幼児探偵

「じけんよ～！　じけんよ～！」

　すみれ組の情報通アユちゃんのひとことで、阿形クリスティは、赤い伊達メガネをクイッと上げます。

「これは、じけんなの。じけんのにおいがするって、いったのよ」
「じけんのにおいって、どんなにおい？」
「……とにかく、じけんだってこと！」

　様々な勘違いや、圧倒的に足りない経験や知識で周りを巻き込みつつも、クリスティはちゃんと反省したり、色んなことを学びながら名探偵への道を進んでいきます。そして回を進めるごとに、大人顔負けの名探偵として、色んな人を助けていきます。

　はてさて、次はどんな事件がクリスティを待っているのでしょうか？

　とてつもなく楽しいミステリー作品と出会えました。

　主人公は阿形クリスティ。幼稚園児の女の子です。ミステリー好きの両親に育てられたため、幼いながらも探偵に憧れています。

　そんなクリスちゃんの通う幼稚園では、いつも不思議な事件が起こります。そしてクリスちゃんは探偵として事件を解決しようとするのです。
　……ですが、「小さくたって頭脳は大人！」な某国民アニメの少年とは違い、クリスちゃんは本物の幼稚園児です。そう簡単には推理で真相には辿り着けません。

　けれど、そこがとにかく面白いんです。

　「事件の匂いがする」と口にしたら、「それってどんな匂い？」と聞き返され、給食室のカレーの匂いに…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（333文字）

幼児探偵が日常の謎を解決していく微笑ましいミステリーです。

事件を解明するのが幼児なので、残酷な事件は起きません。あくまで日常の中にある謎を、幼児特有のハッとさせられる視点で解決していきます。
事件後に家族に報告する様子や、幼児探偵と周囲とのやり取りなど、物語は優しい雰囲気に包まれているのが特徴です。

残酷な描写が苦手な方、一般的なミステリーに苦手意識を持っている方にも自信を持ってオススメ出来る一作です。

興味を持った方は、是非、一読してみて下さい。

「じけんよ～！じけんよ～！」

いずみかわ幼稚園すみれ組に、アユちゃんの声が響く時、日々まき起こる難事件解決のために立ち上がる、クリスちゃんの活躍に刮目せよ。
園児たちや先生たちの性格描写も面白く、ほのぼのワクワクのミステリー作品です。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（165文字）

かのミステリー界の超有名人と１文字違いの園児、クリスティちゃんが身の回りで起こる謎を仲間と共に解決していきます。
でも、その謎は誰も傷つかず、苦しむ事無く優しい解決となります。
それでいて意外性のあるレベルの高い謎と、解決に至る思考が展開されており、園児探偵と言えど子供だましにはなっていません。

また、主人公のクリスティーちゃんを始め、園の友達や保育士の先生方のキャラクターも立っていて、個人的には児童文学としても高い水準ではないかな、と感じました。

普段の疲れを忘れて優しい気分になりたい。
それでいて質の高いミステリーを楽しみたい。

そんな方におススメです！

身の回りで起こる様々な事件を、幼児探偵の阿形クリスティちゃんがズバッと解決しちゃいます！

密室、暗号、プロファイリング……体はちっちゃくても、その推理力は本格派。
赤い伊達メガネをくいっと上げて、今日も謎に挑む！

クリスティちゃんの『なぞとき』を時には優しく時には厳しく導いてくれるパパとママ、協力してくれる幼稚園のおともだちや先生たち……そんな優しい世界観の中で進行する、平和で可愛いミステリー。
おすすめです！

自称探偵・阿形クリスティの通う幼稚園で、今日も難事件が起こる！幼稚園児とは思えぬ、鋭い洞察力を持つクリスティ。果たして無事、事件を解決できるのだろうか…？
私たちが見るのは、将来確実に名探偵として名を馳せる少女のエピソード０！

ミステリーの女王と一文字違いの主人公・クリスティさんが仲間たちと知恵を絞り、身近な謎を解決していく本作の見どころは、彼女たちのかわいさはもちろん、謎解きでありながら、人死になどの物騒な要素が排除されていることでしょう。
凶器も凶悪犯も登場しない、優しい新感覚ミステリーをどうぞお手にとってみてください。

「アガタ・クリスティ、たんていさ！」の台詞が聞ける日を心待ちにしています！