麒麟《きりん》2

 「足利義昭将軍!お初目ありがとうございます!我は織田信長であります!なんなりと思いくださいませ!」信長が言うと

 「よい。一緒に上洛してたもう」義昭は鼻糞を穿ほじって怠そうに言った。

 「はっ、直ちに!ただ斎藤家が許すかどうか?」信長が悩んだフリをすると「よいっ。採れた!あっ、直ちに止める」鼻糞が採れたのが嬉しいのか、まず義昭は上洛の障害を排除するため、信長と美濃・斎藤家との停戦を実現させる。

 「なぜ、信長と停戦せなあかんのだ!」龍興が怒ったが

 「足利義昭将軍からお願いじゃ。どうか聞き入れてたもう」光秀は丁寧にお願いした。

 「足利義昭将軍の頼みならしょうがない」龍興は怒ったが仕方なく聞き入れた。

 ところが、信長は領国秩序りょうこくちつじょの維持を優先。

 「行け!」柴田勝家らは攻撃をかけた。

 「何⁈柴田勝家め〜!迎撃じゃ!」龍興は大激怒して反撃。

 「オゥオゥ。さっそく反故ほごしたか!益々面白くなってきた!」果心居士は烏の目から覗く。

 「足利義昭将軍!さっそく反故にしてきました!。迎え撃ちましょう!」藤吉郎は焦ったフリをしながら義昭に進言する。

 「おのれ〜!行くぞ!出陣じゃ!」義昭はまんまと嗾けしかけた。

 美濃・斎藤家との戦闘を再開する。

 「ぬぅ〜!行け行け!」義昭は行くと「馬鹿か?義昭将軍を何する者よ、返り討ちにしてやるわ!」龍興は返り討ちにする。

 (ザクッ、パンッ、パンッ)斎藤軍は足利軍を完膚なきまで仕返し「逃げろ〜!逃げろ〜!」義昭は逃げた。

 結果、足利義昭は撤退を余儀なくされる。

 「天下をばかにしてる!義昭様!討ってでましょうぞ!」受ける屈辱を味わった義昭と信長は、名誉回復のため、美濃・斎藤氏の脅威を排除し、義昭の上洛を実現させることを目指さなければならなくなる。

 「ただ美濃国が懐柔しておりますゆえ」信長が困ったフリをしたが「兵を借りていく!」義昭は借り、信長の策略に乗ったのだ。

 「どうかお願いします!足利義昭様を上洛のおり、斎藤龍興が邪魔をしております!」藤吉郎も義昭に援護を他の者に言いふらした。

 「サル。どうじゃ?」信長は藤吉郎が帰って来たのを聞く。

 「ハイ!美濃国有力国人衆を味方につければ!」藤吉郎は答えた。

 「よし、もう一声掛けてくるか?」信長が声を掛けた。

 そして、信長は美濃国有力国人衆を味方にして中濃ちゅうのうの諸城を手に入れ、義弟・斎藤利治を佐藤忠能の養子として加治田城主とする。

 さらに西美濃三人衆などを味方につけたら

 「それ、かかれ〜!」信長のぶながは吠える。

 「おのれ〜。かかれ〜!」龍興は怒り狂って攻めたが織田軍と美濃国有力国人衆は想像以上に強かった。

 「殿、織田おだ軍と美濃国有力国人衆は想像以上に強いです。ここは引きましょう」

 「織田信長〜!引くぞ!」ついに斎藤龍興をついに敗走させ、美濃国平定を成なす。

 「えいえい、おー!」織田軍は吠える。

 「やりましたな」藤吉郎は満足したが

 「まだまだよ。これより井ノ口いのぐちは岐阜ぎふと改称かいしょうする。」

 このとき、井ノ口を岐阜と改称した。

 「ハハハハ!これはひょっとすると・・・」果心居士は烏の目で飛び立つ。

 一方、なんとか足利義昭は近江国おうみのくにを脱出して、越前国えちぜんのくにの朝倉義景あさくらよしかげのもとに身を寄せていた。

 「よくご無事で!さぁさぁこちらでゆっくりされよ」朝倉義景はぼろぼろの足利義昭を丁重に扱ったが

 「すぐに織田家へ」明智光秀は静かに言い

 「織田家はイヤじゃ!ここが良い」足利義昭は動かなんだ。

 「ここ朝倉家は六角ろっかく家と仲が良いと」明智光秀はボソボソと言う。

 「何⁈」

 「ここは織田信長様へ」

 「うむ。そうしよう、今は一旦頼るか」

 家が近くにおるのでまた織田家に頼る。

 「ハハハハ!良い様に信長に使われてるな?」(バサッ、バサッ)果心居士は烏の目から飛び立つ。

 信長は義昭は一乗谷いちじょうだにを出て美濃国に向かい、岐阜城下ぎふじょうかの立政寺りゅうしょうじにて信長と会見する。

 「将軍、おいたわしや。この信長、全軍挙げて上洛まいる!」信長は美濃国統一した後は「信長!すまん!」足利義昭を奉戴ほうたいし、上洛を開始した。

 「どうじゃ。首尾は?」信長は馬を乗りながら藤吉郎に聞く。

 「順調です。三好義継みよしよしつぐや松永久秀まつながひさひでらは協力してます。ただ、六角義賢ろっかくよしかた・義治よしはるはあくまで歯向かうみたいです」藤吉郎は馬に乗りながら答える。

 「フン。それなら斬り捨てるまでよ」

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