第3話 星の王子さま、転校初日からトラブルに巻き込まれる
ー6月 天陵学園ー
この日、朝一番という形で、俺は自分が通う事になった私立天陵学園に来ていた。
まだ、周りに登校している生徒達がいない中、俺は理事長室に向かった・・・。
理事長室のドアを数回ノックすると、中から「どうぞ。」という声が返ってきたので、俺は「失礼します。」と言って校長室に入った。
中には、二人の人物がいた。
一人は70代の老人で、もう一人は40代半ばの中年男性だった。
「よくぞ我が校に来てくれたね、康雄君。私が天陵学園の理事長をしている大文字鉄斎(だいもんじ てっさい)だ。」
豪快な感じで老人が自己紹介した。
「私が鉄斎の息子で学園長を務める大文字早雲(だいもんじ そううん)だ。歓迎するよ、康雄君。」
そう言って、静かな口調で中年男性が答えた。
「初めまして、新條康雄です。宜しくお願いします。」
そう言って、俺は頭を下げた。
「兼嗣くんとセシリアさんから聞いたよ。相次ぐ縁談話にウンザリだったそうじゃあないか。いやぁ、モテる男は辛いね♪♪」
楽しそうに笑う鉄斎に対して、早雲が注意した。
「親父・・・、康雄君からしたら迷惑でしかないよ・・・。」
そんな二人を宥めながら、俺が仲介した。
「お気遣い、有り難うございます。ですが、今は大丈夫なので・・・。」
さっそく、三人は今後について話し合った。
「それじゃあ、康雄君のクラスは1ーA組だから、担任は生徒思いの良い先生だよ。」
早雲の説明に俺も納得していた。
すると、外から生徒達の声が聞こえ始めた。
「この声からすると、朝練の生徒達ですか?」
俺の問いに、鉄斎が誇らしげに答えた。
「そうだ。我が校は勉学だけでなくスポーツも活発だからな。」
更に早雲の話によると、家庭の事情がある勉学やスポーツで優れている生徒は奨学金有りの特待生扱いになるそうだ。
父さんと母さんから天陵学園の素晴らしさを聞いていた俺は、改めて、天陵学園の良さを感じた。
しかし、直後に女生徒達の悲鳴が響き渡った。
「「「「「キャーッ、誰かぁ、下着泥棒よっ!!!!!!」」」」」
悲鳴を聞いた俺達三人は、すぐに理事長室から飛び出した。
すると、奥の曲がり角の廊下から大きなリュックを背負った怪しげな男が現れた。
どうやら、部活の朝練をしている女生徒達の下着を盗もうとしたら女生徒達に見つかり逃げている最中みたいだった。
下着泥棒を見た俺は、師匠から鍛えられた『瞬足』で下着泥棒の懐に飛び込み下着泥棒の腹部に強い足蹴りを打ち込んだ。
結果、下着泥棒は奥の廊下の曲がり角近くまで数メートル吹っ飛んだ。
下着泥棒は、口から泡を吹きながら、気絶した・・・。
吹っ飛ばされて気絶した下着泥棒を見て、鉄斎と早雲は素直に俺を称賛してくれた。
「いやぁ、一撃で気絶させて数メートル吹っ飛ばすとは・・・。」
「流石、無差別格闘を身につけているのは、伊達じゃあないね。」
そんな二人の称賛の言葉に、俺は思わず照れてしまった。
しかし、照れていた気分はすぐになくなった。
直後に女の子の声がした。
「下着泥棒の仲間ねっ!!お前も、仲間と同じように覚悟しろっ!!!」
声の方に向くと、竹刀を自分に向けた形で剣道部員らしい女の子が背後に複数の剣道部の女生徒達を従えて、敵意を露わにしていた。
どうやら、俺を下着泥棒の仲間と思い込んでいるらしい。
(何処をどうしたら、俺が下着泥棒の仲間になるんだよ・・・・・。)
俺は、心底、ウンザリする気持ちだった・・・・。
____________________
今度は、転校初日に下着泥棒を叩きのめした康雄。
しかし、康雄を下着泥棒の仲間と勘違いする女の子も現れたり・・・。
康雄のトラブルは、まだ始まったばかりですね・・・・😅
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます