第2話 星の王子さま、日本の大地に立つ

ー日本・成田国際空港ー


日本に行く決意をしてから三週間後、俺は父さんと師匠の祖国である日本の空港にいた。


日本に行くことを決意をした俺は、すぐに父さんと母さんに決意を話した。

最初は戸惑っていた父さんと母さんだったが、次から次へとくるお見合い話を考えたら俺の日本行きはちょうど良いと日本行きを承諾してくれた。

諸々の準備や手続きを進めて日本へ旅立つ当日、父さんと母さんは空港まで見送ってくれた。

「康雄、身体には気を付けろよ。」

「そうよ、何かあったら直ぐに駆け付けるわ。」

そう言って、父さんと母さんは俺を温かく見送ってくれた。

(これで、しつこいお見合い話も自然消滅するな・・・。)

俺は内心で、心底、見合い話が来なくなったのを喜んだ。


さっそく、空港の荷物受け取り場所で自分の荷物を受け取ろうと向かっていた時、空港のロビーで悲鳴が上がった。

「誰かぁーー、その引ったくりを捕まえてぇーーー!!」

悲鳴のする方に振り返ると、女性がバッグを引ったくられ、引ったくった男がバッグを抱えて俺のいる方向に走っていた。


近くに警備員は数名いたが、引ったくりの男は逃げながらナイフを振り回していたから、迂闊に近寄れなかった。

引ったくりの男は、目の前にいた俺に喚いた。

「そこをどけっ!!死にたいのかっ!!」

男は、振り回していたナイフを俺に向けた。


誰もが、俺が刺されると思っていたみたいだが、次の瞬間、男が持っていたナイフを俺は素早く手刀で床に叩き落とした。

更に、間髪を入れずに俺は男の腕を強く掴んだ上で、軽く男を持ち上げて近くの壁に男を投げ飛ばした。

結果、男は悲鳴を上げる間もなく顔面から壁に叩き付けられて、体をピクピクと痙攣しながら気絶した。

男が気絶したのを確認した俺は、床に落ちたナイフとバッグを拾ってナイフは駆け付けた警備員達に渡し、バッグは悲鳴を上げていた女性に渡した。

あっという間の展開にその場にいた人達は、暫し呆然としていたが、事態を飲み込めた瞬間、俺への拍手喝采が送られた。

「いいぞ、兄ちゃんっ!!良くやったぞっ!!」

「ねぇ、よく見ると彼って、モデル並みの超イケメンじゃないっ!!」

時折、黄色い声援も混じっていたから、俺は少し戸惑いつつも照れてしまった。


その後、バッグを取り戻してくれた俺に女性が「お兄さん、バッグを取り戻してくれて有り難う。」言ってくれた。

警備員や通報を受けた警察から簡単な事情聴取が行われたが1時間くらいで解放された。

警備員達や警察官達からも、「犯人逮捕に協力してくれて、有り難う。」と言われた。

その後、俺は荷物を受け取り、父さんと母さんが手配した新しい住処となるマンションへ向かった。


ー康雄の新しい自宅マンションの室内ー


そして、到着したマンションの新しい部屋の中で、俺は呆然とした・・・。

確かに、タワマンではないけどセキュリティは充実していた。

だけど、広さは3LDKな上に家電や家具も充実して、更にはベッドはダブルサイズ、風呂は二人が軽く入れる広さだった。


そして、テーブルの上に父さんと母さんからの手紙が置いてあり、手紙を読むと父さんと母さんがマンション購入時に内装業者に依頼をして風呂のサイズを大きくしたことや防音及び防壁を施してもらい、その後に最新の家電や家具を購入したことが綴られていた。


そして、手紙の最後にはこう綴られていた。

「「心置きなく、未来の花嫁をゲットして早く孫の顔を見せてくれよ♪♪」」

普段は俺を甘やかしたりしていない父さんと母さんだったが、実際は『超』が付くほどの親バカだったことを思い出した・・・。


「・・・・・・・、父さん、母さん、こんな所で親バカ発揮するなよーーーーーー!!」

暫し絶句していた俺の叫びが、防音&防壁が施されている部屋の中に響いたのだった・・・・。



____________________


空港で引ったくり犯を叩きのめした康雄。


そして、新しい住処は両親の親バカぶりが発揮されていた。


初っ端から、康雄の新しい生活は平穏ではないようで・・・・・😅






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