第6話 星の王子さま、嫌味教師のプライドをへし折る
ー1時間目の1ーA組教室内ー
朝のホームルームから一転して、教室内はピリピリモードだった。
理由は、一時間目の英語の授業を担当する花野英三(はなの えいぞう)だ。
花野は、東大を卒業した上に英会話も日常レベルで話せる教師だった。
しかし、プライドがエレベスト並にかなり高く、同僚の教師を見下したり生徒にもワザと難問を出して出来なければ嫌味を言う教師だ。
まぁ、絵に描いたような学歴自慢する嫌味なエリート教師だが、一つ違うのは英語の能力は本物だという事。
だからこそ、理事長や学園長も花野をクビにする事は出来なかった・・・。
会田達からは、俺は色々と注目されているから気を付けろよと言われた。
だが、当たり前だが花野は俺を見逃すことはしなかった。
「おいっ!!新條。この問題を解け。」
指名された俺は構わず教壇に向かった。
そして、黒板を見ると書かれていた問題は明らかに三年生向けの問題だった。
俺が戸惑っているのに気付いた花野はニヤニヤしていた。
「どうした新條?海外で暮らしていたんだから、これくらい楽勝だよなぁ~。」
クラスメイト達も明らかに花野の嫌がらせだと理解していた。
ニヤニヤする花野を見た俺は、容赦しないことにした。
問題内容は、日本語を英訳しろだったが俺は構わず答えた。
【先生、これを訳せと言うんですね。】
俺はフランス語で言った。
「おい、新條、何を言ってるんだ?」
【先生ならば、何語か分かるでしょう?】
今度はドイツ語で言ってやった。
「おいっ、新條!!ふざけているのかっ!!!」
花野の苛立ちがかなり高まっていたので、最後は英語で言ってやった。
【貴方みたいな人間は、教師をする資格はありませんね。】
俺の英語を聞いた花野が、激昂して俺に掴み掛かろうとした。
その直後、扉が開き一人の男性が花野を叱責した。
「花野くん、何様のつもりだっ!!!」
その男性の叱責に一瞬たじろいだが、すぐに反論した。
「お言葉ですが、教頭。失礼な態度を取ったのは新條の方です!!」
教頭と呼ばれた男性は、花野の反論を否定した。
「嘘を付くなっ!!!私は、廊下で聞いていたが、新條君にワザと難しい問題で彼に恥をかかせようとしていたのは、君の方だろうがっ!!!」
強い口調で嘘を指摘された花野は、さっきまでの威勢はどこへやらになっていた。
そして、俺の目の前まできた教頭は、頭を下げて俺に謝罪してきた。
花野だけでなくクラスメイト達も驚く中で、教頭は自己紹介してきた。
「新條君、花野の無礼、本当に申し訳なかった。私は、天陵学園教頭を勤める青野武(あおの たけし)だ。」
教頭の青野は、見た目は50代後半くらいの痩せ細った体型だった。
一番の特徴は、頭髪が半分くらい後退している漫画やアニメに出てくるイメージだ。
だけど、外見とは裏腹にしっかりした人物だった。
そんな教頭に対して俺は答えた。
「教頭が謝る必要はありません。だけど、俺に謝るべき人が1名いますが・・・・。」
そう言って、俺は威勢がなくなっている花野に視線を向けた。
だが、花野はプライドが高いからなのか、謝ろうとはしなかった。
ここで、教頭が再び花野に激昂した。
「花野っ!!いい加減にしろっ!!お前は無職になって、路頭に迷いたいのかっ!!!」
教頭の言葉の意味が分からないのか、花野だけでなくクラスメイト達も首を傾げていた。
「よく聞け花野。新條君のご両親は、世界各国で事業を成功している新條兼嗣さんと元ファッションモデルで若手モデルの育成で活躍している新條セシリアさんだっ!!しかも、セシリアさんの実家はフランスでも五本の指に入る財閥だぞっ!!!」
「しかも、二人とも各界に影響を持つ上に、パイプも幾つかある。当然、文部科学大臣や文部科学省のお偉いさん達にも影響している。そんな中で今回のことが知られたら、お前はクビの上に教員免許剥奪になるぞっ!!分かっているのかっ!!!」
花野はようやく、自分が見下していた相手が怒らせてはいけない相手だと自覚したのか、花野の顔は顔面蒼白状態だった・・・・。
更に、教頭は花野のプライドにとどめを刺す爆弾を投下した・・・・。
「それにな、花野・・・・。新條君は、外国語も英語、フランス語、ドイツ語など八カ国語も話せるんだぞっ!!!もちろん、天陵学園の入試も全科目満点だっ!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・。
「「「「「「「えーーーー一ーーーー!!!!!」」」」」」」
一瞬の静寂後に、1ーA組の教室内にクラスメイト達の驚きの声が響き渡った・・・・・・・・。
____________________
さっそく嫌味を言ってきた教師をぎゃふんと言わせた康雄。
更に、康雄を弁護する形で現れた教頭だったが、皆の前で爆弾発言をしてしまった・・・・。
どうなることやら・・・・┓( ̄∇ ̄;)┏=3
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