第12話 星の王子さま、勝負をする

ー天陵学園 1年A組ー


「新條康雄、私と勝負しなさいっ!!」

その日も授業が終わり、帰ろうとしていた俺に対していきなり教室に来た大文字先輩が開口一番で勝負を挑んできた。

何を言ってんだ、この人は・・・・。

俺が呆れていると、大文字先輩は話を続けた。

「不良集団とたむろしている貴方の腐った性根を叩き直してあげるわっ!!」

今の大文字先輩の言葉に、俺は腸が煮えくりかえる思いになった。

確かに、天童達は不良だが、根は良い奴らなのはここ数日話をしていた中で思っていた。

だからこそ、見た目で天童達を罵った大文字先輩に強い怒りを感じていた・・・・。


「・・・・、結局、大文字先輩は見た目でしか判断が出来ない器の小さい人だったんですね・・・・。」

「貴方には、失望しました・・・・。」

俺はそう言い返して、溜め息をついた。

俺の言葉がショックだったのか、暫し呆然としていた大文字先輩の顔は見る見るうちに真っ赤になっていった。

「つべこべ言わずに、勝負しなさいっ!!!」

大文字先輩の怒声にクラスメイト達も見ているしか出来なかった・・・・。


ー天陵学園 体育館ー


大勢の教師や生徒達が、見守る中で大文字先輩は剣道用の武具を纏っていた。

対して俺は武具を纏わず、上着の制服を脱いだ形で竹刀だけを持っていた。

それが不快なのか、大文字先輩は声を荒げた。

「人を馬鹿にするのも、いい加減にしなさいっ!!!」

「貴方の小言は結構ですから、始めましょう。」

俺の言葉が大文字先輩の怒りの火に油を注いだのか、俺に対して竹刀を構えた。

(なるほど、改めて大文字先輩の構えは隙が無いな・・・・。だけど、それは『剣道としての構え』に過ぎないな・・・・。)


周りのギャラリーが固唾を飲んで見守る中、大文字先輩が先に仕掛けてきた。

誰もが大文字先輩が一方的か、接戦かと思っていた。

だが、勝負は呆気なく決まった。

俺は、大文字先輩の竹刀を下からはじく形で竹刀を大文字先輩の手から離した上で、直後に俺は横から竹刀で大文字先輩の胴体部分に打ち込んだ。

直後、大文字先輩は2~3m先に軽く飛ばされる形で倒れ込んだ・・・・。

周りの大きなざわめきが起きている中で、俺は大文字先輩に冷たく言い放った。

「大文字先輩、さっきも言った通り外見でしか判断が出来ないのならば、貴方の器も剣道の腕もその程度です。」

「理事長や学園長に泣き付いても構いませんが、まずは貴方が貴方自身を正して下さい。」


俺は、その場に竹刀を置いた上で制服の上着を手にして体育館を去った。

背後からは、大文字先輩が声を押し殺しすような感じですすり泣く声が聞こえてきたが、俺は振り返ることはしなかった・・・・。



____________________


天童達を外見で判断して罵った大文字先輩を相手に圧勝した康雄。


対して、静香の胸中はいかに・・・・?😓

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