第54話
僕が魔術でそれらを突撃してくるそれらを闇を混ぜることで簡単には壊せない氷、これを隙間だらけの格子のような網目状に展開した立体で受け止める。あまりの衝撃に立体全体が居白に押し戻されるが地面への接地面を広く作ったおかげで少し沈んだ程度だ。
「捕まえた」
飛翔してきた塊すら網目に覆う。
「喰らえ!」
ギュヌマリウスがなんか知らない魔術、魔剣をつかった技だ。いいな、羨ましいなって思った頃には魔剣から放射された電撃が対象に収束し、固まりとその周辺の闇の氷と蒸発させるついでと一緒に、目的のマシンを融解させてしまっている。
「あぶねぇな、感電するかもしたよ」
「乾いた氷でジャングルジムを作ったくせによく言うよ」
「溶けたら氷も感電しちゃうよ? いや、大丈夫だったんだけど」
「ならいいだろう」
全滅。そうだろう。なんとか、なったか
真横から噴気音が聞こえた。
すぐ迫るその塊、まずい。油断した。マノンは反応して僕の足と背中を抱えて避ける体制をとって動いているがだめだ。ユーリが動けて
「あー、えん」
金属の塊は突如出現したその白い結晶に触れた瞬間、蒸発して消えた。
「え……。すん」
言語化不可能な声で白い結晶の発生源たるシャノンの手元から生えたその結晶は吸い込まれるようにシャノンの肌を通じてその身の中に消える。
すごい、熱を感じる。たぶん、かなり抑えているんだろうけど、一瞬の熱波で身体中から汗が吹き出る。
「ありがとう、たすかったわ」
「あぁ! あぁ、そうだ。ありがとう。っだな!」
言わなくてはならないことに気づくとユーリと僕はシャノンに言葉が通じない故かボディランゲージ代わりに二人して頭をなでてほめる。
「よくやったー、金属を昇華させる……え、温度かな? いやーよくやった」
とりあえず、乱暴でも感情的に撫でる僕。
「ありがとう」
しみじみと、僕が見出した髪を整えるようになでるユーリと対象的ななでかたにシャノンは困惑しているようだ。
「―――――――――――――――――――――――――――」
いきなり、シャノンが照れたような顔でなにか複雑な言語を発話したが、僕らは顔を見合わせて、内容が分からずどうすればいいのか良いか分からず撫でる手もとまり、シャノンに離れられる。
「――――――」
まったくわからない内容ではあるが、表情から悪感情は読み取れない振る舞いで歩いてくるくると回って僕らの後ろの位置に回ってなにかを言う。
「――――」
なにを言っているんだろう。
◆
ほかのマシンの滑車機能を持つあらゆる部位に闇の魔力で動くことがないように粘り気にも似た魔力の滑り止めで保険をかけつつ、分解のために近寄って動力らしき魔力を込められた宝石を見つけ取り外す。
「ユニーカに渡されたこれ、早速、約だったよ」
陶器のような光沢をもったそのナイフは錬気で硬さを少し調節するだけで、マシンの身体をパンを削るようにあっさりと切り分ける。
「たぶん、これだよな。ギュヌマリウス? お前にこれをあげればいいんだろ」
「あぁ、この宝石の状態は……一般的には風や雷に類する儀式魔術に使うタイプの贄だな」
「この状態で闇の魔術を解いたらいきなり動き出すとかないよね!?」
「ありえないとは言わないが、これだけ分解したら、いくらなんでもな」
大量に切り分けられたマシンだったぶつ切りのかけらを見て、残り2つの作業も取り掛かろうと中腰から立ち上がると、誰かきた。
すごく大きい魔力と、落ち着いてる魔力……抑えてる? 感じの二人組、ある程度の魔術士なら勝手に気配を感じてしまうくらいの魔力を発して動いているから隠れる気は無いみたい。
「これは……お前らが?」
「我々が討伐しました!」
敬礼してから近寄り、説明を開始するギュヌマリウスの先には、クラーラとカルラ呼ばれた預言者の子飼いとか言われていた姉妹がいた。
「あぁ、よくやった。……被害も少なく、苦労をかけた。あとで魔道教導会から正式に感謝を送るだろう。だよね? カルラ」
「まぁそうでしょうね、時間はかかるでしょうが、姉さんが言ったとおりにするのは、そういう決まりになっていますので」
カルラが僕によってきて、いくつか質問する。
「され、この断面はどうやって斬った? どんな魔術を使った」
「この短剣で」
「……その短剣は銘がないだけの魔剣かなにかい?」
「いや、そんなことはない。僕が作った」
「へぇ、使っているところを見せてくれる?」
「あ、はい……どれを、切ればいいかな?」
「なんでもいいが、次のそれを解体するところを見せてほしいな」
そう言って、何度か解体したものと同じ上半分が吹き飛んだ金属の塊から贄まで最短ルートで分解し、あとは大雑把に切り分ける。
それを二度ほど繰り返して「これでいいですか?」と、腕を広げて作業の終わりをアピールする。
「なぜ、こんな丁寧に解体した?」
「こいつら自分らで自爆したくせに、さっき、いきなり動き出してきたから分解して動かないようにしているんです」
「あぁ、そうか、だから、……そうだな、そんな執拗にね。いや、使っていっるとこ、みせてくれてありがとう」
で、切り離した魔力がこもった宝石を2つ手にとって彼女に渡す。
「で、これが、なんかの本体なんですかね? 贄っていうか、これが食事?」
「さぁ、な」
言ってはならないなようなのか、そっけなく言って離れ、ギュヌマリウスになにか話すと、また戻ってきた。
「その剣の製法を聞きたい。あいつから聞いた次の休憩予定の街にきたとき、資金を用意するから、国営銀行の支店に入ってくれ」
「えっと?」
「まとまった金には時間がかかる。だからまずは手付金として契約を結ばせてくれ、頼む」
頭を下げてくる彼女に反射的に肩を抑えて下げないように押し上げるが力負けして下げられてしまう。
ギュヌマリウス横にいた彼女の姉のクラーラは驚いた顔をしてこっちをみて睨んでいる。
「うわ! 頭を上げてください。わかりましたよ。詳しくはそこの街の銀行の支店、ヴァロヴィング王国の国営銀行の支店ですね? そこで話しますから」
「あぁ、とりあえず、私はいくつか仕事が終わったらまっすぐそこへ向かう。場合によっては使いを出す可能性もあるが、その際はすまない」
「はい」
よくわからない。が、これの製法を知りたいらしい、たぶん、仕組みを理解したら評価額下がるだろうなって思いつつもとりあえず、約束に応じることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます