22
二人は後先の事は何も考えず、食べられるだけその場で食べて、飲んで、お腹が落ち着くと、床に大の字に寝転がった。
「生きててよかったね」
レイラの目には涙が一筋、目尻からこめかみに流れ、ゴーグルの中に溜まった。
「レイちゃんのおかげだね! ありがとう」
『この温もりを守れてよかった』と、レイラの頭の中で誰かの声がしたが、レイラは母の記憶かもしれないと、気にもとめなかった。
「ねえレイちゃん、なにかあるよ。 大きい、綺麗。 なんだろう...人?」
「それは誰かいるよ。 他にも人がいたんだから」
そう言い放ってから、レイラは自分の発言に違和感を覚えた。最後に大人の集団を見かけたのは、あの誘われた時だ。それ以降は見掛けることがなく、この倉庫にたどり着いた時も誰もいなかったのだ。
いくら広大な倉庫と言えど、大声で笑い、倉庫に響き渡るほどの声に誰も反応しないのは、おかしいのではないのか。
この倉庫の床は硬く、
レイラはその幼い頭に、父から学んだ事や、本で自ら学んだことを思案する。
だが、思案している時間が無駄であり、レイラは急いで
「
その言葉にはレイラの祈りが込められていた。
レイラの嫌な予感は加速する。
「レイちゃん、でもこれ、すごく綺麗だし動かないから大丈夫だと思うよ」
あと少し、あと少しと、レイラは息を切らせ、
そこには、人が横たわり死んでいるようだ。だが、レイラの背筋は凍てついてしまうかのような悪寒がはしった。
「
地球が蒼に染まる時、空に鳴く 藍染木蓮 一彦 @aizenkazu
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