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 両親と過ごした時間が短く、あまり覚えていないレイラや絢翔あやとにとっては、本当の父より父親だったと思う。龍鱗皮化症りゅうりんひかしょうで亡くなったために、最期に会うことは叶わなかった。それがとても悔やまれるだろう。


 龍鱗皮化症りゅうりんひかしょうは、一部では感染症だと言われている。少し触れただけで必ず感染してしまう、恐ろしい病だと。実際、最初の感染は龍からだったかもしれないが、今では人から人に接触感染している。


 感染後、四十八時間以内に皮膚に違和感や高熱、頭痛、時には嘔吐などの感染初期症状があるという。レイラは、両親やリアムの事を改めて思うと、いよいよ涙が溢れ出した。


「本当に泣き虫になったな。 普段は俺より強気なくせに、泣きたいだけ泣いとけ」


 抱き寄せられ胸にすがりついた。絢翔あやのはいつからこんなにもレイラより逞しくなったのだろうか。昔はレイラの方が身長も大きく、守って手を引いてあげていたというのに。


 泣き虫だった絢翔あやとは、いつからか殆ど泣かなくなった。レイラが先に泣くなら泣けないのかもしれないが。絢翔あやのに抱きついてレイラは、子供のように嗚咽した。

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