よーちえんでは事件がいっぱい!
- ★★★ Excellent!!!
とてつもなく楽しいミステリー作品と出会えました。
主人公は阿形クリスティ。幼稚園児の女の子です。ミステリー好きの両親に育てられたため、幼いながらも探偵に憧れています。
そんなクリスちゃんの通う幼稚園では、いつも不思議な事件が起こります。そしてクリスちゃんは探偵として事件を解決しようとするのです。
……ですが、「小さくたって頭脳は大人!」な某国民アニメの少年とは違い、クリスちゃんは本物の幼稚園児です。そう簡単には推理で真相には辿り着けません。
けれど、そこがとにかく面白いんです。
「事件の匂いがする」と口にしたら、「それってどんな匂い?」と聞き返され、給食室のカレーの匂いに引っ張られてしまう。
「ダイニング・メッセージ」と言葉を言い間違えて、本気で食堂に手がかりを探しに行ってしまう。
そういう「幼稚園児ならではの感性と発想」で、思わぬ方向へと展開が向かう。そして思わぬ手がかりにより、真相に到達します。
その上で最後に、クリスちゃんが事件を通して何かしらの「教訓」を得て、少しずつ大人になっていく。
通常のミステリーでは味わえない、独特なストーリー展開とほのぼの感が毎回楽しめます。
キャラクターもみんな楽しくて、読みながらニコニコと微笑まされます。「じけんよ~、じけんよ~」と開幕いつも口にするアユちゃん、失言しまくりのタロウくんと、それを止めるマイちゃん。顔が怖すぎて天然で幼児を畏怖させるヨシミ先生。
クリスちゃんを始めとして楽しいキャラクターたちが活躍するので、飽きずにぐいぐいと読めてしまいます。
一話ごとで完結しているストーリーなので、ちょっとした時間に少しずつ読めてしまえるのも魅力です。それでももったいないと思いつつ、どんどん読みたくなる魅力に満ちた作品でした。
ちなみに、個人的にオススメなのは『連続紛失事件』と『七夕暗号事件』でした。
皆さんも、可愛らしい幼児たちの探偵物語を、是非見守ってあげてください。