真田昌幸《さなだまさゆき》
時を戻りまして、武田勝頼の敗北の時、北条家に遡さかのぼります。
(ゴホ、ゴホ)加藤段蔵は病に侵されています。末期の癌がんである。
すると(コンコン、コン、コンコンコン)特殊な合図で誰かがわかる。「入れ」加藤段蔵は起き上がって言った。
「大丈夫か⁈」風魔小太郎が来た。
加藤段蔵と風魔小太郎は親子だった。
「見てみろ、大丈夫・・・とは言えなさそうだな」(ォ〜ゴホ、ゴホ!)加藤段蔵悔しがるもせずに「お前が継げ、風魔小太郎。」(ォ〜ゴホ、ゴホ、ゴホ)加藤段蔵は病で侵されようとも言ったが
「後は継ぎません。武田家なんかと。」
「では、どうして北条家がいいと思った?」
「なんでも構わん。ただ武田家は実に詰まらん。いっその事面白いことをしようと思ったら北条家の方が面白い。加藤段蔵は病で侵されわ、実に詰まらぬ男よ、病で侵されそこでよ〜く見ておけ」風魔小太郎らは去って行った。
そして現在、家康は、東国において武田遺領の甲斐・信濃を含めた五か国を領有し相模国の北条家とも同盟関係を築く。
しかし上野国沼田うえののくにぬまたの割譲に対して、沼田を領有していた信濃国上田城主・真田昌幸が上杉家・秀吉家に帰属して抵抗してた。そう、元武田信玄の部下だ。
後日、豊臣家臣の上杉景勝うえすぎかげかつは書簡で昌幸を『表裏比興ひょうりひきょうの者もの』と評価した。
これは老獪ろうかいなくわせ者、といった意味で、その才覚を褒めているような、嘲笑っているような、微妙なニュアンスが込められいる。
それは昌幸のここまでの変転ぶりへの驚きと、強大な徳川家や北条家の侵攻を防いで独立を保ったことへの賞賛が込めらいた。
また秀吉軍と織田・徳川連合軍の話まで遡さかのぼります。
滝川一益の撤退によって空白地くうはくちとなった上野うえのにも手を伸ばしていた。
「かハハハ!」
「殿、空いてますな!」
「よくやった、唐沢玄蕃!」
唐沢玄蕃と昌幸が何と織田家に取り上げられていた沼田ぬまた城を取り戻した。それも空いている奴をだ。
その頃には上杉家も動き始めており、信濃の北部を占拠。
上杉家は真田家よりもはるかに強大で、真田家の力では、これと正面から戦うのは困難だった。
「一旦は上杉に就こうと思う。取り敢えずわな!」昌幸は唐沢玄蕃に笑いながら言う。
「取り敢えずとはどういうことですか?」唐沢玄蕃も忍びでもよくわからなかった。それは戦国時代よくある話だか、これは何故主君を変わる前提の話である。
「唐沢玄蕃でもわからないか。取り敢えずは取り敢えずじゃ。ハハハハ!」
「ハァ〜」唐沢玄蕃は何が何やら一旦は上杉家に臣従する。
「上杉景勝様に就きまする」昌幸は上杉景勝に平伏した。
「・・・」上杉景勝は昌幸に興味がなく領土に帰っていた。
そのわずか二週間後には、「やっぱり北条家へ就こう!」そちらの方が有利とみたのか、北信濃に進軍してきた北条家に寝返る。
唐沢玄蕃は唖然とする。
「上杉景勝に守ってやると言われたが北条氏政様にこそ天下人!どうか沼田城を守ってください」昌幸は今度は北条氏政に平伏したが唐沢玄蕃は唖然あぜんとしていた。
「ハハハハ!お上手じゃ。守ってやる」北条氏政はたいそう喜び昌幸に誓った。
そして帰る時に「大丈夫ですか⁈上杉家に就くと言ったばかりですよ?」唐沢玄蕃はスタスタと歩く昌幸言い寄ったが
「なぁ〜に。上手くいくさ」昌幸はニヤニヤとしてた。
この為、北信濃の川中島で上杉軍と北条軍は対峙した。
「真田昌幸をよこせ!」ドスを効いた声で上杉景勝はいい、「それはできぬ!真田昌幸は北条家の領地!これは北条家と覚悟して宜しいかな?」ただここでは決戦は行われず、北条氏政は甲斐かいに侵攻しんこうしてきた徳川軍と対決するべく撤退。
上杉景勝も、国内に反抗勢力を抱えていたため、そちらを討伐するために撤退。
すると北信濃から大勢力の軍勢ぐんぜいが去ったところで「ガハハハ!北条家と上杉家は労せず去って行きよったわ!」昌幸はパタパタと扇子を仰いで喜んでいた。
「これは参りました、北条家と上杉家ではてんやわんやです!」唐沢玄蕃も頭を叩いて笑い転けた。
「殿、今度は最近勢力をつけている徳川家です。まさか北条家と上杉家と退けましたが、行かないですよね?ねぇ〜?」唐沢玄蕃は冷や汗が止まらなかった。
「そうか、今度は徳川家か?徳川家にしよかの?うん」昌幸は唐沢玄蕃の冷や汗を止まらんのを見て、ニヤリと微笑し「徳川家康に案内を出せ!」昌幸は唐沢玄蕃の唖然とした顔を他所目よそめに、今度は北条家を裏切り、徳川家に既存する。
「徳川家康様。上杉景勝と北条氏政と就きましたが、戦争ばかりで。つきましては、徳川家康様こそ世の為に平和であると思い、真田昌幸、徳川家に就きまする」昌幸は今度は徳川家康に平伏した。
「北条家として、上杉家、そして徳川家か?よし、徳川で面倒を見てやろう。ただし北条家とは良い関係でな、真田家独自で守れ。そのあと同盟を結ぼう」当然無茶な要求だと徳川家はさせるが
「ハッ」家康いえやすは無茶な要求とわかってたが昌幸まさゆきは密約をしたのだ。
当然、昌幸が徳川家に寝返ったという情報は北条家に伝わり
「何⁈おのれ上杉を裏切り、今度は北条か!攻めるぞ!」
沼田城が攻撃を受けます。だが『砂嵐の術』「ハハハハ!このわしですら殿の頭の中は気づかないかったのだ。北条ごときが気づくわけがないだろうが」唐沢玄蕃は砂嵐になり北条軍は飲み込みこれを撃退する。
これにより「徳川家康様。なんとか約束を守りましたのでこれで同盟かと」
「あ、あぁ〜。そうだな、同盟じゃ」昌幸はニッコリと笑い、ただ家康は目をぱちくりとした。
城を出た後「家康の奴、目がぱちくりとしておったな!」昌幸は大笑いしたが
「殿〜。ヒヤヒヤしましたよ」唐沢玄蕃は冷や汗をかいた。
「誰か見ておったな?」
「ハッ」
「誰じゃ、殺気をヒシヒシと感じておったぞ」
「望月千代女だと思います。くノ一です」
「くノ一か。唐沢玄蕃と戦って見たいの。そうしたら家康の首を見たかったがな」
「本当にしてください〜。殿が言うことは冗談か本気なのかわかりませぬ」唐沢玄蕃はくたびれた。
一方で「殿。徳川家なしでもいけるのでは?」望月千代女は現れる。
「北条家、上杉家、そして徳川家。その間を掠め取る真田、特に真田昌幸、あれは大物じゃ」
「大物。怖そうに感じてなかったですが」
「だからよ。能ある鷹は爪を隠すもんじゃ。それに望月千代女を居ると気づいてたぞ、たぶん」
「まさか⁈」昌幸は望月千代女を気づいていたという。
これをきっかけに北条家は、徳川家と和睦する。
その際に家康は沼田城を北条家に割譲することを約束しますが、これが徳川家と真田家の関係がこじれる原因になってしまいます。
「それはあんまりじゃ。沼田城が良いが、代わり土地を寄越せ!」
沼田城は昌幸が自力で獲得して所有している城であり、それを割譲するのであれば代わりの土地を渡すことを約束せよ、と昌幸は要求しますが、家康はこれにはっきりとした返事を与えませんでした。
この時の家康の誤った措置が、後の上田合戦につながっていきます。
それもそのはず、上杉家も北条家も徳川家も、それぞれに別の方面の敵と戦っており、その隙をついて昌幸戦っていたのだ。
家康はこの時期に『小牧・長久手の戦い』で、豊臣軍と対決する。
やがて秀吉と和睦し、この争いが終結したころには、北条家から改めて沼田城を割譲する約束を迫られた。
現在「だから沼田城の引き渡しは応じる。しかし、代わりの領地が与えられない限りは引き渡さない!帰れ!」
これを断固拒否する。
ただ沼田城を拒否し、徳川軍の服部半蔵を帰るのを見送った。
「忍びも帰ったようです」唐沢玄蕃は現れる。
「そうか、ご苦労」昌幸はドンッと仁王立ちをしてた。
「これよりまた上杉家と同盟関係を結ぶ」
「ハッ。・・・ハァ〜⁈」上杉家と同盟関係を結ぶ⁈いや、でも一度は裏切っては⁈」唐沢玄蕃は驚いて喋ると
「上杉家には次男の信繁のぶしげ(幸村ゆきむら)を送る!それでいいな信繁!」
「ハッ」
「信繁様⁈正気ですか?もしかしたら死ぬのですよ?」唐沢玄蕃は信繁の肩をゆさぶったが
「な〜に。死ぬ時は死ぬまで、だが真田家は生き延びる。まぁ言わば駒よ、ハハハハ!」信繁も駒っと割り切る真田家は唐沢玄蕃は訳がわからなかって、もう勝手にせいと思った。
昌幸はついに徳川家から離反することを決意し、再び上杉家に就く。
このようにして、昌幸は徳川家との対決の準備をいく。
「準備は大丈夫か?」昌幸が訊ねると「ハッ。もうちょっとです」唐沢玄蕃は不気味に笑う。
すると徳川家は真田家を攻め滅ぼすべく、七千の軍を上田に向けて派遣。
この時に軍を率いていたのは 「徳川家康本人ではなく、配下の鳥居元忠とりいもとただや大久保忠世おおくぼただよといった歴戦の武将たちです」唐沢玄蕃は不気味に笑う。
「大賞首を取りたかったが仕方ない。まぁ普通は来ないだろうが、後悔するぞ?」昌幸は座りながらおにぎりを頬張っり、なんとニ千の兵で立ち向かいた。
「昌幸め、殿を馬鹿にしおって!」鳥居元忠は怒ったが
「殿も殿じゃ!敵の三倍とはなんじゃ⁈」大久保忠世は家康に怒った。出兵前には『小さな巨人だ、心してかかれ!』と家康は言い聞かせたのだ。
だからといって、敵の三倍はいいとして歴戦の武将鳥居元忠、大久保忠世だ。そうそう負けるとは思えん。
だが始まって見ると一気に逆転する。
『砂嵐の術』唐沢玄蕃は吹くと一気に砂嵐になって周りが見えなくなった。
「急に砂で前が見えん!」鳥居元忠はいって
「一度日を改めて、、ん⁈なんだ?」大久保忠世は遠くから馬の鳴き声を聞く。
その時「よし、かかれー!」昌幸らは、火の如く巧みな傭兵術によって徳川軍を撃退し、死傷者は千三百人にもあたり、真田軍の大勝利。
「ガハハハ!徳川軍は死人の山を築いてるぞ?」昌幸は徳川軍の山を築いてる死人の上で大笑いした。
「殿。次はどちらですか?」唐沢玄蕃は聞くと
「イヤ、こちらで待機だ」昌幸はニヤリとして奥へ去っていった。
さらに徳川軍は上田城に攻め込み、二の丸まで侵入するものの、「撃てー!」ここでも頑強な抵抗を受けて「え〜ぃ、撤退じゃ!」撃退。
また後退する時に追撃され、
「かかったな!オリャャー!」
城の外から機を見て援軍に駆けつけた真田信之の攻撃を受けて挟み撃ちとなり、徳川軍は大きな被害を出すことになる。
同時期に沼田城にも北条の大軍が差し向けられていますが、「ここは無防備なはずだ!行けー!」北条軍は沼田城を攻め落とせるはずだったが、またもや「ハイ、残念〜。それ、一人も生きて帰すなよ!撃てー!」こちらもまた撃退。
この時の大勝利によって、真田家は周囲の勢力から『武田の旧臣』ではなく、『信濃の独立勢力』を果たした。
「相手の数倍の戦力を討ち破ったのですから、真田の力が並々ならぬものであると、世に認められることになったですね。
しかも撃退した相手は強大な徳川軍でしたので、その衝撃は大きかったことでしょう」唐沢玄蕃は緩やかに風が吹く。
「お前はバレたのか?」昌幸は聞く。
「相手は徳川家康と望月千代女。恐らくバレてるかと」
「バレてる方が良い。真田は唐沢玄蕃と言う化け物も飼っていると」
「もう一人は?」唐沢玄蕃は微笑しながら言うと
「ガハハハ!それを当の本人に言うか⁈」昌幸は大笑いしてて城の窓からいった。
その頃には秀吉が中央で勢力を伸ばし、天下人としての地位を固めていました。
「オィ⁈羽柴秀吉が豊臣秀吉と天皇に名前をもらったらしいぞ?」昌幸は朝飯を食っていた忍びが言った。
「そうですか。で、まさか次は秀吉と同盟ですか?」唐沢玄蕃はまさかっというみたいになっていたが
「上杉景勝はいい奴だが戦国時代は合わんよ。もっと卑劣で、卑怯で、なかでもそれを行う精神力」
「中々居らんでしょう」
「そうか?簡単だぞう?」昌幸は朝飯を食べながらニヤリと笑い唐沢玄蕃は呆れてものを言えんかった。
そして昌幸はこの秀吉と通じ、「ハハ、豊臣秀吉様に付き従いまする」
「わかった!ようこそ我が豊臣家へ!」秀吉は昌幸に従うことになる。
また、上杉家より豊臣家の方が従う事になり、真田家はより上位の勢力と直接結びついた。
「ガハハハ!見ろ唐沢玄蕃⁈父上のことはよ〜く俺は知っているんじゃ!」信繁は父上(昌幸)のことを唐沢玄蕃より知ってると笑ったのだ。
「でも、上杉家が出たところ、また豊臣家ですよ?」唐沢玄蕃は信繁(幸村)のことが心配だったが
「な〜に。これは駒よ、俺はこれでいい。その代わり、父上の事頼むぞ唐沢玄蕃」
「ハッ。命に替えてでも」こうなると、もう上杉家に従う必要がなくなり、上杉家に送っていた信繁(幸村)を、今度は秀吉の元に人質として送った。
「クッソ〜⁈上杉家の次は豊臣家か〜!」家康は唇を噛み切った。
「ハッ。上杉家の次は豊臣家に。上杉家、北条家、徳川家、また信繁の人質を代わりに上杉家、そして上杉家また信繁の人質を代わり豊臣家であります」望月千代女は困った。というのは、唐沢玄蕃にもいったが信繁をことを駒として見ていない昌幸にほとほと呆れたことだ。
「昌幸は自分の子を何じゃと思っているのじゃ」家康も呆れた。だが真似するだけでも真似する勇気がない、それが真田昌幸だ。
この頃には家康も秀吉に従ってたので、秀吉も調停に入り、家康は真田攻めを断念する。
もう一方で四国攻めにおいては、讃岐国さぬきのくにから攻め込んだ宇喜多・黒田軍に軍艦として加わり、先鋒として諸城を陥落させていった。
植田うえた城に対しては「罠じゃ。宇喜多軍はこのままで。わしの隊はよ」官兵衛はこれを囮おとりであると見抜いて迂回して、敵将・長宗我部元親の策略を打ち破った。
岩倉いわくら城が攻略されたところで、長宗我部軍は撤退・降伏した。
そしてこちらも動く。
(リーン、リーン、リーン)窓がない部屋に何とも言えない微かに風が吹く。そして二人の影が動いた。
「すまないね、杉谷善住坊」影の王は答えた。
「ハッ」
「豊臣秀吉と徳川家康は和解してるらしいよ」
「それはよかったですね」
「それはよかったのだけどね、北条氏政・氏照親子が気になるね」
「ハッ。そこには風魔小太郎がいます」
「風魔小太郎か」
「ご存じで?」杉谷善住坊は聞く。
そしたらとんでもないことを言った。
「君たちと同じく風魔小太郎は配下だよ。S級の忍び達でも加藤段蔵と風魔小太郎は別格。まぁ加藤段蔵は死んだけど」
「死んだ⁈まさか・・・」
「普通に自然死だよ。寿命には勝てないね」
「ハッ」杉谷善住坊は返事をすると微かに風が吹く。
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