第5話 星の王子さま、質問攻めを受ける

ー天陵学園 1ーA組教室内ー


クラスメイト達からの視線を受けながら、俺は三条先生と共に教壇に立った。

「今日から、お前たちと同じクラスメイトになる新條康雄だ。それじゃあ、新條、自己紹介をしろ。」

三条先生に促されて、俺は自己紹介を始めた。

「皆さん、初めまして。本日から1ーAの一員となる、新條康雄です。皆さん、宜しくお願いします。」

そう言って、俺は軽く頭を下げて自己紹介を終えた。


「本来ならば、新條は皆と共に入学式に参加するはずだったが、アメリカでの入学手続きや引っ越し手続き関係などで天陵学園への入学が遅れた。」

「また、新條は、父親が日本人で母親がフランス人のハーフだが、それで新條を揶揄ったりしないように。」

三条先生の説明を聞いて、皆は納得した。

俺は身長が180cmで体格はマッチョ体型ではないがか、かといってヒョロヒョロではない。

中間的な筋肉もついているスマート体型だった。

また、髪は父親譲りの黒髪だが、最大の特徴は目だった。

左目は日本人の父さんと同じ黒い瞳で、右目はフランス人の母さんと同じ青い瞳だった。

所謂、『オッドアイ』だが、どちらも透き通るような綺麗な瞳なのでクラスメイト達も思わず見とれてしまっているみたいだった・・・・。

そんな中、三条先生が両手を軽く叩きながら言った。

「それじゃあ、ホームルームは終了だ。新條の席は、後の窓側の席だからよろしくな。」

そう言って、三条先生は教室を出ていった。


俺が指定された席に着くと、クラスメイト達が一斉に近付いてきて俺に怒濤の如く、質問してきた。

「ねぇっ!!新條君はアメリカから来たって言うけど、ずっと海外に住んでいたのっ!?」

「新條君、学園に来て早々に下着泥棒を叩きのめしたって本当かいっ!?」

「おいっ、新條!!我等のマドンナである静香様を泣かせたのは本当かっ!!」

「新條君っ!!静香様を君の下僕にしたと言うのは、本当かいっ!?羨ましいぞっ!!」

(なんつーか、最後の質問内容、かな~り本人の願望が混ざっているぞ・・・・。)

入学初日に早退したい気分の俺だった・・・・。


その後、皆の質問をひとつひとつ丁寧に説明した。

その中で朝早く、理事長と学園長に挨拶した時に下着泥棒を叩きのめしたこと。

大文字静香が俺を下着泥棒の仲間と勘違いして、俺を叩きのめそうとした結果、大文字静香を俺が軽くあしらったことを説明した。

それを聞いて、クラスメイト達も納得してくれた。


「いやぁ~、新條君も入学早々に災難だったねぇ~。」

そう言ったのは、バスケ部に所属する会田卓(あいだ すぐる)だった。

「いやいや、下着泥棒の退治以上に『天陵の剣士』と言われた大文字先輩を軽くあしらったことが大ニュースだよっ!!」

興奮気味に言っているのは、新聞部に所属する柿崎翔太(かきざき しょうた)だ。

「大文字先輩が軽くあしらわれたことが、そんなに大事かな・・・?」


そんな俺の発言に、皆が息をのみこんだ中、一人の女の子が呆れるように答えた。

「大事だよ、新條君。静香先輩は幼少の頃から道場に通いながら剣道を学んで、全国大会でも何度も優勝しているから。」

「そんな静香先輩を軽くあしらった新條君が、注目されるのは当たり前だよ。」

そう言って説明してくれた女の子は、新体操部に所属する神田凛(かんだ りん)だ。

理事長と校長から静香の事を聞いていたが、改めて、大文字静香の凄さに俺は驚いた。


(とは言え今後、厄介な先輩にいちゃもんを付けられそうだな・・・・。)

俺は内心でそう確信しながら、溜息をつくのだった・・・・。



____________________


色々、質問攻めを受けたけど、クラスに馴染みつつある康雄。


だけど、康雄に目を付けるのは、他にも居るようで・・・・😓

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