞昌の家臣、鳥居強右衛門と申す者!徳川家康様に何か報告が!」兵士が報告。

 「何⁈奥平貞昌の家臣だと?通せ!」家康は慌てて命じた。

 「ハッ」兵士は通した。

 「よく参った、よく参った!」家康と信長、秀吉は既に信長の率いる援軍三万人が、家康の手勢八千人とともに長篠へ出撃する態勢であったのだ。

 「あぁ、約束する、この信長が約束する!ハハハハ!」信長は茶を飲むかと勧めると「あ〜、あ〜、本当に来てくださるのですね?ありがとうございます、ありがとうございます!」(ゴクッ、ゴクッ)茶を飲んですぐに鳥居は戻って報告しに行く。

 そして家康と信長の大軍が長篠城救援に出陣することを知らされると「直ぐに帰ります!」朗報を一刻も早く長篠城に伝えようと引き返したのだ。

 「ハハハハ!もうすぐ家康様と信長様の大軍が長篠城救援に来てくれるぞ!」鳥居は同じ道順で帰る。

 その矢先「何処へ行く!」城の目前まで来たところで唐沢玄蕃に見つかり、捕らえられてしまった。

 「ここまで来て!」鳥居は悔し泣きをしたが

 「同じ道順で帰るか、バカめ。連れて行け!」唐沢玄蕃は他の忍びに連れて行かれる。

 死を覚悟の鳥居は、武田軍の忍者軍から厳しい尋問が待っていた。

 だが、自分から長篠城の使いであることを述べ、織田・徳川の援軍が長篠城に向かう予定であることを堂々と語った。鳥居の豪胆に感心した武田勝頼は、鳥居に向かって「今からお前を城の前まで連れて行くから、お前は城に向かって『援軍は来ない。あきらめて早く城を明け渡せ』と叫べ。そうすれば、お前の命を助け、所領も望みのままに与えてやろう」と取引を持ちかける。「ォオ、やりますとも!是非ぜひやらしてください!」鳥居は快諾。

 「ガハハハ!軽いな?」武田勝頼は軽さのあまり驚く。

 「殿!織田徳川連合軍はこの目で見ました。これでは勝ち目はございません。これでは援軍は来ないというのもあながち嘘ではないです。奥平貞昌様も早く城を明け渡すはずです」鳥居は笑う。

 「ガハハハ!そうか、織田徳川連合軍も援軍にならんか?よし、いってやれ!」勝頼は快諾。

 実際に城の前へ引き出された鳥居は、大きな声で「あと二、三日で、数万の援軍が到着する。それまで持ちこたえよ!」と、勝頼の命令とは全く逆のことを大声で叫ぶ。

 「信玄様はな武田軍以外、絶対信用せなんだ。勝頼、お前はここまでじゃ!ハハハハ!」これを聞いた勝頼は激怒し「おのれ〜!磔にして長篠城に見える様にしろ!」その場で鳥居を磔にして、槍で突き殺す。

 しかし、この鳥居の決死の報告のおかげで、「鳥居!おのれ〜!」援軍が近いことを知った貞昌と長篠城の城兵たちは、鳥居の死を無駄にしてはならないと大いに士気を奮い立たせ

 「鳥居様があんな姿で守った城じゃー!守れ、守れ!」望月千代女達も奮い立つ。

 (ギィャーー)「蜘蛛じゃ!噛みつき寄るぞ⁈」援軍が到着するまでの二日間、見事に城を守り通すことができ「織田軍と徳川軍じゃ⁈話が違うぞ!大軍勢じゃ、退くぞ〜!」武田軍は織田徳川連合軍の聞いていた量を超えて行き退く。

 「退いてるわ、ガハハハ!」信長は馬に乗って笑い

 「追いかけますか?」秀吉も馬に乗って信長に聞く。

 「よい」信長は馬を止めて降りた。

 「奥平貞昌様だな?」信長は冷静に見て

 「ハッ。すみません、こんな姿で」貞昌は人の手を借りて謝った。

 「よい。それはそうと鳥居強右衛門はこなんだか?」信長はあたりを見渡す。

 「鳥居強右衛門は死去しました。帰りに捕まってまで鳥居強右衛門は『あと二、三日で、数万の援軍が到着する。それまで持ちこたえよ!』と罪を被り磔に。それにより、援軍が到着するまでの二日間、見事に城を守り通すまもりとおすことができもうした」貞昌は涙を流した。

 「天晴れ、鳥居強右衛門!」家康も涙を流し「ここに碑を建たせる!」織田徳川連合軍を碑を建たせる。

 その信長軍三万と家康軍八千は、長篠城手前の設楽原に到着。

 「鳥居強右衛門の仇、武田勝頼の血で染めようぞ!」家康は激怒して士気をあげた。

 設楽原は原といっても、小川や沢に沿って丘陵地が南北にいくつも連なる場所であった。

 「さぁ、始めてるぞ?」果心居士はまじまじと見てた。

 「あぁー、相手に怒ったのは始めてよ。そして味方に怒ったのは?」望月千代女は(ギロッ)と果心居士を見た。

 「紙一重よ。その場合、正室・築山殿、嫡男・信康が適任だった訳だ」

 「覚えてるから。ずーっと。行くよ!」望月千代女はくノ一部隊に消える。

 ここからでは武田軍の深遠しんえんまで見渡せなかったが、信長はこの点を利用し、三万の軍勢を敵から見えないよう、途切れ途切れとぎれとぎれに布陣させ、川を堀に見立てて防御陣の構築に努める。これは、川を挟む台地の両方の斜面を削って人工的な急斜面とし、さらに三重の馬防柵を設けるという当時の日本としては異例の野戦築城だった。

 信長側は、無防備に近い砲隊を主力として柵・土塁で守り、武田の騎馬隊を迎え撃つ戦術を採る。

 一方、信長到着の報を受けた武田陣営では直ちに軍議が開かれる。

 「信長が⁈何か怪しい、退きましょう!」

 「そうです、一度退きましょう!」

 信玄時代からの重鎮たち、特に武田四名臣といわれる山県昌景・馬場信春・内藤昌秀らは信長自らの出陣を知って撤退を進言。

 「我が騎馬隊を見よ!弾を込んでいるうちに騎馬隊は突っ込んでいくわ!大将首貰いに行くぞー!」だが勝頼は決戦を行うことを決定する。

 そして長篠城の牽制に三千ほどを置き、残り一万二千を設楽原に向けた。

 武田軍のこの動きを見た信長は、「今回、武田軍が近くに布陣しているのは天の与えた機会である。ことごとく討ち果たすべきだ」と思った。

 「殿は益々天に好かれるみたいですな」秀吉は笑ったが

 「好みたいではない、好いとるのだ!」信長が高笑う。

 長篠の戦いは一方的であった。

 夜の合同軍議中に徳川軍の酒井忠次が発案したものであったが「そのような小細工は用いるとはけしからん!」と罵倒され、問答無用で却下した。

 しかし、信長が軍議の場で忠次の発案を却下したのは、奇襲作戦が武田軍に漏れる可能性を恐れてのことであった。

 軍議の終了後、「忠次!ちょっとこい!馬鹿者が!」信長は忠次を密かに呼びつけて、「そなたの発案は理にかなった最善の作戦だ!見よ!武田軍の奴らじゃ!」信長は武田軍の忍び消えたのを見て忠次に言う。

 「忠次、全体の指揮をとれ!」と忠次の発案を褒め称え、直ちに作戦を実行するよう忠次に命じる。

 深夜、「織田軍より全体の指揮ことになった。行くぞ〜」忠次は全体の指揮権に移った。

 徳川軍の中から弓・火縄銃に優れた兵二千ほどを選び出して忠次に率いさせ、これに自身の鉄砲隊五百と金森長近ら検使を加えて約四千名の別働隊を組織し、奇襲を命じる。

 別働隊は密かに正面の武田軍を迂回して豊川とよがわを渡河せとし、南側から尾根伝いに進み、翌日の夜明けには長篠城包囲の要であった鳶ヶ巣山砦とびがすやまとりでを後方より強襲。鳶ヶ巣山砦とびがすやまとりでは、長篠城を包囲・監視するために築かれた砦であり、本砦に四つの中山砦なかやまとりで・久間山砦ひさまやまとりで・姥ヶ懐砦うばがふところとりで・君が臥床砦きみがふしどとりでという構成であったが

 「落とせ〜!」「次」「人喰い蜘蛛ひとくいくもだ⁈」奇襲の成功により全て落とされる。

 これによって、織田・徳川連合軍は長篠城の救援という第一目的を果たした。さらに籠城していた「徳川軍が助けてくれたぞ!今だー!」奥平軍を加えた酒井奇襲隊は追撃の手を緩めず、武田支軍まで掃討したことによって、設楽原に進んだ武田本隊の退路を脅かすことに成功。

 『蜘蛛喰いの術』望月千代女達は人喰い蜘蛛になって襲い掛かっていた。

 (ギィャーー)「なんなんだ⁈」

 「しまった!『蜘蛛喰いの術』だと⁈望月千代女達か⁈噂程度しか聞かんが」勝頼は唐沢玄蕃の情報でピンときた。

 「信長め〜!酒井軍の叱責は罠だったのか⁈」唐沢玄蕃は悔しそうに言う。

 「わかったか?」望月千代女は『蜘蛛喰いの術』になって次々と襲う。

 「クッ⁈だが勝てると思わない方がいいぞ!」唐沢玄蕃は『鎌鼬の術』(ヒュルヒュル)と口に溜めて一刀両断で斬りつけた。

 だが『蝙蝠の術』一瞬で風の斬る音を割り出した。そして蝙蝠になって上手く空気の間を抜けていく。

 「何だと?」唐沢玄蕃は驚いてすぐさま距離をとった。

 「あら、酷いこと。そんなに距離を取る必要ないのに。」蝙蝠は何匹と束になって望月千代女となった。

 「なんだあれは?」唐沢玄蕃は冷や汗をかく。

 「『蝙蝠の術』よ」

 「聞いてないな?それはどういう術だ?」

 「聞いてどうするのよ?蝙蝠は『死の蝙蝠』って言われてるのよ。ピッタリじゃないかしら?」望月千代女は「殺しな。」くノ一部隊は一斉に唐沢玄蕃に襲う。

 「チッ。退くか⁈」唐沢玄蕃は退こうとしたが

 「逃すか!」望月千代女達は追撃してきた。

 だが唐沢玄蕃は『鎌鼬の術』(ヒュルヒュル)と口に溜めて一刀両断で斬りつけて一瞬の隙間を見つけて逃げ出す。

 「逃げたか」望月千代女は唐沢玄蕃を来るのを察知したのかすぐさま逃げた。

 「このままで済むと思うなよ」望月千代女は怒り「行くよ?」くノ一部隊は消える。

 この鳶ヶ巣山攻防戦とびがすやまこうぼうせんによって武田軍の動きは、主将しゅしょうの河窪信実かわくぼのぶざね、三枝昌貞さいぐさまささだ、五味高重ごみたかしげ、和田業繁わだなりしげ、名和宗安なわしげゆき、飯尾助友いいおすけともなど名のある武将が討死。

 武田軍の敗残兵は本隊への合流を図ってか豊川を渡って退却するものの

 「そりゃいたぞー、突っ込め!」「逃げろ〜!」酒井奇襲隊の猛追を受けた。

 一方で「撃てー!」(バンッ、バンッ)「次、撃てー!」(バンッ、バンッ)秀吉が軽やかに言う。

 武田軍の一部が向かって左側に移動。それを見た竹中半兵衛は秀吉は回りこまれるのではないかと焦あせった。

 「これは待つべきです。罠です。」半兵衛は言ったが「織田軍の陣に穴を開けるための陽動ではないか?」「えーい、半兵衛は間違えておるぞ。突撃!」秀吉は半兵衛に従わず迎撃のため兵を動かしたが、半兵衛は反対した挙句手勢と共に持ち場を離れなかった。

 「いいのですか?」果心居士は尋ねた。

 「いいのだ」半兵衛は穏やかに言う。実は果心居士、織田信長、羽柴秀吉ではなく竹中半兵衛についていたのだ。

 だから斎藤軍の情報も織田軍の情報も果心居士、竹中半兵衛には筒抜けだったのだ。

 そして今回も「果心居士。武田軍は間も無くか?」

 「ハッ。計算通りかと」

 まもなく武田軍は元の位置に戻って秀吉が不在の地点に攻め寄せせめよせる。

 「行けー!」武田軍は吠えたが「討てー!」(バンッ、バンッ)(ワォーン)半兵衛は一枚上手であった。

 「狼が食い千切れる⁈」武田軍は泡を食って「討てー!」(バンッ、バンッ)完膚なきまでやられた。

 一方で秀吉も「戻れ!罠じゃ!」慌てて帰還したが「おかえりなさい」半兵衛がさらっと言う。

 「えっ⁈」秀吉は周りには静かに武田軍達の死体だった。

 それを見た秀吉からは「半兵衛にはわしも武田軍さえも掌で転がされてるは!」絶賛し半兵衛のことを「すまなんだ。今後は半兵衛の言う通りにする」

 「殿は殿のまんまでいいですよ」半兵衛は穏やかに笑う。

 この戦いで織田・徳川連合軍は武田軍に圧勝。武田軍は有力武将の多くを失う。

 これらの侵攻に対して武田軍では組織的な抵抗ができなかった。

 この情報に武田軍の将兵は人間不信を起こし、将兵は勝頼を見捨て、隙を見ては逃げ出す。

 「もう勝頼様じゃ無理だ。知らぬ間に加藤段蔵逃げるとわ、侮れんな!真田昌幸様に逃げるか」唐沢玄蕃は真田昌幸について去っていく。

 さらに「まて〜、討ち取れー!」後方からは織田軍の滝川一益の追手に追われ、逃げ場所が無いことを悟った勝頼一行は武田氏ゆかりの地である天目山棲雲寺てんもくざんせいうんじを目指す。

 「クッソ!唐沢玄蕃はどうなってる?」勝頼は部下に訪ねた。

 「ハッ。今、探してるところです、が、逃げたかと」

 「逃げただと⁈」

 「これだけでは唐沢玄蕃様はやられません。ましてや行方不明の加藤段様は消えるはずがありません」

 「唐沢玄蕃〜、加藤段蔵〜、殺してくれる!」勝頼は坂を登ってる最中に

 「いたぞー!討ち取れ!」一益は猛追した。

 「ここまでか」勝頼は一益の追手に捕捉され、勝頼は嫡男の信勝や正室の北条夫人とともに自害。

 長篠における勝利、そして一向一揆平定による石山本願寺との和睦で反信長勢力を屈服させることに成功した信長は、『天下人』として台頭した。

 また、徳川家康は三河の実権を完全に握り、遠江とおとうみの重要拠点である諏訪原すわはら城・二俣ふたまた城を攻略していき、高天神たかてんじん城への締め付けを強化した。

 その後も義昭は信長に対して抵抗し、再び挙兵して、槇島まきしま城に立て籠もったが、信長は義昭を破り追放する。

 「これで一旦終わったな」果心居士は宴席の影から見渡した。

 「まだまだ序盤。北は上杉、西には毛利、大坂本願寺、大友、東へはあの北条よ」望月千代女も宴席を見る。

 「まあな」果心居士と望月千代女は消えり、兵士達は忙しく宴席の準備をしていた。

 正月、信長が内輪の宴席において、「殿⁈これはなんですか⁈」明智光秀は聞く。

 それは漆塗うるしぬりに金粉きんふんを施ほどこすことにした三つの髑髏どくろを並んでいた。

 「お〜、これか?これは朝倉義景・浅井久政・長政の頭蓋骨ずがいこつの漆塗りに金粉を施したものよ!」朝倉義景・浅井久政・長政の頭蓋骨を御肴おさかなとして白木しらきの献上台けんじょうだいに据え置き、「よくやった!宴じゃ!ガハハハ!」「・・ワハハハ、」皆で謡うたい遊び酒宴を催もようした。

 だが、皆で謡い遊び酒宴を催すものは居ない。

 一人居た、羽柴秀吉だ。

 他の者が引いていたが、破天荒に羽柴秀吉は惹かれた。

 これが織田信長なのだ。これが天下人なのだと。

 烏はどこかへ飛んで行き、神聖しんせいな空気が流れてた。

 (バサッ、バサッ)と果心居士は降りたつ。

 本殿まで入るとキョロキョロと見渡し裏入り口へ入ると真っ暗闇で果心居士で居心地が良かった。

 そしたら(リリーン、リリーン、リリーン)真っ暗闇が何とも言えない微かに風が吹く。

 「すまんな、果心居士」何者かは落ち着いた感じで果心居士に聞く。

 「ハッ。何事でしょうか?」

 「お前は今誰についてるのか?それを聞こうかと」

 「ハッ。織田信長についています」

 「そうか」何者かは果心居士は汗をかいた。そう、信長の髑髏がきっと出る。

 「正月、信長が内輪の宴席において、漆塗りに金粉を施すことにした三つの髑髏を並んでいたと聞く。事実か?」

 やっぱりか〜っと思ったが一応知らない方がよい。「どうしてそのことを⁈」

 「事実か?」何者かは威圧的に聞いた。

 「ハッ。朝倉義景・浅井久政・浅井長政の頭蓋骨の漆塗りに金粉を施したものだそうです」

 何故か重たい空気になって「何故、そういうことをするんじゃ?」

 「ハッ。織田信長は朝倉義景・浅井久政・浅井長政を許さないと示す意味で頭蓋骨の漆塗りに金粉を施しただそうです」果心居士は汗をかいて、しかし拭くことを許せないと無言の圧力をかかった。

 「ダメだよな?死者は何人たりとも恥ずかしべからずに埋蔵しゅうるべきだよな?次そういう時があった場合」何者かは果心居士かしんこじに重力をかけて

 「斬れ」何者かは果心居士をさらに重力をかけて(つぶ〜)

 「できるな?」何者かは果心居士をさらに重力をかけていた。

 「ハッ!」果心居士は言うと急に軽くなった。

 (ハ〜、ハ〜、ハ〜)

 「そう。行っていいよ」

 「ハッ!」果心居士は早く飛びたとうとしたが

 「あ、そうだ。忍びは君だけではないよ。果心居士以外にも居るからね。しかも忍び以外もあるからね」

 「ハッ!」果心居士は早く飛び立つ。

 「悪かったね、望月千代女?」望月千代女はガクガク震えた。

 「ハッ!」望月千代女も重力を受けてた。

 「望月千代女は推す人は?」

 「ハッ!徳川家康です!」望月千代女はまだガクガク震えている。

 「徳川家康か。いいね、織田信長とは表面上は仲がいいしね。正室せいしつ・築山殿つきやまどの、嫡男・信康のぶやすは悲しいことしたね」

 「ハッ。」

 「さっき果心居士といったけど、恨み辛みはダメだよ」

 「ハッ。影の王」望月千代女は消える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る