第15話 星の王子さま、新たな出会いをする
ー とある長距離トラック運転室 ー
「へぇ~、兄ちゃんはヒッチハイクしながら北海道まで来たんだなぁ。」
「はい。学校の方は必要最低限出席していれば大丈夫だし、学校の許可はもらっていますから。」
「いやぁ~、ヒッチハイクしながらの一人旅を若い頃から経験するのも、良い思い出になるし色々と学べるから楽しみなよ♪」
そう言ってトラックの運転手のおっちゃんは、笑いながら話してくれた。
俺も笑いながら、おっちゃんと話していた。
現在、俺はヒッチハイクをしながら北海道に向かっていて、あと少しで北海道に到着しようとしていた。
やがて北海道に到着して、俺は運転手のおっちゃんにお礼を言ってトラックから降りた。
「ここまで乗せてくれて、有り難うございます。」
「いいってことよ。だけど、トラブルには気を付けなよ兄ちゃん♪♪」
そう言ってトラックのおっちゃんはトラックを走らせて去っていった。
トラックが走り去ったのを見送った俺は、辺りを見回した。
建物がなく、森に囲われた感じの場所だった。
「都会じゃあ、こんな光景は無いから良いよな・・・・。」
少しその場の新鮮な空気や心地よい風を感じた後、俺は今日泊まる宿を求めてスマホに表示された地図を便りに歩き出した。
宿を求めて歩き出して1時間くらいして、ぽつりぽつりと建物が見え始めた時、悲鳴が聞こえた。
「キャーーーーー!!お嬢様っ!!!」
どうやら誰か襲われているようだ。
俺は悲鳴がした方へ向かった。
その場に到着すると、悲鳴を上げた女性の視線の先に一人の女の子が巨大な羆を前に恐怖から動けないのかへたり込んでいた。
(そう言えば、最近は羆が餌を求めて森から出てくるって、トラックのおっちゃんが言っていたな・・・・。)
俺はすぐに動いた。
羆がへたり込んでいる女の子に片腕を振り下ろそうとした直後、俺は羆の腕を掴んで阻止した。
羆はすかさず、もう片方の腕を振り下ろしてきたがそちらも掴んで、ガッチリと羆の両腕をブロックした。
羆自身も、自分が一人の人間に押されているのに動揺しているのが見て取れた。
俺は羆に対して、相撲のがぶり寄り感覚で押してゆき、最後は金太郎が熊を投げ飛ばすような感じで羆を投げ飛ばした。
結局、羆は俺に恐怖したのか一目散に森の中へ逃げていった。
俺はすぐにへたり込んでいる女の子の側に駆け寄った。
「大丈夫か?」
女の子は、コクコクと首を縦に動かしながら頷いた。
そこへ悲鳴を上げていた女性も駆け寄ってきた。
「お嬢様、お怪我はっ!?」
女性に聞かれた女の子は落ち着きを取り戻したのか答えた。
「はい・・・・・。この方のお陰で大丈夫です・・・・。」
それを聞いて安堵した女性が、俺に泣きながら頭を下げてお礼を言った。
「貴方のお陰で、お嬢様が助かりました。有り難うございます。」
女の子も女性に続く形で、お礼を言った。
「貴方は、私の命の恩人です。本当に有り難うございます。」
俺は、少し照れながら答えた。
「いえ、無事で何よりです。ところで自分は一人旅をしているのですが、近くに宿は有りますか?」
俺の問いに、女の子が言った。
「あの・・・・・。私が療養も兼ねて滞在している旅館が有りますが、そこは如何でしょうか?宿代については、助けてくれたお礼に私がお支払いします。」
女性も、
「お嬢様の言う通り、是非、そうして下さい。」
二人にそこまで言われると、断り切れないから承諾した。
こうして俺は、女性と女の子と一緒に件の旅館に向かった。
(よく見ると女の子の雰囲気、誰かに似ているような・・・・・。)
____________________
到着した北海道で、羆に襲われそうになった女の子を助けた康雄。
どんな展開があるのやら・・・・。
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