第11話 星の王子さま、モテ度がアップする

ー天陵学園に通じる通学路ー


「新條康雄っ!!俺とーー」

一人の大男が言い終わる前に、俺はその男をアッパーカットで吹っ飛ばした。

周りの生徒達がポカーンとする中、俺は構わずに学園に向かった。

(この展開、何回目だよ・・・・。)

俺は内心で、溜息を付いた。


俺が天童に勝って『爆裂団』の総長になったことから、俺を倒して頂点に立とうとする奴らが後を絶たなかった・・・・。

後で天童から聞いたが、『爆裂団』はこの周辺では有名かつ大きな影響力を持っているとのことだった。

ちなみに、あの騒ぎの後、ナンパ男二人組は執行猶予付きの有罪になったが、一応の釈放後には逃げるように町を去って行った。

その日も俺を倒して名を高めようとする男を吹っ飛ばして学園に登校した。


いつものように下駄箱に来て俺の靴入れの扉を開けたら、大量の手紙がこぼれ落ちてきた。

あの騒動後、色んな意味で注目された俺に毎回、ラブレターが後を絶えることがない状態になっていた・・・・。

今日も今日とて大量のラブレターを抱えて、教室に入った。

机に座った俺は、一部の手紙を確認した。

『貴方の男らしさに惚れましたっ♪♪』

『貴方に私の全てを捧げますっ(#^.^#)』

『俺の【兄貴】になってくれっ!!』

最後の手紙は、ビリビリに破り捨てたのは言うまでもなかった・・・・。

  

「モテモテだね、康雄♪♪」

にこやかに言う凛に、俺は力無く言い返した。

「野郎のラブレターなんか、要らんわ・・・・。」

机に突っ伏しながら言う俺の言葉に、腹を抱えて笑う凛に続いて翔太が言った。

「凛ちゃんの言う通り、男女問わずモテモテだね・・・・(汗)」

そんな翔太に俺は言った。

「だったら、翔太が代われよ・・・・。」

翔太は思い切り、左右に首を振った。

すると、卓や他のクラスメイト達も凛と同じように腹を抱えながら笑っていた。

先日の自宅での歓迎パーティー以降、クラスメイト達とは名前で呼び合うようになった。

(みんなと打ち解ける様になったから、これはこれで嬉しいよな・・・・。)


ー天陵学園 食堂室ー


お昼になり、俺は翔太、卓、凛と一緒に食堂室に来ていた。

お弁当をここで食べる生徒達も多いけど、安い、美味しい、ボリュームがあるなどで評判が良い食堂で購入する教師や生徒も多かった。

翔太たち三人は食堂で購入したが、俺は基本弁当派だ。

ちなみに今日の弁当の内容は、ご飯、豚肉の生姜焼き、野菜サラダ、ポテトサラダだった。

「康雄のオカズ、美味しそうだね・・・。一口良いかな?」

凛が聞いてきたので、俺は豚肉の生姜焼きを一切れあげた。

卓と翔太も聞いてきたから、二人にも一切れあげた。

豚肉の生姜焼きを食べた三人は、一斉に言った。

「「「何これっ!?凄く美味しいっ!!!」」」

三人が一斉に俺の弁当を絶賛したから周りの生徒達だけでなく、食堂の人達にも注目された。

結果、食堂のおばちゃん達も試食して大絶賛したから、余計に騒がしくなった。

その為、俺のオカズがなくなり、落ち込んだ・・・・(泣)


こんな事があったから、翌日のラブレターには新たな文がつづられていた。

『新條君、私の胃袋を掴んで♪♪』

『私の為にお弁当を作って♡』

『僕の【奥さん】になって下さい。』

破る気力もなくなった俺は、最後の手紙を校舎裏の焼却炉に放り込んで処分した。


その時、背後の方から男子の悲鳴が聞こえた気がしたけど、聞かないことにした・・・・・(汗)



____________________


男女問わずにモテモテになった康雄。


更にお手製のお弁当でモテ度がアップしましたね🎶😊


でも、野郎からの手紙は、嬉しくないですね・・・・・😅

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