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「パパの遺品、これしかなかったんだよ。それに前時代の事が書いてあるんだから、面白いじゃん。 分厚すぎて、まだ全然読み終えてなけど。 ぼくより
「確かに興味はあるし早く読みたいけど、レイラの次でいいよ。 いつ読み終わるかわからないけどさ」
呆れ顔で
「ぼくの珈琲は?」
「いつも薄いって文句言うから入れてないよ」
子供のように無邪気に笑うが、このご時世にとても似つかわしくないと、レイラは毎回思う。
「ええ! もう文句言わないから、お願いしまーす」
レイラは甘えた素振りをみせてみたが、
「はいはい、本当は入れてあるよ」
そう言って、キッチンから可愛い幾何学模様柄の専用のマグカップをレイラの目の前に差し出した。
レイラはベッドに座り直し、マグカップを受け取ると、火傷しないように啜るように一口飲んだ。レイラ好みのスキムミルクと甘味料がたっぷり入ったカフェオレもどきだ。
けれどやはり薄い「水くらい薄い珈琲だね」と文句をこぼしている。今の時代、昔の珈琲を飲める方が珍しいのだが。
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