概要
不滅の肉体、機械の脳髄、象られた魂、不朽の祈り。少女は、果てを目指す。
『不死病』は、考え得る全ての経路で人類を制圧した。
感染したものは望むと望まざるとに関わらず、死を剥奪され、言葉を失い、欲望を失い、自発的な行動を示さない不滅の存在へと成り果てる。
高高度核戦争の勃発に乗じて、感染は燎原の火の如く拡大した。
荒れ狂う大災禍の中、統治機構は機能を停止し、国境は忘れ去られ、歪みきった理想と表面的な利益の一致で結びついた新しい時代の組織だけが、厳冬の廃屋に残された篝火のように、ごくわずかに地上に残った。
降りて来たるは不滅にして不変の世界。
それは凍てついた理想郷。
だが、不滅の暗闇に、目を閉じぬ者もある。
機械仕掛けの脳髄を頭部に埋め込んだ、選ばれし不死者、あるいは取り残された罪深きものどもが、行き先と呼ぶべき全てを失った世界を、己の意思で歩いている。
不
感染したものは望むと望まざるとに関わらず、死を剥奪され、言葉を失い、欲望を失い、自発的な行動を示さない不滅の存在へと成り果てる。
高高度核戦争の勃発に乗じて、感染は燎原の火の如く拡大した。
荒れ狂う大災禍の中、統治機構は機能を停止し、国境は忘れ去られ、歪みきった理想と表面的な利益の一致で結びついた新しい時代の組織だけが、厳冬の廃屋に残された篝火のように、ごくわずかに地上に残った。
降りて来たるは不滅にして不変の世界。
それは凍てついた理想郷。
だが、不滅の暗闇に、目を閉じぬ者もある。
機械仕掛けの脳髄を頭部に埋め込んだ、選ばれし不死者、あるいは取り残された罪深きものどもが、行き先と呼ぶべき全てを失った世界を、己の意思で歩いている。
不