駿河国の狸
織田家筆頭家老であった柴田勝家を戦いで破り、勝家と手を結んだ信長三男・織田信孝を自害じがいさせることで、さらに影響力を強めた秀吉。
家康は戦いで勝った秀吉に、戦勝祝いとして松平親宅が入手した茶器の初花を贈った。
「家康は戦勝祝いとして松平親宅が入手した茶器の初花を贈ってきたわ」秀吉は喜ぶ。
「ようございますね」果心居士も喜んだが
「家康は天下人を殿になってほしいかと」官兵衛も喜ぶ。
すると(ドタドタドタ)嫌な足音が聞こえた。
「またか」秀吉は不快な気持ちになって茶を啜すすった。
と、言うのも「オィ、家康が徳川督姫とくがわとくひめと北条氏直と結婚したそうだぞ!」小六が慌てて言って来たことだ。
(ブー)「何⁈」秀吉ひでよしは飲んでいた茶を吹く。
「天下人を殿になってほしいかと言うておったぞ?」秀吉は官兵衛を睨んだが官兵衛は知らんぷりをしてた。
「風魔小太郎」果心居士はボソッと呟く。
「何だと?聞こえんかった、もう一度言うてみよ!」秀吉と官兵衛は果心居士に聞く。
「風魔小太郎です。確証はありませんが、確証をないのが風魔小太郎なのです」果心居士は何故かワクワクした。というのも果心居士自身、命のやりとりは久しぶりだった。
(ゾクッ)果心居士はなんとも言えない空気を出した。
「果心居士、楽しみか?」官兵衛はニヤニヤ聞く。
「こんな命のやりとりは久しぶりだったもんで」
「て、ことは強さは同レベルか?」秀吉は聞く。
すると「やり合ったことはないですが、恐らく向こうの方が強いと」果心居士はドクッドクッと心音が鳴った。
「ほ〜。お前程の忍者でもそれ以上か」秀吉は北条家と徳川家との婚姻成立に危機感を抱いた。
「北条はとりあえずなしだ。それより徳川家康だ。何か戦争になるものはないか?」秀吉は考えていた。
「織田信雄が年賀の礼を来てないというのは宜しいかと」官兵衛は秀吉にニヤリと笑って見せた。
「そうか!それで行こう。果心居士、仕掛けろ」
「ハッ」果心居士は烏となってなってすぐさま飛ぶ。
すると今度は「なんでサルに年賀の礼せなあかんのじゃ〜!」織田信雄は、秀吉から年賀の礼に来るように命令されたことを契機に秀吉に反発し、対立するようになる。
「殿。秀吉様は次期天下人の有力候補。今は争っては行けません」浅井長時あさいながときは説き伏せようと努力した。
「何を⁈」信雄は激怒したが
「殿。殿は我らの、織田おだ家の主人。どうか」岡田重孝おかだしげたかは納めた。
「殿以外に大名は存在しないですよ!」津川義冬つがわよしふゆも乗っかった。
「よし、今日の言ったことは取り消す。すまんかった」信雄は三人に謝る。
だが「何⁈本当か!おのれ〜!」信雄は秀吉に内通したとして、秀吉との戦いを懸命に諫いさめていた重臣の浅井長時・岡田重孝・津川義冬を謀殺した。
「ハハハ、謀殺しましたな。如何に動く、家康。」官兵衛は笑い、秀吉は不気味にお茶を飲む。
そして秀吉に事実上の宣戦布告をした。
「徳川家康!」信雄は浜松城に乗り込んで来た。
「殿⁈どうして浜松まで⁈何がありました?」家康は信雄自ら来たので驚く。
「サルが年賀の礼をせなあかんのじゃ〜、普通サルが年賀の礼をしないと違うのか⁈」信雄は何故か家康に対して激怒する。
「もっともです!殿あっての織田家なのです。ご命令有ればすぐさま反秀吉に向かいます!」家康は信雄に忠誠を誓った。
「わかった!忠誠を誓ったなら秀吉を討つ、よいな!」
「ハッ」家康は信雄に言ったあと浜松城を出て烏が静かに飛ぶ。
このとき、信長の盟友で、東国における一大勢力となった徳川家康が立ち塞がった。
「秀吉は、亡き信長様の御恩を受けて身を立てたのに、幸いに天下を我がものにしている!やるぞ!」服部半蔵は言い、望月千代女に加担した。
それに信雄に加担し、さらに家康に通じて長宗我部元親や紀伊雑賀党らも反秀吉として決起する。
一方、「殿。織田信雄、長宗我部元親、雑賀衆、そして徳川家康が徒党を組んでこちらに移動中であります」果心居士は報告する。
「よくやった!これで討つ名目が立つ!」秀吉はニヤリと笑い
「三河国へ行きましょう。ただし、こちらが空からと言いふらせて息子の(旧松寿丸)長政を大坂城で守ります。長政、大役だがいけるな?」官兵衛は長政に聞く。
「ハッ。その大役、心して掛かります」長政は秀吉に答えた。 「まぁ、官兵衛の息子なら問題ない。しっかりと頼むぞ長政!」
「ハッ!」
「では、果心居士。織田信雄、そして徳川家康を向けて全軍三河国みかわのくにへ参ると伝えろ。そうすることで長宗我部元親、雑賀衆はこぞって大坂城に来る!わしならな」官兵衛は自分の事のように考えた。そう考えたのも果心居士あっての戦術だ。
「果心居士。『影分身の術』で本体はわしに着け。そして長政、大坂城には分身を着けよ」
「ハッ」果心居士は分身を置いて、秀吉軍と一緒に本体は出た。
小牧・長久手の戦いこまき・ながくてのたたかいの当初においては、大坂城で留守居役を務めている黒田官兵衛の息子、黒田長政は大坂城で待ち構えてた。
「急報!根来衆と雑賀衆は岸和田きしわだ城を落とす勢いです」兵士は叫んぶ。
「そうか。かかったか。果心居士先に飛んで行きこちらの兵士まで粘れと伝えてくれ!」長政は果心居士の分身に伝え、果心居士は烏に化けて飛んで行く。
そして長政は慌てるとこなく着々と準備をしてた。
一方岸和田城では「空の岸和田城を取るぞ!それ行け!」根来衆と雑賀衆は勇んで岸和田城へ入ろうと目論んだ。
「撃てー!」(バンッ、バンッ)中村一氏なかむらかずうじが撃つ。
「何⁈こっちも討て!」根来盛重ねごろもりしげは吠えた。
「数千丁を持ってる根来衆と雑賀衆。こちらも備えているなよ。黒田長政様も大坂城から来てくれる。撃て!」中村一氏も撃つ。
だが鈴木重意、根来盛重は岸和田城を取り囲んだ。激しい攻撃を受けた岸和田城では、中村一氏を中心によく防ぎ一進一退の攻防を繰り広げた。
しかし、「撃て〜!」長政を援軍として送りた。
「待たせたな、中村一氏。」長政は得意げに言う。
「なーに、いつもの事ですよ。さぁ、挟撃じゃ!」中村一氏と長政で挟撃をして根来衆と雑賀衆の撃退に成功する。
「では、根来衆と雑賀衆の撃退を伝えて来ます」
「宜しく頼む」長政は果心居士に言うと烏に化けて飛んで行く。「さすがは官兵衛様の息子、大きくなって」烏は降りていった。
すると秀吉軍と織田信雄・徳川家康連合軍とくがわいえやすれんごうぐんが睨みあっていた。
「黒田長政様が根来衆、雑賀衆を撃退しました」果心居士は秀吉と官兵衛に言う。
「そうか」官兵衛は息子の無事をしりちょっと嬉しそうだった。
ただ「次はどう動く」秀吉は家康の動きがわからず悩んでいた。
一方で「殿。池田恒興いけだつねおきが協同せんとする森長可もりながよしと金山かねやま城を出た模様です。恐らくこのまま行けば羽黒はぐろに到着かと」望月千代女はボソッと家康に言う。
「望月千代女」家康はボソッと望月千代女を呼び出し「松平家忠と酒井忠次、奥平信昌を五千の兵をひっそりと羽黒へ向けて出陣せよ。」
「ハッ」望月千代女は消える。
すると「どうした望月千代女?」松平家忠は酒井忠次と奥平信昌は軍議の途中だった。
「ハッ。羽黒へ向けて出陣せよとの殿より伝言です」望月千代女は三人へ伝えた。
「望月千代女にはどんな手でも掌の中よの。わかった。
さぁ、急いで出陣じゃ!」松平家忠は酒井忠次と奥平信昌に出陣。
一方、池田恒興と森長可は静かに金山城を出た。早朝「あぁあ、眠たいな」池田恒興は眠そうに馬に乗りながら言ってきた。
「奇襲作戦では常識よ。」森長可は馬に乗りながら答えた。二人は(ガザガサ、ガザガザ)と兵士を静かに動かした。
すると「ウォォォ!討ち取れ〜!」先鋒の奥平信昌は吠えて奇襲返しをして来た。
「何⁈」二人共、奇襲攻撃をしようと思いきや、まさかの奇襲返しを来て驚いたが
「奇襲返しをしてくるとは。え〜い、敵は千程だ、かかれ〜!」池田恒興は吠える。
だが周り込んでいた松平家忠は「かかれ〜!」池田恒興と挟み撃ちになった。
「おのれ〜、池田恒興殿はこっちは任せておけ!」森長可は吠えると
「頼んだ!先鋒を潰せ〜!」池田恒興は森長可に頼むと先鋒の奥平信昌に向いた。
さらに「撃て!」(バンッ、バンッ)酒井忠次は容赦なく三方向同時に攻め込まれた。
「まずい⁈このままだと野戦で囲まれる!退け〜、退け〜!」森長可は慌てて退いたが、再起不能になるまでやられた。
「大勝利じゃ!」松平家忠達は見事勝利。
その一報は両陣営にも伝わった。
「よし!よくやった望月千代女!これで後ろの心配は無くなった、お前がこちら側でよかったわ!」家康は大喜びで望月千代女を労った。
秀吉軍の官兵衛は「これほどとはな、望月千代女」
「ハッ。すみませんでした」果心居士は謝ったが
「何、果心居士ですら上回る。望月千代女の情報力か」官兵衛は望月千代女も欲しかった。
そう、戦国時代とは情報が命よりも大事だからだ。そして何よりそれを生かす情報力を瞬時に判断してる頭がいる。
一方「望月千代女。もし、敵は降伏するなら降伏を薦めよ。ただし偽りのな」家康は不気味に笑う。望月千代女は方々連絡をした。
そしたら秀吉軍は動く。秀吉軍は内密に三河国の城らに明け渡すことを打診する。
そして、金銀をもらう代わりに秀吉軍を通すことに成功する。
それを知った家康は「ハハハハ、それみよ。信長様じゃなくてサルの脳みそよな。こっちまで引きつけよ」
「ハッ!」本多忠勝は家康に言う。
これにより秀吉軍がいっそう安心して織田信雄・徳川家康連合軍の領国深く入った。
「深く入りおったわ。やれ!」家康は本多忠勝は合図を送り「ウォォォ!」本多忠勝は地響きを感じた叫び声で向かって行った。
「急報!三河国の城らはこちらを向かってる模様!」秀吉軍の兵士が慌てて森長可に報告する。
「え〜い、構うな、家康の首を取れば終わりよ!」池田恒興は叫んぶ。
だが秀吉軍は織田信雄・徳川家康連合軍に飲み込んだ。
「クッソ〜!」秀吉は茶を投げ付けた。
「これほどまでとは。一旦退きましょう」官兵衛は果心居士を使って退くよう伝える。
だが織田信雄・徳川家康連合軍はまだ続く。
羽柴秀次はしばひでつぐ軍と池田恒興軍が敗残兵をもまだ追いかけて岩崎いわさき城の攻城戦をして約三時間で落城し玉砕した。
この奇襲によって、羽柴秀次軍は壊滅する。
「羽柴秀次は、サルの子はどこへ行った!探せ〜、探せ〜!」榊原康政さかきばらやすまさは吼えた。と、いうのも秀吉は子がなく、羽柴秀次はしばひでつぐは甥おいなのだ。だからといって、羽柴秀次を失うとすれば大変なこととなる。
だから秀次は自身の馬を失い、供回りの馬で逃げた。
また、目付として付けられていた初めとして多くの蜂須賀一族が、秀次の退路を確保するために討ち死になる。
秀次は必死に走って逃げた。そんなおかげで望月千代女の『蜘蛛喰いの術』を回避した。そんな秀次を逃げてるのを果心居士の『烏の術』で探しえた。
「秀次様、秀次様!」
「誰だ⁈」
「秀吉軍の果心居士と申します!こっちです、織田信雄・徳川家康連合軍は忍びだらけで迂回します!」果心居士は烏に化けて秀次を連れて歩いた。
一方で秀次軍より前にいた堀秀政は待てど待てど中々連絡が来なかった。秀次軍の敗北と報告を受けたのは日が昼間になってからだ。
「ここは危ない!すぐに桧ケ根ひのきけねへ行き陣を建てるぞ!」堀秀政は慌てて場所を移動して、秀次軍の敗残兵も合流。
「兵はこれだけか」堀秀政は秀次軍の敗残兵も入れてもニ千の兵しかいなかった。
ついに追いかけて来た織田信雄・徳川家康連合軍は追いついた。
「終わりか。秀次が居ないと言うのは逃げるのは上手いのか?」榊原康政は失笑して、攻めるが「その程度か。笑わせてくれるな」堀秀政は攻撃して、返り討ちにされて逆に追撃された。
やっと矢先「徳川家康⁈家康の本体か!」この時、堀秀政は家康の馬印である金扇を見て、戦況が有利ではないことを判断し、堀秀政はそこを動かなんだ。
一方、家康は「間に合ったな、望月千代女」
「ハッ。これで堀秀政と森長可・池田恒興の間に分断を出来ました」
堀秀政軍と池田恒興軍・森長可軍との間を分断。
「では小牧山こまきやま南東にある望月千代女達から情報だと秀吉軍出陣の知らせを受けいる。ただ本陣の空からを見守る役を誰がいいかな。警戒をしてると示す為にも」家康はぐるっと周りを見て、酒井忠次に目が止まった。
「酒井忠次。秀吉軍の堀秀政を見よ、そのとき馬印である金扇きんせんも置いて行く」
「ハッ」
この頃、小牧山城の家康は小牧山南東にある望月千代女達から情報だと秀吉軍出陣の知らせを受けいる報告が入って酒井忠次を残し、小幡おばた城へ進軍することを決定する。
先鋒せんぽう隊の水野忠重みずのただしげ、榊原康政さかきばらやすまさ、大須賀康高おおすがやすたから次々とが小幡城に到着。その後、家康に連れて織田信雄も到着する。
「随分と早いな」信雄は感心したが
「信雄様」
「なんだ?」
「富士ヶ根ふじがねより前に信雄様は左翼を三千を布陣してください。これには井伊直政いいなおまさも三千つけます」
「これより前でか?お前はどうする?」
「右翼は自分自ら」家康と望月千代女は微笑した。
一方、合流した森長可と池田恒興は再度戦いの準備をしてた。
たが二人共ボロボロで「殿の前にこれでは申し訳ないな」森長可はボロボロになりながら言う。
「ここは次男の池田輝政、息子の池田元助を右翼、左翼は森長可殿でやって行こう」
「それは貴公は?」
「使えない者は後方でわしにつけ!」池田恒興は震え立たせた。
両軍が激突したが、戦況は一進一退の攻防が続く。
「中々やりおるわ。」家康はボロボロの姿で秀吉軍に感心した。
「殿」望月千代女は現れる。
「よし、行こうか」家康は馬に乗ってゆっくりと動かした。
すると「急報、急報!」秀吉軍は飛んできて「徳川、徳川家康がゆっくりと歩いてきます!」兵士はまさかの徳川家康だったので驚く。
(ゴックン)唾を飲み込んだ森長可は「本当に徳川家康か?」
「ハッ、徳川家康です」兵士は走ってきて喉がカラカラだった。
「よくやった!ゆっくり休め!これより徳川家康を討つ、準備をせい」森長可は喜んで、千載一遇せんざいいちぐうの好機だった。
「ハッ」兵士はゆっくりと休んだ。ところが兵士は望月千代女もちづきちよじょを化けた者だった。すぐさま消えて「殿。森長可が攻めます」望月千代女は現れて家康に言う。
「ハハハハ、森長可ごとき出迎えてあげるのだ、丁重に迎えて行こうではないか」家康は笑う。
夜、静かに出た森長可は家康本陣である場所まで到着する。
(フー、フー)鼻息が緊張で乱れたか「よし、行くぞ!撃て〜!」森長可はありったけの火縄銃を浴びせた。
だが『蜘蛛真似の術』で人に見せかけた蜘蛛だった。
そして「撃て〜!」本多忠勝は吠えて「やれ〜!」上から斬った。こうして前線に出て戦っていた森長可は討死。
「よし、あちら側に伝えろ。すぐにも秀吉軍も伝わるがな。情報は命よりおもいからな」家康は望月千代女に伝えると消える。
一方、織田信雄・井伊直政の左翼はまだかまだかと家康の連絡を待っていた。
「お待たせ致しました。本多忠勝様が秀吉軍の森長可を討ち取りました」望月千代女は現れる。
「家康はこっちにくるのか?」信雄は望月千代女に聞く。
「今、逆方向へ進行中です。秀吉軍は挟まれる型になります」
「そもそも、羽柴秀吉っちゅうのが気に入らんのじゃ!織田信雄様、一気に潰して参りましょう!」井伊直政は信雄に問うたが
「井伊直政。サルはこの戦には居らんのじゃ。だが一気に潰すっていうのは賛成じゃ!望月千代女と言うたな?家康が来るのが早いか、池田輝政・池田元助、そして池田恒興かが勝負じゃ!」信雄は望月千代女に言って見せた。
「ハッ」望月千代女は消えると同時に織田信雄・井伊直政軍に出陣。
「ウォォォ!」井伊直政軍は池田恒興も自勢の立て直しを図ろうとしたところ、池田元助に敗れ、織田信雄軍も池田輝政は家臣に父・兄は既に戦場を離脱したと説得され、戦場を離脱する。
結果、池田恒興・森長可は潰滅になり、織田信雄・徳川家康連合軍の勝利に終わり、追撃したのち小幡城に退きあげた。
家康は後から小幡城に退きあげて「遅かったな」信雄は家康に向けて言った。もちろん家康はわかってたが「参りました」素直に謝った。
「わかっておったくせに」信雄も家康はわかってた。
「すぐにこの情報は敵側にも伝わってるはずです。何せ、敵側にも果心居士っと言う忍びがいてますので。そうだろ、望月千代女」家康は言うと望月千代女が現れる。
「ハッ。果心居士は非常に優れた忍びです」
「ほぅ、そちよりか?」信雄は望月千代女に聞く。
「情報は集めて来るだけなら、ある程度は出来ますが、ようは使う人だと」望月千代女は答えた。家康だと。
一方で「攻め落とせ!」羽柴秀長を松ヶ島まつがしま城は攻めた。
「籠城じゃ!秀吉軍は多すぎる!」滝川雄利は籠城。
すると「滝川雄利様」望月千代女は現れる。
「徳川家くノ一か、噂に聞いてたが。こちらは万事休すじゃ、殿に先に行くんでお許しくださいと伝えてくれ」滝川雄利は望月千代女に伝えた。
しかし「地下から脱出しましょう。これしかないです」望月千代女は答える。
まず羽柴秀長は攻めるのが苦手なので、滝川雄利は必要最低限で穴を掘って行くと浜田はまだ城に移って籠城の準備を始めた。
そして、『蜘蛛真似の術』で松ヶ島まつがしま城を守った。十日経つと(ガザガサ)と蜘蛛が逃げて初めて騙されたっと知った「蜘蛛⁈噂程度だが、望月千代女という女か!」羽柴秀長は激怒する。
「どうじゃ、羽柴秀長は?」望月千代女は帰ると家康は聞く。
「大激怒ですよ。で、次はどうするおつもりですか?」望月千代女は家康に聞く。
「う〜ん、どうするかな?取り敢えず待機じゃ」家康は望月千代女に答えて屋敷に戻った。
一方、「果心居士はここにおれ」
「官兵衛様、どう言う意味ですか?」
「家康は動けば動くほど蜘蛛の糸のように雁字搦がんじがらめだ。わしとお前だ。恐らく家康が考えて望月千代女が動くのだろう」
「なるほど。しかしこちらが動けなければ、どうやって?」
「細川忠興に動いてもらう。違うか?」秀吉も参戦して官兵衛に聞く。
「お見事です。細川忠興へは小六様が良いかと」
「わかった、小六にはわしから伝える」秀吉は小六へ言うと「わかった。だがどうしたらいいのだ?」
「ごく普通に出たらいいです、忍びなら普通は隠れて見つけるのは困難だから」官兵衛は微笑する。
小六らは数人連れて細川忠興を訪れたのは加賀野井かがのい城を落とした後だった。
「小六様!どうしたんじゃ?」細川忠興は小六を見て驚く。
「な〜に、様子を見に来ただけよ。この後は竹ヶ鼻たけがはな城か?」
「ハッ。竹ヶ鼻城は城主、不破光治ふわみつはるはどっちも就かんと言いながら織田信雄・徳川家康連合軍に就くと言ってるからな。ただ不破光治は五千の兵を持ってるからな、どうしようか」
「そのことじゃが、官兵衛様がいい考えがあるんじゃ」
「なんと!それはなんじゃ!」
「大規模な兵糧攻めじゃあ。そうだな〜この規模だと五日程かかるが、織田信雄・徳川家康連合軍に知られるのは二、三日経ってからじゃな」
「官兵衛様はワシにやらせるっと?」
「官兵衛様は総大将の狸を見ておるからな。だから、わしを使いに出して不破光治を撃破をと。やるか?」
「官兵衛様は容赦ないからな」細川忠興は将兵のみならず付近一帯の住民もかり集め、突貫工事を行う。
「急報!細川忠興軍は金銀を撒いて付近一帯の住民も集めて工事をしてるもよう!」報告を受けた不破光治は何をしてるのかわからなかった。
(ポツ、ポツ、ザー)雨が降った。
「お、雨が降ったな」細川忠興は喜んだが
「報告!堤防が完成した模様」
「ご苦労。住民には金銀をやれ」細川忠興はさらに喜ぶ。
雨が降り三日目「急報!急報!」兵士はびしょびしょになりながら報告して来た。それは不破光治も思っていた。雨が降ったけど一向に引かないのだ。
「細川忠興軍は堤防を作っていた模様です!」
「やはりか!」不破光治は扇子を折ってたが
(ドカーン)雨水を洪水の如く流し込んだ。
不破光治達は唖然として
「筆を持って」筆を書く。
「この手紙を徳川家康様まで届けてくれ!」
「ハッ!」兵士は深夜、不破光治の手紙を持って出て湖を渡った。
だが、待てど待てど来なかった。それは小六達が不破光治の兵士を斬殺したからである。小六達は忍び、兵士が通るであろう道を把握するのはお手のものだった。
梅雨の時期に細川忠興軍は「戦いを続けるのは無意味だ!城主不破光治以下全員の命を助けるので開城するように勧告する!最後の勧告だ!」
「降伏じゃ」不破光治は降伏と条件に開城する。
「よし、あとは任せた」
「ハッ」小六達は細川忠興に後を任せて大坂城へ帰った。
「落としたか?」秀吉は小六達を出迎えた。
「さすがに官兵衛様じゃ。敵側は水浸しになって降参しまったわ」小六はおにぎりを頬張ったほおばった。
すると「報告!」秀吉軍の伝令が飛んできた。
「なんだ?」秀吉は官兵衛とおにぎりを食べてる小六と一緒に聞く。
「蟹江かにえ城の織田信雄・徳川家康連合軍の佐久間信辰は九鬼嘉隆様と滝川一益様の水軍が強襲して一気に叩いた模様。その後、佐久間信辰は退却し、下市場城及び、前田城も秀吉陣営となった模様。
ただ大野おおの城については山口重政やまぐちしげまさは母親を人質に取られているにもかかわらず調略に応じなかった為、滝川一益様、九鬼嘉隆様、そして寝返った前田長定様、嫡男の前田長種は大野城を攻める予定です」秀吉軍の伝令が伝える。
「そうか。ご苦労!」秀吉、小六、官兵衛は喜ぶ。
一方、「どうなっておる⁈竹ヶ鼻城の不破光治、蟹江城と下市場城及び、前田城の佐久間信辰!こっちは動いてないぞ⁈」家康は混乱したが
「これは果心居士ではないです。恐らく黒田官兵衛」望月千代女は唇を噛み締めた。
「よし、こちらもやり返すぞ!信雄にも声をかけよ!」家康は激怒して信雄と前田城を出兵。
織田信雄・徳川家康連合軍は合流して大野城に雪崩れ込んだ。
「おぉ!援軍が来てくれたぞ、挟み撃ちじゃ!」山口重政はボロボロになったが獅子奮迅の戦いだった。
「かかれ〜!」信雄も声を荒げた。
秀吉軍は挟まれ「織田信雄・徳川家康連合軍の大群なぞしてられるか、退け〜!」滝川一益達は退いて、滝川一益と九鬼嘉隆は蟹江城、前田長定は下市場城、嫡男の前田長種の前田城は籠城する。
「おのれ〜前田長定と前田長種、裏切りは死するぞ!」信雄は怒ったが
「では、前田長定が守る下市場城を攻めましょう。望月千代女、一匹の蟻を通すな」
「ハッ」望月千代女は家康の発言を聞いて消える。
一方では「何でワシなのじゃ?蟹江城も前田城も助けてくれんのじゃ⁈おのれ〜!撃て、撃て!」前田長定は叫んだが秀吉軍は動こうとしなかった。と、いうか動けなかった。織田信雄・徳川家康連合軍が睨みを効かせていた。
「撃て〜!」信雄は前田長定を集中的に狙ったが
「降伏じゃ。開城するから撃たないでくれ〜!」前田長定は叫びながら出てきた。
「出てこい。まずはそこからじゃ!」信雄は言って下市場城は開城する。
ゆっくりと入城すると前田長定は土下座をして待っていた。
「よく待っていたな」信雄はゆっくりと馬上から前田長定を見下ろした。
「ハッ。下市場城の開城をした暁には許すとのことだったので」前田長定は信雄のことを見上げて言ったが
「それはお前が言っただけだ」信雄はゆっくりと馬上から火縄銃を前田長定は額の中央に突き付けた。(バンッ)前田長定は倒れた。
「反逆者を撃ち落としたぞ!それともまだ反逆者はおるのか?」信雄はギロッと前田長定軍を見渡した。前田長定軍は信雄のギロッと威圧にビビって「ハッ」前田長定軍は平伏した。
だが「これより滝川一益と九鬼嘉隆率いる蟹江城に出兵じゃ!いいな、旧前田長定軍は先鋒じゃぞ?」信雄はまた旧前田長定軍を見渡す。
これにより旧前田長定軍を先鋒にして蟹江城へ襲来する。
「なんと⁈下市場城の前田長定は落ちたのか!」滝川一益は驚愕した。というのも全く下市場城の前田長定が討ち取られたという情報が入らなかったことだ。それゆえ望月千代女達の情報が凄すぎたと言うのがわかる。
「わしは退くぞ!滝川一益様も早く決断を」九鬼嘉隆率いる水軍は退いたが「撃て〜!」織田信雄・徳川家康連合軍の酒井重忠は大規模の水軍で追いかけた。結果、九鬼嘉隆は敗北して残りは滝川一益率いる蟹江城だけだった。
「オィ、恐らく忍び、特にS級と噂の望月千代女達の忍びじゃ!同じ忍び同士、大坂城の殿まで辿り着けるかが勝負の分かれ目じゃ!行ってこい!」一益は忍び達を呼び集めて散った。
蟹江城は徐々に大将格であった酒井忠次の削いで、兵は連日の激戦で疲労して、代わって榊原康政、松平家忠の兵が漸く海門寺口に入った。
「硬いですね?」望月千代女は聞いたが
「滝川一益はな、どえらいやんちゃだったが秀吉と同じぐらい『進むも滝川、退くも滝川』戦上手だ。徹底して叩け!」家康は目を見開いた。
一方で「何⁈滝川一益率いる蟹江城は落ちそうだと⁈」秀吉は驚いたが
「ハッ。九鬼嘉隆は敗北し、下市場城の前田長定は討死。前田長定の嫡男、前田長種は前田城は籠城した模様」
「官兵衛!いよいよ家康と直接対決じゃ〜!」
「ハッ」秀吉軍は総動員で蟹江城に向かう。
「守備兵を一箇所に集めよ!」一益は守備兵を集約するため固めた。再度夜に紛れて各城門から城外に打って出た。
「撃て〜!」(バンッ、バンッ)一益は効率良く火縄銃を浴びせる。
その後、三の丸を放棄し二の丸に撤収しようとするが、苦戦し城兵は城外で包囲されてしまう。
「わし自ら行く!入れ!」一益は怒り自ら門役もんやくを務めこの城兵を二の丸まで収容した。
「閉めたのはいいが、ここからどうするか?」一益はボロボロの姿で歩いていた。
すると(カァー、カァー、バサッ、バサッ)果心居士が現れる。
「滝川一益様。秀吉軍の果心居士です」
「おぉ、噂程度しか知らんが本当に居ったのだな、果心居士。秀吉様のところへは行ったようだが、あいにくご覧の有り様だ」一益はドスッンと座った。
「殿はもう少しかかりますが、逃す準備をする為私が居るのです」
一方で「ここが最後だ!」織田信雄・徳川家康連合軍はこじ開けた。すると旗はバサッ、バサッと何にもなく音が鳴った。
「急報!」兵士は松平家忠に報告をしに来た。
「まさか⁈」
「秀吉軍の滝川一益は地下を通って逃げた模様です!」兵士はガッカリしたが、家康は自分に腹を立った。
そして前田城の前田長種は一戦せずに降伏。
秀吉は、伊勢国に羽柴秀長、丹羽長重、堀秀政の軍は六万の兵を集めて尾張国の西側から総攻撃を計画していたが、滝川一益の敗残兵を合流になって中止となった。
仕方なく大坂城へ帰還に経った。
一方、織田信雄・徳川家康連合軍も清洲城に帰還する。
「どうでる秀吉」家康は茶を飲みながら待った。
すると「秀吉軍の軍師、黒田官兵衛様が殿に会いたいと」服部半蔵は聞く。
「軍師、黒田官兵衛か。どうする望月千代女」家康は喋ると望月千代女が現れる。
「ハッ。和睦してくると。ただし講和条件として何を言い出すか」
「そうか。取り敢えず会おう」家康は官兵衛に会った。
「イヤイヤ軍師、黒田官兵衛様。お久しぶりにございます」家康は官兵衛と握手した。
「徳川家康様、お久しぶりです。」
「で、こんな時期に何かな?」家康は官兵衛をじっと見た。
こんな時期とは秀吉軍と織田信雄・徳川家康連合軍が対決していることだ。
「ハハハハ。ではさっそく、和睦でどうですか?織田信雄・徳川家康連合軍が拮抗してるとはいえ、秀吉軍は数が違います」
「拮抗か。」家康と官兵衛は二人して「ハハハハ!」不気味な感じで笑う。
二人共真面目な顔をして「講和条件は?」
「殿の次男・於義丸(結城秀康ゆうきひでやす)を人質にすれば家康様は不問とするでどうかと」
「・・・わかった」
家康と官兵衛は秀吉と家康・信雄の双方は和睦し、講和条件として、家康の次男・於義丸(結城秀康)を人質とする。
それにより紀伊国の雑賀衆や土佐国の長宗我部元親、越中国の佐々成政は「よいよい!これからはわしに尽くすのだぞ?ハハハハ!」小牧・長久手の戦いにおいて家康が結合した諸勢力は秀吉に服属した。
さらに秀吉は関白かんぱくになって、豊臣秀吉とよとみひでよしとなり豊臣政権とよとみせいけんを確立する。
「おめでとうございます!」黒田官兵衛は言うと「おめでとうございます!おめでとうございます!」豊臣家は大いに盛り上がった。
「ありがとう!ありがとう!」秀吉は豊臣家全員に行って回った。
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