16
レイラも本当は凄く泣きたかったのだ。母が
けれど、
そして、最期に見送ることさえさせてもらず、遺骨さえ手元には戻ってこない。
挙句に怖い大人に囲まれ、
「お腹すいたよ。 なにか食べようよ」
懇願する
「ここで休憩しよう。 来なよ
徐々に暗闇に目が慣れ、荒れ果ててはいるが、曲がりくねった標識やベンチから、元はバス停だったのだと、かろうじて分かる。ここには
彼らはは力なくベンチに並んで腰掛けた。
何時間歩き続けたのだろうか。二人の靴の踵は擦り減り、足も擦れ、レイラの足からは、転けた
けれど、ここには救急箱などあるはずもなく、傷を洗い流す水さえない。
レイラは突如、
保護区の白の巨塔の中、壁際の隅の家で
「レイちゃん! レイちゃんどうしたの? どうしようどうしたら...ぼく」
「大丈夫だから...」
レイラは袖で口元を拭うと、飾りと化していた首元にあるゴーグルと
大気汚染。主に化学物質と粉塵で、人間の肺や気管は犯され、酷い地域では一時間から二時間ほどで死に至るという。幸いな事に、白の巨塔内でも、ゴーグルとマスクの携帯を義務付けられていたおかげで、命拾いしたのだ。
「
「何もできなくてごめんね。 ぼくいつも役に立てない、ごめんね」
また嗚咽しだした
数時間もマスクをしていなかった、体への影響はかなり重いはずである。
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