閑話 大文字静香
ー天陵学園・生徒会室ー
お昼休み、本来ならば食堂で自分で作ったお弁当を食べる予定だった私、大文字静香だが、今日はその気にはなれなかった。
原因は言うまでもなく、あの男子、新條康雄の件だった。
あの後、私は祖父と父親から康雄は新入生で、下着泥棒を退治したのは康雄であることを聞かされた。
結果、私は康雄を下着泥棒の仲間と勘違いして攻撃しようとしたことを、祖父と父親にこっぴどく叱られた。
当然、祖父と父親から私は彼に謝るように言われた。
だが、彼は私の謝罪を受け入れなかった。
そこで彼は私に言った。
「悪いけど、大文字先輩は理事長と学園長に言われて『仕方なく謝罪』するつもりだったでしょ?」
「ハッキリ言って、そんな形だけの謝罪は受け取れません。」
彼の言葉に、私は言い返すことは出来なかった。
当たっているだけに、私は尚更、言い返せなかった・・・・。
「何なのよ、あの新入生・・・・。」
自分しかいない生徒会室で、私はポツリと言った。
あの後、担任の三条先生と一緒に彼が理事長室から出て行ったあと、私は祖父と父親から言われた。
「全く、男嫌いだからといって、あの態度は感心しないぞ・・・・。」
お祖父さまに言われただけでなく、お父さまからも
「誰だって、嫌々ながらの謝罪は受け取りたくない。」
反論が出来ない私だったが、二人に尋ねた。
「彼は、何者なんですか?今まで私は、殿方に負けたことは一度も無かったのに・・・・。」
珍しく落ち込む私に苦笑いしながら、お祖父さまとお父さまが教えた。
「彼の名は、新條康雄。静香より一つ下の15歳で一年生だ。」
「静香も聞いた事があるだろう。彼の両親である新條兼嗣と新條セシリアの名前は。」
新條兼嗣と新條セシリアの名前を聞いた私は驚いた。
新條兼嗣は実業家として海外で活躍していて、各界に影響力を持つ人物だ。
そして、新條セシリアは元ファッションモデルで、引退後は若手モデルの育成などで大活躍している。
どちらも、有名人だった。
そんなセレブでもある二人の息子だったとは・・・・。
だが、お祖父さまは剣道部員である私に爆弾を落とした。
「彼は幼い頃から中学まで、師匠から鍛えられていて、格闘家として、そして剣士として世界一と言っても過言ではない。」
「何ですって!!」
お祖父さまの言葉に私は驚いた。
私自身も幼い頃から道場で修行して、剣道は最強と自負していただけに、私では彼に勝てないと言われたとショックを受けていた・・・・。
そんな私の心情を察したお父さまが釘を刺した。
「言っておくが、静香。決して彼に挑むなよ?お前なら彼を挑発してやらかすかもしれない・・・・。」
深い溜息をつきながら、お父さまは私に言った。
その後、私も教室に戻ったけど、やはりクラスメイト達から彼との一騒動のことで質問攻めにあった。
結果、私は昼食時に生徒会室に避難したのだった・・・・。
「お父さまは、ああ言ったけど、やはり納得は出来ないわ!!何とか、リベンジが出来ないかしら・・・・・。」
結局、私はお父さまの忠告を無視して、彼へのリベンジを考えるのだった・・・。
そのリベンジが、私に与える影響も知らずに・・・・・。
____________________
康雄に軽くあしらわれた静香。
彼女の康雄へのリベンジが、どんな結果を生み出すやら・・・・・😅
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます