次は誰の手に
秀吉の死後、五大老により、朝鮮半島在番の日本軍に帰国命令が発令される。
この頃、官兵衛は「遠からず天下の覇権をめぐって最後の大波乱だいはらんが起きる」黒田長政に言い残してわざわざ上洛し伏見屋敷に居住した。
後継者である豊臣秀頼を補佐するための五大老・五奉行の制度を定め、五大老の一人に徳川家康を任命にんめいする。
結果的に家康は兵力・財力などの消耗を免れ、自国を固めることができた。
「サルの奴は良いことするな?」家康が笑い「誠に」服部半蔵も笑う。
ただ顔を真剣に「それよりちど面倒臭い男が」服部半蔵は真剣に睨んだ。
「前田利家だろう」家康も真剣なっていた。
「ここは望月千代女で!」服部半蔵は答える。
生前の秀吉が『大坂城中壁書』にて制限した大名間の婚姻と私的な交流になるのを制限した。
しかし「しまった!済まんかった!この通りじゃ!」家康や福島正則らが抵触することを謝まる。
「徳川様!あまりに不自然じゃ!」石田三成は問いただした。
ただ「オィ、徳川様、次はないぞ!」それを詰問した前田利家・石田三成ら大老・奉行衆との間に緊張が高まる。
「以後、気をつけまする!」家康は土下座して言い
「気をつけたらいいんじゃ。では前田利家、この件預からしてもらう!よいな、三成?」「・・・ハイ」三成は渋々答える。
家康が帰った後、三成は利家に「これでいいのですか?家康は明らかに此方への反逆!少なくとも減俸しましょうぞ?」言ったが「嫌じゃと言って、減俸ごときと徳川家に争うのか?もう手遅れじゃ。全ては今や家康の手の中じゃ」利家は言うと三成も黙る。
(ゴボッ、ゴボッ)利家の病状が悪化となり、家康が病気見舞いのため大坂の利家邸を訪問した。
「何?家康が見舞いだと。通せ。」利家は抜き身の太刀を布団の下に忍ばせた。
「利家様。大丈夫ですか?」家康と望月千代女だけにした。
「おぉ〜、家康様。な〜に、歳劣っただけよ、いつものことじゃ。それはそうと誰かな?」利家は鋭い目で望月千代女を見た。
しかし「千代ちよと申します。殿のお側をしているものです」
「千代。ちょっと利家様と話をしてよいか?」
「では、外します」望月千代女は利家を見ずに部屋出て行く。
「帰るぞ?」家康は利家に出てから望月千代女に言う。
「もう間もなく死にます」
「そうか。毒薬は?」
「必要ありません。毒をしてる者としては、、、末期です。ここ三日以内です」
「健康にありたいなぁ」家康はいって次の朝、槍の又左またざの異名を持つ前田利家が死去する。
その直後の夜、福島正則や加藤清正ら七本槍の七将が、大坂屋敷の石田三成を殺害目的で襲撃する事件が起きる。
三成は佐竹義宣さたけよしのぶの協力で大坂を脱出して伏見城にある自身の屋敷に逃れる。
そして伏見城。三成を追いかけてきた加藤清正は伏見城に入って行った。
すると「待てぇ!」扉を前に本多忠勝は仁王立ちになっていった。
「石田三成を寄越してください!」福島正則らが詰め寄ってきた。
「寄越せだと⁈」忠勝は鬼の顔をして正則らがが後退りしたが
「ならん」扉を開けると家康がいた。
「どうしてでしょうか?
わしらは三成に用がある!徳川とくがわ様には関係ない!」加藤清正は怒髪天の怒りを滲ませていたが
「関係ないとは何事じゃ〜!」忠勝も怒髪天の怒りを滲ませていた。
すると正則らが黙る。
「で、どうするつもりじゃ?」家康は分かりきった事を聞く。
「殺すのです。『あれは五奉行ではない。きちんとやれば出来たはず、これは七本槍じゃって!』言うたらしいのです!」加藤清正らは言い、他の人らも頷づく。
「ならん!秀吉様が私的な戦を禁止する法律を創られてるのをお主らはよ〜く知ってるだろが!」家康は怒り清正らは反省した。
「しかし、三成様のやり方はどうかと思う。どうだろうか、わしに任せて見やんか?」家康は尋ねて、みんな相談する。
そして「お願いします」清正らは大人しく帰って行う。
「帰りました、三成様」家康は後ろに隠れた三成に言う。
「ありがとうございます。ただ五奉行ではなく、これはきっと七本槍です!」三成はどうしても七本槍のせいにしたかった。
「三成様、七本槍は五奉行の筆頭、石田三成っと来たのです。それも激怒して。どうだろうか、隠居で?後は任せては?」家康が言うと三成は言い換えそうとした「でも、、、」が家康は呆れかえってたが「お願いします」納得して、結果として三成を失脚さた。
「ハハハハ、三成は失脚したか!」家康は笑う。
家康の仲裁により三成は奉行の退任を承諾して佐和山城に蟄居することになり、退去の際には護衛役として家康の次男・結城秀康があたる。
「殿、ご相談が」望月千代女は家康に相談したのだ。さすがに家康もビックリしたが
「どうした急に。今まで相談はあったか?」
「私は把握してるのはないですが・・・」
「いってみろ!やるかやらないかは検討するがな」
「ありがとうございます。ではさっそく、果心居士を呼びたいと思います。宜しいですか?」望月千代女は果心居士を呼びたいと言う。
「呼びたいと言って、三成とかに就かないのか?」
「それはないです。それに秀吉以外には就こうとは思えないです」
「で、お前なら行けるっと?」
「わかりませんが、今は背中を折れてしまって引退です。ですが・・・」望月千代女は家康に頼み込んだ。それほど望月千代女は果心居士を取り込みたいのだ。
「わかった、お前に任す」
「ありがとうございます。では」望月千代女は消える。
一方で果心居士は折れた腰を大事にして有馬温泉に通ってた。
湯に浸かると「どうしたのよ」望月千代女は現れる。
「石川五右衛門となる者に腰をやらかしたのだよ」果心居士は拗ねた。
「そう、それは大変だったわね、石川五右衛門となる者はそんなに強いの?」望月千代女は果心居士をここまでやるということで興味津々だった。
だが「興味津々だが違うぞ。石川五右衛門となる者一人に対して精鋭の秀吉軍は死傷者に九百人なったそうだ」果心居士は望月千代女に失笑した。
「まぁ、秀吉様が死んではここで休養をしてるわけだ」
「そう。どう?家康様に就いては?」
「家康か。秀吉様とはよくやり合って仲だからな」果心居士は懐かしく思ったが
「とりあえずは腰を治してからだな」果心居士は望月千代女に言ったが
「そう」望月千代女は少しモジモジしたが
「以前、ワシが影使いっていってたな。影の王と会ってる時、あそこにいたなぁ?」果心居士はニヤっとしてた。
望月千代女は驚いたが黙る。
「な〜に、影使いだ。影の部屋に居たんだ。よくわかってるよ」
望月千代女はまだ黙ったまんまだったが
「影の王は一卵性双生児の兄者じゃ」
「双子?じゃあ影の王は何をしてるのよ」
「それは言ったら消されるよ。家康に言っといてくれるか?」
「何を?」
「果心居士は腰を治してから殿に参上仕るっと」果心居士は目線を合わせずに家康に会いにいくと言ったのだ。
「そう。来たかいが会ったわ」望月千代女はそういうと嬉しそうに消える。
望月千代女が出て行った矢先、越後国えちごのくにの堀秀治ほりひではるから会津あいずの上杉景勝うえすぎかげかつの重臣じゅうしん・直江兼続なおえかねつぐに越後にあった年貢の下半期分まで持ち出された訴えを出した。
この訴えを出された出羽国でわのくにの最上義光からは、会津の軍備を増強する不穏な動きがあるという知らせを受けた。
「家康様。会津の軍備を増強する不穏な動きがあると」望月千代女のくノ一部隊は報告する。
「何、会津じゃと⁈望月千代女が居らんときに。藤田信吉ふじたのぶよし、栗田国時くりたくにときに会津で反乱はないよなっと呼びつけよ!」
「ハッ」望月千代女のくノ一部隊は返事をして消える。
上杉家の家臣で津川つがわ城城代を務め家康とも懇意にあった避戦派の藤田信吉、栗田国時の二人が、会津から江戸の徳川秀忠の元へ上杉の行動に関する釈明をしようとする。
「殿が釈明をするようにと」望月千代女のくノ一は藤田信吉、栗田国時に言う。
「何と⁈ワシが家康様に誤解を与えたっと直接向かおう」栗田国時と望月千代女のくノ一は向かった。途中で、「何奴⁈」栗田国時と望月千代女のくノ一は集団に囲われた。
すると「上杉忍び軍団の軒猿のきざるだ。と、言ってももう名前を言っても無意味だけどな、成敗する」仕向けた軒猿達に襲撃され、栗田国時と望月千代女のくノ一が殺害される。
これに対して中々帰って来ない家康は望月千代女が帰ってきて津川城まで迎えに行ったが二人して殺害をされてるのを家康に伝える。
「これはかの有名な軒猿かと。くノ一が他にやられるとは」望月千代女はすぐに伝わった。
「軒猿か、集団で襲って『血や暗闇を好み、猿みたい怪物』と言われているらしいな」
「ハッ。ところで果心居士の話ですが、石川五右衛門のなる者が襲われて腰を折ったそうです」
「それで石川五右衛門のなる者はどうなった?」
「成敗したそうですが、たった一人に対して精鋭の秀吉軍を九百人ぐらい負傷したそうです」
「そいつは本物の化物じゃな。そして果心居士は手に入りそうか?」家康は望月千代女に聞く。
「ハッ。腰が治り次第、殿へ挨拶すると」
「そうか」家康は満足そうにニヤッとし、
「すぐに上杉景勝に直江兼続を説明をするようにせよ」これに対して家康は、伊奈昭綱いなあきつなを正使として景勝の元へ問罪使を派遣した。
「兼続様!これはどう言う意味か説明していただきたい!」昭綱は断罪したと兼続宛に書いた。
「どうする兼続?」
「一筆書いてあげましょう」兼続は一筆書いたのだ。
それは
『京方面ではさまざまな根拠なき噂が流れており、家康様が不審に思われているようですが、このような遠国であれば、嫌疑を受けるのはやむをえないことと存知ぞんちます。
また、景勝は若輩者であり、謀反の噂が流れるのは当然のこと。だがご心配には及びません。
国替えがあり、昨年九月に帰国したばかり。そしてまた上洛とあっては、国の仕置はいつすればよいのでしょうか?
景勝に謀反心がないことは起請文を使わなくても申し上げられます。
去年から家康様が数通の起請文が反故にされています。それと同じことをしているのてす。
景勝には謀反心などまったくありません。
しかし他人を陥れようとして、事実をまげ、いつわって告げ口をすることをする者を調べることなく、謀反心があると言われてはどうしようもありません。
まずは、他人を陥れようとして、事実をまげ、いつわってあしざまに告げ口をする者を調べるのが当然です。
それをしないようでは、家康様に表裏があるのではないかと思われます。
また、武具集積についてですが、田舎武士は鉄砲や弓矢の支度をするのがお国柄です。
道路や橋を作り、往来の煩わずらいがないようにするのは、大名の務めとして当然のことでしょう。』
これは上杉家は前田家とは違い、上洛要請には応じず、戦いも辞さない構えを直江状として送り返した。
「何を送ってるんじゃ〜!」家康は激怒して上杉家征伐は「豊臣家の忠臣である家康が謀反人の景勝を討つ!」という大義名分を得た形となった。
家康は徳川秀忠の征夷大将軍任官要請を持つ為、豊臣秀頼が居る大坂城による。
「殿。この徳川秀忠を征夷大将軍の任官要請をお願い致します」家康と秀忠は上座に座る秀頼と淀殿にお願いに上がる。
「そなたは行かれるのか?」淀殿は家康に問う。
「大坂は大丈夫ですので、今回は秀忠の征夷大将軍の任官を受けた暁には一緒について行くしだいです」家康は淀殿に答えた。
それを安心したのか「そうか。秀頼、認めてあげなさい」
「ハッ。徳川秀忠、征夷大将軍の任官を要請します」
「ハッ」家康は大坂城から軍勢を率いてに出征し、同日の夕刻には伏見城に入った。
ところが、六月二十三日に浜松、二十四日に島田、二十五日に駿府、二十六日に三島、二十七日に小田原、二十八日に藤沢、二十九日に鎌倉、七月一日に金沢、二日に江戸えどと遅い進軍である。
実はこの出兵には、家康に反感をもつ石田三成らの挙兵を待っていたのである。
両兵が同じ企みをしてたのである。
「よし、ゆっくりしてるぞ?挙兵するなら今じゃぞ」家康待たせた。
「殿。果心居士が伏見城を見てるらしいです」望月千代女は報告する。
「腰は大丈夫なのか?」
「本人にも聞いたですが、本人じゃなくて烏の影だそうです」
「ハハハハ!果心居士も中々腰を折るのは大変じゃの〜」家康は笑った。
すると烏が飛んできた。
「果心居士の分身です。お久しぶりですが、今は腰をやらかして面目ない」果心居士は家康に言うと家康と望月千代女は笑う。
「聞いておるわ。石川五右衛門となる者は強かったらしいな。それでも果心居士が我が軍に入るとはな」
「ハッ。療養中に望月千代女に必要とされたら。それで大坂では五大老の一人・毛利輝元を総大将で建つそうです」果心居士の分身は家康に報告する。
「そうか。ご苦労であった、そのまま監視してろ」
「ハッ」果心居士の分身は(バサッ、バサッ)と飛んでいく。
豊臣軍では「今です、三成。」「よし、出陣じゃ〜!」三成は大谷吉継とともに挙兵する。
大坂城・西の丸。「ん⁈大変じゃ〜⁈石田三成、大谷吉継らが西の丸に反旗を翻した!」家康によって占拠されていた大坂城・西の丸を奪い返す。
そして「増田長盛様、奉行衆をまとめてください」三成は土下座をした。
そんな長盛を中腰になって「顔をあげてください。奉行衆を説得見せます」長盛ら奉行衆を説得する。
そして「毛利輝元様。総大将として建っては行けませんか?」
「うむ。三成様に総大将と言われましては毛利輝元、お受け致す」五大老の一人・毛利輝元を総大将として擁立した。
そうして三成が挙兵すると、家康古参の重臣・鳥居元忠が守る伏見城が四万の軍勢で攻める。
この少し前に家康は伏見城に宿泊して元忠と酒を酌み交わし
「わしは手勢不足のため、伏見城に残す人数は三千ばかり。お前には苦労をかける」家康が述べると
「そうは思いません。天下の無事のためならば自分と松平近正で事足ります。将来、殿が天下を取るには一人でも多くの家臣かしんが必要でございましょう。もし徳川側があって大坂側の大軍が包囲した時は城に火をかけ討死するほかないから、人数を多くこの城に残すことは無駄であるため、一人でも多くの家臣を城からお連れ下さい」元忠は答えた。
家康はその言葉に哀しみとありがとうの気持ちを飲んで、深夜まで酒を酌んで別れた。
そうして十三日間護った。
「ここを何処だと思ってる。徳川家康様の最後尾、簡単に生かすな〜!最後の最後まで戦い抜け〜!」元忠は戦死し伏見城は落城する。
この少し前に「鳥居元忠様が攻撃ています。すぐさま援軍を」望月千代女は援軍を家康に頼んだ。
「わかった。すぐさま集めろ!」とだけ言う。
夜、家康は重臣たちと協議する。
上杉家征伐に従軍していた諸大名しょだいみょうの大半を集め、「拾丸様にをなす腹黒い家臣・石田三成を討つ!」として、反転すると告げた。
福島正則達は三成に反感をもつ武闘派の大名。家康に味方し、こうして家康を総大将とした東軍が結成されていく。
この時、三つの対戦が行われていた。
一つ目は上杉軍対最上軍。
長谷堂城は、『奥羽の関ヶ原』と呼ばれる上杉景勝と最上義光が争った山城で前田慶次は直江兼続軍に加わって最上軍と戦う。
最上氏の根拠地である山形城の前衛基地として築城。標高二百メートルを越す城山に築かれ、周囲を深田に囲まれた天然の要害。
長谷堂合戦で最上義光は徳川方に付き、上杉景勝は最上家討伐を決意した。
「出陣じゃー!」「オゥー!」
米沢城主の直江兼続に出陣を命じ
「クッソ〜、退けー!」
兼続は巧みな用兵と兵術で最上の砦を次々に陥落させると、最上家・重臣・志村光安しむらあきやすが守る長谷堂城の攻撃を開始する。
だが敵の本丸は最上家が陣取る山形城で、兵力を分散させたこともあり、城は容易に落ちなかった。
「中々兵が分散したら容易に落ちませんな〜」前田慶次はキセルを吹かしながら遊んだ。
「うむ」上杉景勝は必要最低限言葉だった。
「方々散らしながら何やら待っている様子ですな。さっきから軒猿も中々帰ってこない」兼続かねつぐは二人の顔と同じく戦いをみてた。
「もしかしたら、徳川家康は何か仕掛けてるかもな」上杉景勝うえすぎかげかつはやっとまともな事を喋る。
「兼続。もし、西軍が敗れては上杉軍も頑張らないと行けんかぁ」
「慶次。そのような事は起きない。向こうは石田三成だ、起きない、起きない」兼続は自分に言い聞かせてた。
だが関ヶ原で西軍破れるとの報が伝わると、直江兼続と前田慶次は自ら殿しんがりを務め、追撃する最上軍を振り切りながら撤兵する。
「まさか、石田三成がだった一日足らずで敗れるなんて」兼続はこんなに早く終わるなんて予想だにせんかった。
「兼続。楽しいのぉ〜」
「何を言うてるじゃ」馬に乗りながら慶次に言うと
「何故楽しまんのじゃ?敵側は勝手に勝つと思ってる。それをひっくり返すのよ」慶次はウキウキして兼続も「はぁ〜、慶次らしいなぁ」
すると兼続と慶次は退くのではなく「さぁ、参ろうか?」慶次は拳を出して、兼続も拳を合わして「殿仕る!突撃じゃ!」何と自ら突進くる。
勝ちが決まってる兵士、勝ちが決まっている以上、なるべく死にたくない。勝ちが決まってる最上軍では必死の上杉軍とは覚悟が違った。
その鮮やかで隙のない撤退劇には、さすがの徳川家康も舌を巻き、撤退戦の見本として後世にまで語り継がれた。
二つ目は、黒田官兵衛は待っていた。
「父上」息子の黒田長政くろだながまさがやってきたのだ。
「遅かったな」
「家康様と協議した結果、父上には中津城へ向かって欲しいのです」長政は官兵衛に言ったが、すぐさま長政の喉に扇子を畳んで「長政よ〜。何故、安心してる時、家康の首を刎ねんかった、たわけ!」官兵衛はなんと長政を叱ったのだ。
「父上は家康様を殺せっと⁈」
「そのままいっては家康になるじゃろう、まず三成には無理な話じゃ」
「それじゃ、益々混乱を生じます!」長政は官兵衛に言ったが
「だからお前の頭ではダメなのじゃ。もうよい。中津城に行く」官兵衛は渋々中津城に帰国する。
徳川家に対し、前もって味方として中津城の居留守を務める密約を結び、行動した。いや、本当はフリだった。
石田三成の挙兵の知らせを用意させていた早舟はやぶねから受け取った官兵衛は、中津城の金蔵を開いて領内の百姓などに支度金を与え、九州、中国、四国からも聞き及んで集まった九千人ほどの軍を作り上げた。
「ハハハハ!来たぞ!天が!」官兵衛は笑う。
官兵衛の速さには尋常では考えられない程早かった。
再興を目指して西軍に与した大友義統が毛利輝元の支援を受けて豊後国に攻め込み、東軍の細川忠興の飛び地である杵築きつき城を包囲攻撃する。
その背景は三成の誘いに対し、西軍に与する条件として九州七ヶ国の恩賞を求め、東へ向かう九州の西軍の部隊を素通りさせ、準備期間を稼いでいた。
だから九州をほぼ抑えたのだ。
「ハハハハ!九州をほぼ抑えたぞ!」官兵衛は輿を進めて進軍する。
だが「急報!急報!」慌てた兵士が入ってきた。
「なんだ?言うてみよ」官兵衛も予定外の情報で困惑した。
「ハッ。関ヶ原の戦いの戦いは西軍の負け、西軍の負けです。よって徳川家の大勝利です!」兵士は喜んでいたが官兵衛は違った。
むしろ長引けば長引くほど九州を制圧して、あわよくばと思っていた。
だか関ヶ原の戦いは一日で終わったのだ。
関ヶ原の戦いの後、徳川家康はまず黒田長政に勲功として豊前国中津十二万石から筑前国名島五十二万石への大幅加増をした後、井伊直政や藤堂高虎の薦めもあり、官兵衛にも勲功、東国での領地加増を提示するが
「イヤイヤ、領地は結構です。隠居生活をゆるりとさせてください」官兵衛はこれを辞退し、その後は中央の政治に関与することなく隠居生活を送った。
「せっかく天下獲れると思ったのに」官兵衛はやる気がなくなった。
最後は三成軍対家康軍。
東軍は、清洲城に入ると、西軍の勢力下にあった美濃国に侵攻し、織田秀信が守る岐阜城を落とす。
美濃国は関ヶ原に戦いおいて東西両軍による決戦が繰り広げられた。
開戦当初は高所を取った三成ら西軍が有利であった。
だがある事件で明暗を分けた。
「小早川軍はまだなのか?」家康はイライラする。
小早川秀秋の軍勢は西に就こうか東に就こうか迷っていた。
ただ秀吉のおかげで大名になっただけで秀吉が死んでしまった今は特に意味はない。
それが徳川軍の忍び望月千代女が東側に寝返る段取りであった。
「う〜ん、東側に寝返ると約束したが、西側にそのまま着いた方がいいんじゃないだろうか?」秀秋の軍勢が迷っていた。
と言うのも山の山頂には秀秋軍が居ったことだ。
そういうのもあって徳川軍もイライラをした。
「彼奴は裏切らん気か?」家康は怒る。
「ハッ。中々、小早川秀秋は決めかねています。正直、小早川秀秋でなかったらと思っています」望月千代女もイライラとした。
そして「もう許さん、忠勝!小早川軍目掛けて打て!」家康が秀秋に向けて打つ。
「ふぇ〜!」秀秋軍は驚いて縮こまり、「東側へ着く!大、大谷吉継に突撃じゃ!」同じ西軍の大谷吉継の軍勢に襲いかる。
すると「急報!急報!小早川秀秋様が何故か急にこちらへ突っ込んで来ます!」大谷吉継の兵士は慌てた。
「何⁈小早川秀秋〜血迷うたか!小早川軍へ防御をしろ!反旗じゃ!」吉継は吠える。
だが山から振り下ろしてくる小早川軍には当然敵う訳がなくて
「すまぬ、三成!」大谷軍は敗北、大谷吉継は討死。これを機に形成が逆転する。
三成は「小早川秀秋が反旗!下の大谷軍を撃破、そして大谷吉継は討死した模様です!」
「小早川秀秋が反旗だと⁈そして大谷吉継は討死」三成は何が何やら混乱した最終的に座り込んだ。
「よ〜し、小早川秀秋が反旗を起こしたぞ!」家康はようやく小早川秀秋が反旗を起こした事を安堵する。
「殿、これは好機です。一気に攻めましょう」望月千代女もようやくの好機なので攻める事を進言する。
「よし、望月千代女。存分に楽しめ」
「ハッ」望月千代女は消えた。
そして脇坂安治わきざかやすはる、朽木元綱くつきもとつな、赤座直保あかざなおやす、小川祐忠おがわすけただの反旗もあって、西軍は総崩れとなった。
戦いの終盤しゅうばんでは、敵中突破の退却戦に挑んだ島津義弘しまづよしひろの軍が、家康の本陣目前にまで突撃する。
「家康〜!その首貰い受けた!」義弘が攻めたが『蜘蛛糸の術』望月千代女は島津義弘達は蜘蛛の糸に捕まり、首を刎はねられて、東軍の完全勝利に終わった。
そして三成は戦場から逃亡していたが「みーつけた」望月千代女達くノ一部隊が見つかり
「出会え、出会え!」三成は抵抗したが、あえなく捕縛。
「三成を捕らえた。連れて行くよ?」望月千代女達くノ一部隊に連れて行かれた。
伏見城を連れて行かれた矢先には家康と幹部を並んでいく。
「おぅおぅ。石田三成様。この様な形では」
「徳川家康〜!このが⁈」三成は抵抗すればするほど蜘蛛の糸が締め上げて、転けた。
「無駄です。蜘蛛の糸は動けば動くほど締め上げます」望月千代女は三成に対して見下すように言う。
「もう楽に死なせてやれ」家康は石田三成、小西行長、安国寺恵瓊らと共に六条河原で処刑する。
「首を晒せ」家康は石田三成、小西行長、安国寺恵瓊らと共に首を晒した。
その後、大坂城に入った家康は、西軍に与した諸大名のほとんどを処刑・流罪・改易などの処分する。
「おぉ、真田昌幸様。まさかこんなとこに居ったとは」家康は大坂城の外に出て昌幸に会った。
「これはこれは徳川家康様。お久しぶりです」
「昌幸様はなにやら信幸についている本多忠勝の娘、小松姫の息子に会いたいと」家康は昌幸に尋ねた。
「ハッ。畏れ多く、孫の顔を見ずに死ぬなんては死にきれんと」
「これは本当なのか?本当は孫の顔なぞはよくて小松姫を攫う為ではなかったか?」家康と囚われてる昌幸は対等だった。
いくら唐沢玄蕃が遠くから見てるといっても、こちらは望月千代女だって居る。
しかし、昌幸は余裕があり、家康は(何かがある)と望月千代女は警戒を怠らなかった。
「真田家には流罪とする。よいな?」家康の方が心臓をドキドキとしていた。
「よいな?」家康と望月千代女は何かするのではと警戒をしたが
「ハッ」昌幸達は流罪となった。
脅しを仕返していたのだ。
召し上げた所領を東軍諸将に加増分配、自らの領地も二百五十万石から四百万石に加増。
それと秀頼、淀殿に対しては「女、子供のあずかり知らぬところ」として咎とがめず領地もそのままで昌幸の脅しを聞いたと言っても疑う術がない。
しかし、豊臣側は摂津国・河内国・和泉国の三か国六十五万石の一大名となり、家康は天下人としての立場を確立する。
「おめでとうございます!」一同御礼を言います。「ありがとう!ありがとう!」家康は喜んで言う。
そして二条城にて秀頼と会見した。
当初、母・淀殿、息子・秀頼は「イヤじゃ〜、イヤじゃ〜!」幼い秀頼は断固として拒否をした。
「断固として拒否じゃ!」淀殿も頑なに断る。
「徳川家康様の顔に泥を塗ることになります。秀頼様は家康様を建てるべきかと」織田長益を仲介をして上洛した。
そしてこの人物が動き出す!
(リン、リン、リン。リン、リン、リン)影の王が歩いていた。それを杉谷善住坊も小走りで走っていた。
そこには果心居士は待っていた。
「待たせたね」影の王はさっさと歩き終えて座り込んだ。それを(ハァ〜、ハァ〜)と年齢のせいかようやく追いついたが果心居士を見ると平然と座った。
「ハッ。何ようで?」果心居士は聞くと
「次期息子の為に邪魔者を掃除をして欲しい。だから、影の王は果心居士となる。よいな?」
「影使いは兄者と格が違います」
「それは影の王たるには秘術『影潰しの術』がある。秘術『影潰しの術』を覚えなさい。」
「秘術『影潰しの術』は何があるのですか?」
「人間は影がついている」影の王は立ち上がり果心居士のところでクルクルと回り始めた。
「これを引っ張ったり、縮めたりすることは生きている前提。生きていさえすれば、潰される。これはそういう術だよ」
「秘術『影潰しの術』ですか?」
「それには、ある一定程度だけ最強最悪の秘術なのだよ。そこで杉谷善住坊だけ秘術『無音の術』がある。これは秘術『影潰しの術』と相反する術だ」
「では、荒っぽいですが、始めるか」杉谷善住坊は構わず果心居士に攻撃を仕掛けてきた。
「それじゃ、よろしくね。」影の王は杉谷善住坊と果心居士が攻撃し合っていた。
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