北条討伐

 「オイ。家康はまだ来やんのかえ?」秀吉がお茶を飲みながら聞く。

 「まずは行ってもいい人を出す、いわゆる人質が出す方が良いな」お茶を飲みながら小六が答えた。

 「人質か〜」秀吉が考えた結果、妹の朝日姫あさひひめを家康を上洛のもとに嫁がせようとしたのです。

 「佐治日向守さじひゅうがのかみは思慮深い人物。朝日姫を返さなければ天下が治まらおさまらないと言えば断らないだろう」秀吉は婚姻を進めるよう織田信雄に勧める。

 「ハッ」織田信雄も秀吉に乗り日向守に勧めた。

 「なぁ、朝日姫を返さなければ行けない。わかるな?」

 それを聞いた日向守は「私たち夫婦が拒否すれば国家の害となる。朝日姫を返して天下が治まるおさまるならばそうしてください」と了承した。というのも朝日姫との間に子は無い。

 「そうか、すまんな。手切金としてこれだけ持っていけ」織田信雄はあるだけ金を日向守に持って行くように勧める。

 しかし「結構です。朝日姫に妻とできたのは幸せでしたとお伝えください」日向守は礼をして去く。

 秀吉は織田信雄を通じて、酒井忠次に家康を懐柔するための縁組を持ちかけた。

 「織田信雄様から豊臣秀吉様の妹・朝日姫を薦めてはと。た・・・」忠次は紡つむぐった。

 「人質かー。」家康は言うと「・・・」忠次は黙る。

 「何じゃ⁈」不思議そうな顔をした。

 「実は佐治日向守と朝日姫は夫婦でして、この度離縁した、させたのです。忍びの情報では」忠次は言うと

 「何と言うことじゃ!」家康は激怒。

 イライラしたが「わかった。こちらは代理として榊原康政を寄越す」家康は答えた。

 「家康は榊原康政を寄越すらしいよ」朝日姫(日秀)は正座をしてニッコリとお茶を飲んだ。

 「日秀!今は朝日姫の方がいいか?」秀吉もニッコリと笑う。

 「名前なんてどちらでもいいわ。それより家康を見てたらいいんでしょう?それとも殺すの?」

 「あのな〜。お前は知らないけどな家康はな望月千代女っというすっご〜い腕がいいくノ一が居るらしいのだぞ?」

 「ハイハイ。それじゃ見といたらいいのね。家康の望月千代女っていう女、噂通りやとあんまり期待しないでよ」

 「期待はしてないわ」秀吉は当然、朝日姫(日秀)は期待できないことを知っていた。

 「あぁ〜あ、玉の輿こしの好機を逃したわ」朝日姫(日秀)は忍びからは外した方が良いとの事だったからだ。

 そして朝日姫(日秀)は百五十名余の花嫁行列は京を出発し、途中、信雄の家臣・織田長益と滝川雄利がさらに加わって、浜松に家康の正室として徳川家に嫁ぐ。

 ただ朝日姫(日秀)を嫁いがいっこうに連絡をして来なかった。

 「まだ来やんのかえ?ええ加減にしちょうれよ!えぇ〜い、大政所おおまんどころを送る!来やなんだら徳川家を消してやる!」秀吉がイライラしながらお茶を蹴った。

 母・大政所を人質として家康のもとに送り、これには

 「殿。次は大政所を送ってきました。どういましょう?」服部半蔵は伺う。

 「ハハハハ、大政所か!それは行かんとまずいのぅ」家康は「どっこらしょ」座布団から立つ。

 「どちらへ行かれるのですか?」朝日姫(日秀)は座りながら家康に聞く。

 「お前の兄に会ってくるのよ」

 そしたら「義理兄さんかしら?」望月千代女は現れて朝日姫(日秀)をクナイを持った。

 朝日姫(日秀)はいつ望月千代女は現れてクナイを持ったのかこの恐ろしさがわかった。朝日姫(日秀)はくノ一、だどしてもS級の望月千代女は早かった。

 望月千代女は朝日姫(日秀)を動けなかくて冷や汗が出た。

 「義理の?」

 「えぇ。朝日姫は知らん間に出てきてます。即ち忍びのことかと、どうします?」望月千代女は朝日姫(日秀)のクナイを突きつける。

 「構わん。どうせ秀吉は会う予定だし、朝日姫も忍びかも知れんだけだ。それに望月千代女を付いているからな。行く準備をせぃ!」家康が服部半蔵にさせる。

 「よかったね。くれぐれもおいたしたらダメよ?観てるからね?」望月千代女は朝日姫(日秀)をクナイから外した。

 生きた心地がしなかった。

 そして家康は大坂に到着、豊臣秀長邸に宿泊する。

 秀長は烏の姿をした果心居士に着いたことを秀吉に伝えた。(カァー、カァー)

 「殿。豊臣秀長邸で宿泊してるそうです。」果心居士は現れる。

 「よし、会いに行くぞ!」秀吉は陣羽織を着て会いに行う。

 その夜には秀吉本人が突如、家康に密かに会いにきた。

 「これはこれは、秀吉様!」家康は突如一人で会いに来た秀吉には一同驚く。

 しかも秀吉は膝を付けて「よーく来てくれた!」立ったままの家康を見上げた。

 「秀吉様!お立ちくださいませ!」家康は立たそうとすると「せん、徳川様と同立とする!」秀吉は頑固として立たなんだ。

 「お立ちください。それでは天下は獲れませぬ!この徳川家はあなたに尽くします」家康は言うと秀吉は立ち上がった。

 「今日、来てよかった!」秀吉は嬉し泣きして帰っていく。

 こうして家康は完全に秀吉に屈することとなり、大坂城において秀吉に謁見し、諸大名の前で豊臣家に臣従することを表明する。

 そして謁見の際に家康は、秀吉が着用していた陣羽織を借りて、「今後は秀吉が陣羽織を着て合戦の指揮を執るようなことはさせません」という意思を示しみんなの前で忠誠を誓う。

 「そういう意味か」果心居士は現れた。

 「どういう意味かしら?」望月千代女も現れる。

 「よくもまぁ現れたな?」

 「同盟同士よ?現れて当たり前じゃない。それよりどういう意味かしら?」

 「昨日の晩に家康に会ったんだ。その時、殿は出陣をする陣羽織を着て会ったんだ。というか観ていただろう?」

 「知らな〜い。て、いうか秀吉ひでよしの妹の朝日姫って知らな〜い?」望月千代女は果心居士の顔をマジマジとみる。

 「秀吉様・だろ。殿の妹の朝日姫様だろう?知ってるよ、中々表には出ないが」

 「本当かなぁ〜。忍びじゃないのかなぁ〜?」

 「知るかぁ!だったら調べてみろ⁈また徳川とくがわ家と戦争だぞう?」果心居士は望月千代女の目をガンと見開いた。

 望月千代女も果心居士の目をジロジロと見てたが「今は同盟同士だもんね〜、辞めとくわ」望月千代女は消える。

 この年、秀吉は茶茶を側室にしたことである。この茶茶、お市の娘である。

 「おめでとうございます」官兵衛が言うと後から「おめでとうございます」一斉に拍手喝采はくしゅかっさいだった。

 「ありがとう、ありがとう!みんなで茶茶を祝ってくれてるぞ?」秀吉は茶茶を手に入って有頂天うちょうてん。

 「まぁ、これはこれは。ありがとうございます」茶茶はみんなの顔を見てありがとうと言ったが、果心居士と望月千代女だけは違和感がある。目が笑ってないのだ。

 「そうじゃ、茶会をしよう」秀吉はふっと思った。

 「では、茶会をしましょう」官兵衛は取り急ぎ勧める。

 この時、京にある北野天満宮きたのてんまんぐうの境内けいだいと松原まつばらにおいて千利休せんのりきゅう・津田宗及つだそうぎゅう・今井宗久いまいそうきゅう達を茶頭として大規模な茶会を開催した。

 茶会は一般庶民にも参加を呼びかけた結果、当日は京だけではなく各地からも大勢の人が参加し、会場では秀吉らも参加した。

 また、大名達は黄金の茶室も披露された。

 その席で「徳川と北条は親戚で良いのかな?」秀吉は目を合わさないで問い掛ける。

 「ハッ。此方も早く挨拶するように言い聞かせています」家康が何処からか忍びの匂いを感じ取っていたし、秀吉も同じく忍びの匂いを感じ取っていた。

 それは秀吉軍の果心居士と家康軍の望月千代女は一色触発だった。

 しかし秀吉も一理あるので、家康は北条家と親戚関係にある経緯から、北条氏政・氏直親子宛ての内容で北条家に秀吉への従うことを促す。

 「もし、豊臣家を拒否する場合、娘(氏直に嫁いだ督姫)を離縁させる」家康は強制的にここまで書いたのだ。

 だが「離縁させるだと〜⁈上等だ、こっちこそ離縁させてやるわ!徳川家なんぞこれっぽちも怖くないぞ!」氏直は激怒する。

 そんなこととは知らずに「北条側とは断交させる!クソッ、徳川家を舐めるなよ!」家康は(ボキッ)扇子を折る。

 「望月千代女!」家康は久しぶりに怒った。

 「ハッ」

 「北条氏政・氏直親子に徹底的に調べ上げろ!」

 「けど、風魔小太郎が・・・」

 「調べろ。お前なら風魔小太郎ぐらい調べ上げるだろ?そうだよな?」家康は折れた扇子を望月千代女に突き付けた。

 それはまたとないぐらい怒っていた。

 「ハッ!」望月千代女は慌てて消える。

 そして「半蔵を呼べ〜!服部半蔵を呼べ〜!」家康はまだ怒って服部半蔵を呼ぶ。

 半蔵は階段を急いで上がった。

 「ハッ!何でしょ、うか?」半蔵は息も上がってたが

 「半蔵!秀吉様に長丸を人質と臣従の意思を明確にする。これより北条家と断交し、北条討伐を討つ、用意せよ!わしは長丸を連れて行き秀吉様に説明する!」

 「ハッ!」半蔵は討伐を準備した。

 これにより家康は嫡男とみなされていた長丸(後の秀忠)を上洛させて事実上の人質とさせることで改めて秀吉への臣従の意思を明確にして北条家と事実上断交し、これを受けた秀吉は北条討伐を開始。

 「秀吉様、長丸(後の秀忠)を上洛を。つきましては、北条家と断交して北条討伐を開始する旨お許しを」家康と長丸(後の秀忠)は許しをこうた。

 秀吉は突然のことだっただった。だが絞り出したのは「許す」だった。

 「北条軍とは先鋒はこの徳川でお願いします!」家康は怒りで秀吉に「おぉ」怒ってる家康を見て言う。

 だが好機と思った。北条はこの秀吉軍と戦うと。

 この少し前、側室の淀殿(前は茶茶)との間に鶴松が産まれ、後継者に指名したことによって実績を見せたかった。

 しかし風魔小太郎は忍び軍だけで相手を掻き回す。

 それを皮切りに北条家が真田家に仕掛ける。

 真田昌幸は嘘の情報をよく見破るため

 『嘘の情報を見破る為、筆跡はもちろんのこと句読点を無しとする』

 だが風魔小太郎は筆跡だけは見破った。そして嘘の昌幸が書いたとする呼び出しの偽の手紙を渡された為、鈴木重則は急ぎ上田城へと向かう。

 重則は途中で岩櫃いわびつ城に寄った。

 「殿が何やら会いたいって言うてな?何じゃと思う?」重則はヘラヘラして、岩櫃城主だった矢沢頼綱に聞く。

 「はぁ⁈そんな事実はないそ?」と断言された。

 「えっ⁈だって殿から手紙が」重則は頼綱に殿から手紙を見せる。

 「馬鹿もん!これは嘘の情報じゃ!筆跡は上手いが句読点をついてる、偽物じゃ!」

 頼綱は重則に句読点を書いた手紙を見せた。普段はヘラヘラした重則はガクガクして震えていた。

 重則は騙されたと急ぎ名胡桃なぐるみ城に戻るが、「おぉ⁈帰ってきたな?じゃがもう遅いわ、ハハハハ、もう既に落ちとる」風魔小太郎は笑い転けた。

 既に占拠されており城へ入れない重則はなんと立ったまま自害する。

 「おぉ⁈立ったまま自害するとは天晴れよ!このままじゃと真田昌幸との戦い心してしないとな」風魔小太郎は真剣な表情にして消えた。

 一方で「クッソがぁ〜!鈴木重則は自害せねば成らんとは!」それを聞いた昌幸は大激怒する。

 北条家は「これより秀吉軍との戦いがある為、大規模の徴兵令を敷く。十五〜七十の男性のみじゃ」北条氏政はドスッを効いた声で訴える。

 「小田原おだわら城、八王子はちおうじ城、山中やまなか城、韮山にらやま城の改修、増築を進めよ」北条氏直も大きな声で訴えた。

 「風魔小太郎はどこへ行った?」氏政はキョロキョロと探した。

 「上ですよ?どう致しましたか?」風魔小太郎はなんと氏政の天井に張り付いていた。

 (よっと)風魔小太郎は降りた。

 「お前はなんじゃ!真田の名胡桃城に勝手に落としたじゃろう。説明せぇ!」

 「だから忍び軍だけでやったやろう?

 それに、サルの言うことを飲むつもりじゃないやろう。それなら一発ぶちかまそうではないか?」風魔小太郎は笑って誤魔化す。

 一方で秀吉軍では米を二十万石、大判一万枚で馬畜や穀物などを集めた。

 そして長宗我部元親、宇喜多秀家、九鬼嘉隆に命じて水軍を出動する。

 「出陣」黒田官兵衛が指揮を執り、秀吉本隊、家康軍との合わせて主力二十万が東海道を進んで行う。

 「出陣じゃ〜」深く声は前田家、上杉家、さらには「行くぞ、北条どもが〜」と言うたのは真田家で合わせて四万が東山道から進む。

 それもあって秀吉軍は二十万の大軍で関東へ遠征、北条軍の本拠小田原城を目指した。

 「オリャャー!、どうしたこんなもんでは足らんわ!」本多忠勝は吠え『蜘蛛喰いの術』望月千代女達は攻め、「かかったな、撃てー!」黒田官兵衛は引っかけ『人狼の術』(ワォーン)果心居士達は数千の数で襲い、『砂嵐の術』唐沢玄蕃は目眩しあい「鈴木重則の無念、今晴らそうぞ!かかれ!」真田幸村は騎馬で襲い出す。

 「おぉ〜豊臣秀吉は凄いなぁ。人数はある、米はある、金もある。全て秀吉軍は持ってるなぁ〜。これでは北条家は滅び行く運命だなぁ」風魔小太郎は滅び行く運命だと悟った。

 「殿、どうするおつもりですか?」風魔小太郎の忍び軍は現れて聞く。

 「ん⁈そうだな、忍び軍は解散しよう。」

 「北条はダメなのでしょうか?」

 「北条はダメなのではなくて、秀吉軍が異常なのだ」

 「殿の力ではダメなのでしょうか?」

 「ムリだね。忍びにはS級と呼ばれてる三人がいる、そいつらとちょっと遊んであげようと」風魔小太郎は邪悪な空気を纏まとっていた。

 「それじゃ、私達・・・」

 「邪魔。お前達でS級を相手にしようものなら、かえって相手を利する」風魔小太郎は遮さえぎった。

 「それじゃあ・・・」

 「先に戻ってよ。盗賊でもやろうかなぁ。」風魔小太郎はニッコリと言うと

 「ハッ。ご武運を」忍び達は消えた。

 そして北条軍の支城は豊臣軍に次々と攻略され、本城である小田原城もの籠城戦となる。

 「鶴松、こっちにおいでちょ」秀吉が鶴松を抱っこした。

 「まぁ〜、戦の最中に花見とはおつうですね〜」淀殿は花見をしてた。そう、遠くにあるが戦の最中である。

 「淀殿様、ごゆっくりお過ごし下さい」家康は答え、北条側は花見を余裕でしている豊臣軍を見て落胆する。

 一方で秀吉が東国へ出陣すると最上義光、伊達政宗ら奥羽の大名も小田原に参陣した。

 そして小田原城内の天守閣の屋根の上で「これはこれは御三方、あまりに卑怯なのではないのか?」風魔小太郎は現れて三人に聞く。

 「もう降参しなさい!」望月千代女は降参を薦めた。

 「ふっ、降参かするか。なら降参するか試して見ろよ。」

 すると『砂嵐の術』唐沢玄蕃は砂漠が急に襲ってきたが、風魔小太郎は一瞬で唐沢玄蕃の後ろに居た。

 それを『隼はやぶさの術』果心居士は猛スピードで捕まった、それが幻術だった。

 「惜しかったね〜」風魔小太郎は傷一つも受けてかった。

 「幻術⁈どう言うこと⁈加藤段蔵じゃない⁈」望月千代女は驚いたが

 「ハハハハ!さすがは望月千代女、よくご存知だ!何、親の技を知ってるよ。そう、父は加藤段蔵だよ。そう、『幻の王』。いざ参る!」風魔小太郎は幻の中に消えて、望月千代女の背後を取る。

 『蜘蛛糸の術』風魔小太郎は望月千代女の背後を取ったと思いきや蜘蛛の糸が絡まって風魔小太郎は手が動かなかった。

 「蜘蛛の糸はね、人間になった場合、熊でもびくとも動けないのよ?」望月千代女は風魔小太郎に教えられた。

 「わざわざありがとう。だが、フンッ!」風魔小太郎は望月千代女を蹴り上げて叩いた。(ガハッ)望月千代女は血を吐いた。

 「わざわざ教えて頂いたお礼に苦しまずに・・・」風魔小太郎は望月千代女にとどめを刺そうとしたその時

 「秘技『影縫いの術』」影から果心居士は出現して風魔小太郎を刺そうとしたが風魔小太郎はなんとか自分腕を斬りさらに蹴り逃げ延びる。

 「チッ、腕がないではないか」風魔小太郎は口だけでクナイを持って(フッ)クナイを果心居士に投げた。

 だが果心居士は優々と捕まえ

 「フフフ、お前らの死に顔覚えておくぞ!天下はまだまだ混沌する!ハハハハ!」風魔小太郎は消えた。血の痕は残り。

 「あらあら。影使いだったのね」望月千代女は立った状態で座ってる果心居士にニヤニヤと聞く。

 「フンッ。どうでもいいだろうが、生き物使いの望月千代女」果心居士はニヤッと望月千代女に突き付けた。

 「何でって顔をしてるな?お前のことを調べるを苦労したからな」果心居士は立ち上がって望月千代女を見る。

 「何を喋ってる?同じ秀吉軍だろうが」唐沢玄蕃は二人怒られたが

 「えっらそうに!」望月千代女は唐沢玄蕃にかかって行った。

 「そういうお前は風使いか?」果心居士も唐沢玄蕃にかかって行った。

 間二人で挟まった唐沢玄蕃は「やれやれ。『風の王』だ」仕方なく言う。

 「私は『生命の王』よ。ありがとう」望月千代女は喜んでいた。

 「なんだそれは?」果心居士は問う。

 すると「生命は子沢山。だから一度で沢山の子を授かるのよ」

 「あーあ、聞くんじゃなかった。行くぞ?」果心居士達は消える。

 そして「殿」果心居士は官兵衛に会う為現れた。

 「しくじったか」

 「ハッ。しかし、風魔小太郎は負傷し戦闘はしばらくはムリかと」

 「よくやった。しばらく休め」

 「ハッ」果心居士は風魔小太郎との戦いで負傷していたからだ。

 秀吉は官兵衛と織田信雄の家臣である滝川雄利を使者として遣わした。

 「のぉ、北条氏政・氏照はおそらく切腹じゃ。ただ氏直は助かる見込みがある。どうだろうか?任せて見やんか?」雄利は言う。

 「では、わしは助かるのじゃな?」氏直は聞く。

 「助かる見込みがあるっと言うたまでよ」

 「お主から秀吉様にお願いするのなら考えてやらん訳ではない」

 「一度持って帰ろう」雄利は帰った。というのも秀吉から許可を頂いているのだ。だが、すぐ出すのではなく、一日置いて出す方が良いと官兵衛から教わったからだと言う。

 一日置いてからまた来て「お墨付きを頂いてきた」雄利は秀吉の手紙を見せて、これを氏直は認める。

 そう言うことがあり北条氏政・北条氏直は降伏したこともあり氏政・北条氏照は切腹し、氏直は紀伊国の高野山に追放となる。

 小田原開城後の秀吉は下野宇都宮城に入り、奥羽の領主に対する仕置を行った。葛西家、大崎家など小田原に参陣しなかった領主は没収され、総無事令を無視して蘆名あしな家などを攻めた伊達政宗だてまさむねには減封の処分が下され、最上義光もがみよしあきら小田原に参陣した領主は所領を安堵する。

 一方で徳川家は違った。

 「徳川家は今の領地を取り上げ、江戸を言い渡す。江戸はええぞ〜、何たって広い!」お茶を飲みながら秀吉は満足した。

 「えっ⁈ハ・ハハッ」家康は驚いて頷く以外出来なかった。

 これにより徳川家は江戸へ城替えとなる。

 「クソ!なんでど田舎に行かにゃいけんのじゃ!」本多忠勝は怒ったが

 「これでまた一からじゃ。さぁ、また一からじゃ」家康は笑う。

 一方で「ようやく家康を遠くにやった」満足げに秀吉は言う。

 「ついにやりよったな!」お茶を飲みながら小六も満足げにいった。

 またこちら側も動く。

 (リーン、リーン、リーン)真っ暗闇が何とも言えない微かに風が吹く。

 「久しぶりたね、風魔小太郎」

 「いや〜、参りましたね、腕が無くなってしまいましたわ〜。影使いがいましたが、影の王知り合いですよね?」風魔小太郎は影の王に聞き出した。

 「それはこちらから」杉谷善住坊は風魔小太郎を見た。

 「お前は杉谷善住坊⁈何故?」

 「こっちだって思ってるよ。まず、敬語を使わんか馬鹿もん!」

 「だってさ、影の王の本名は知らないんだもん。本名は?」風魔小太郎はヘラヘラしながら影の王に聞く。

 「馬鹿もん!この方をどなたと思ってるのじゃ!」杉谷善住坊は風魔小太郎を叱ったが

 「よい。私の本名は・・・・だよ」影の王は風魔小太郎の本名を知っていた。

 「それは知りませんでした。お許しください」風魔小太郎は腕のないまま正座をした。

 「よい」影の王は微笑して

 「お前の腕のことは全部聞いてるよ、果心居士だな。弟だよ、一卵性の双子だ」影の王は風魔小太郎の側に座って

 「加藤段蔵は残念だったね。惜しい男を無くした。杉谷善住坊」

 「ハッ」

 「加藤段蔵の息子、風魔小太郎に義手を手配して送れ」

 「ハッ」

 「風魔小太郎。もしかしたら最後に忍びとして、この世の中を平和を導く者として私を見せてくれないか?」

 「ハッ!」

 「では、まず最初に腕を見てもらおうか」影の王は風魔小太郎の肩をポンポンと叩く。

 ただ、風魔小太郎は汗が垂れていた。

 「平和であるべきだ」影の王はボソッと呟く。

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