エピローグ

エピローグ:俺に明日はあるのか!?


「それで、この女の子があの女だって言うの?」



 只今、歩はアイナたちに取り囲まれていた。

 アルファやガンマはその少女をゴーグルを使って観察し、ベータは用心深く銃を構えている。

 デルタもタブレットパソコンでアルファやガンマからのデーター解析をやりながらチラチラとその少女を見ている。



「ふふふふふ、女よ、それ程身構えんとも大丈夫じゃ。我は主様の影故もう好き勝手は出来んぞ?」


「あゆみちゃん、どう言う事か説明してもらえるんでしょうね?」


 額に青筋立ててアイナは歩に詰め寄っていた。

 歩は脂汗をかきながら言う。



「話すから、落ちつけって! なんだよその危なそうな鎖と首輪は!?」


「あゆみちゃんの身体に教えてあげないといけないかと思ってね! で、なんでこいつが実体化してるのよ!?」


「実体化とは少し違うのじゃがな…… 我はここに在ってここに無い。いわば物質には簡単に触れられぬ幽霊なようなモノじゃ。貴様らで言う物の怪じゃな」


 ザナはそう言って歩に寄りかかりながら笑う。


「もっとも、我と主様は一心同体故にこうして主様には触れられるし、我にも主様は触れられる。やっと主様と床を一緒に出来るわい♡」


「いやザナ、その姿で言われると俺が警察に捕まっちゃいそうなんだが……」


 ザナは白のワンピースを着ていた。

 白肌に黒髪が良く似合っている。

 童女だが。


 年の頃、十歳になるかどうかといういでたち。

 間違いなく美少女なのだがどこか妖艶さもある。

 そんなザナは歩の首に手を回しゴロゴロと頬ずりをしている。



「ちょっ! 私のあゆみちゃんから離れなさいよ!! このっ! くっ!! 実体がないから引きはがせないっ!!」


「べーだ。主様よ、こんな年増放っておいて我といい事しようぞ! やっと触れられるようになったのじゃから♡」



 歩は思い切りため息を吐いてうなだれる。



「しかし、異界の親玉でもあった貴女がなぜこんな姿に?」


 アルファは努めて冷静にザナにそう聞く。

 するとザナはアルファを見ながら語りだした。



「なに、我らの世界で不足していた魔力について問題解決したので我が不要になったのじゃ。本体はあちらの世界に置いて来て、多分もう魔力に霧散されている事じゃろうて。今の我はこちらの世界に実体化出来るには魔力が足りず、かといって主様の魔力を吸いつくす訳にもいかずじゃ。なので最小限にこちらに姿を現すにはこうして体も小さくそして物理的に接触しなければ消費魔力は最低限で済むからのぉ。主様に奉仕するにはこれでも出来る故にな」


 そう言ってザナは歩の胸を揉む。



 ふみょん♡



「んぁっ♡」


「むしろ、同じ女として何処をどうすれば主様に満足いただけるかよくわかっておるからの。主様よ、今夜は寝かせぬぞぇ?」


 思わず変な声を上げてしまった歩にアイナも抱き着く。



「冗談じゃないわよ! あゆみちゃんには私がしてあげるんだから、今日こそはあゆみちゃんの初めてを私がもらうんだからぁっ!」


「うわぁ、アイナまで! やめろぉ、初めてって何だよ!?」


 

 そんな様子を見てアルファはため息を吐く。


「はぁ~、世界の未来を変えて安泰になったかと思えば今度はあゆみさんの貞操の危機ですか?」


「でもまぁ、妊娠はしないで済みそうだから良いんじゃないですか?」


「保健の先生が言うのはまずいです」


 アルファのその言葉にガンマもデルタも騒いでいる歩を見ている。

 と、歩はアイナの手を振り切って部屋から逃げ出す。

 そして階段を下りて廊下で愛菜と鉢合わせになるも、そのまま玄関へと向かう。



「うわぁっ、愛菜ごめん!」



「あ、あゆみお姉ちゃんどこ行くの!?」


「あゆみちゃん待ちなさい! 今日こそ私が女にしてあげるんだから!!」


「なっ! アイナお姉ちゃん!! あゆみお姉ちゃんに手を出したら許さないよ!!」



 後ろでいがみ合う声を聴きながら歩は家を飛び出すと、今度は恵菜に鉢合わせになる。



「あ、あゆみちゃん今ちょうどあゆみちゃんの家に行こうとして…… ちょ、ちょっと何処行くの!? あゆみちゃん!!」



「ごめん、恵菜!」



「あゆみちゃん!」


「あゆみお姉ちゃん!!」


 しかし歩はそのまま駆け出す。

 その後ろではアイナや愛菜、恵菜が歩を呼ぶ声がするも、歩は一目散に走りだす。



「はっはっはっ、マイスイートハニーあゆみ、元気にランニングかい? ちょうどよかった、あゆみの姉上に、お、おいあゆみ!?」


「ほーっほっほっほっ、あらあゆみじゃないの? ちょうどよかったですわ、お姉様に…… ちょ、ちょっとあゆみ!?」



 何故かあゆみの行く先で土岐速見凛や大雲寺魔理沙にも出会う。

 だが歩はそんな彼女らに目もくれずに逃げ出す。


 そしてそんな歩の後ろを女たちが追いかける。



「あゆみちゃん!」


「あゆみお姉ちゃん!!」


「あゆみちゃん!」


「おいおいあゆみ!」


「おーっほっほっほっ、この私を無視するとは良い度胸ですわ、あゆみ!!」



「どひぃ~っ!!!!」


『ははははっ、主様はもてるのぉ。流石は我が伴侶じゃな』


 既に歩の影の中に潜むザナはそんな事をほざいて面白そうにしている。

 しかし逃げる歩は涙目で叫ぶ。




「なんで俺ばっかっ!? こんなんで俺に明日はあるのかよぉ~っ!?」


 



 さてさて、歩の女難の相はより濃くなってゆくのだった。






 ―― 未来から来た妹はお姉ちゃんで、俺は可愛い妹?~女の子になっちゃった俺に明日はあるのか!?~ ――



 おしまい


**************************************

あとがき


 まずは、ここまで読んでいただいた読者様に感謝申し上げます。


 無理無茶無謀の三冠王企画を立てたのにもかかわらず、期間以内に10万文字達成できずに失敗した作品となってしまいました。

 申し訳ございませんでした。


 さて、本作は元々は「ラブコメ」枠であったのですが、内容詰めすぎた為、「現代ファンタジー」に移籍させていただきました。

 どうせコンテストには間に合わなかったので除外作品ですし、枷が外れるまでは他のコンテストにも投入できませんしね。

 何せ、本作中のラブコメ要素が薄いので。

 あ、でも本作の後に続くプロットはもっと各キャラクターとのイチャイチャが強く、ラブコメ要素が濃厚になると言う予定だったんですけどね~。

 コンテスト期限終わったので、次の作品に取り掛かりたいので続きは書かないつもりなんですよ。

 なので、「現代ファンタジー」と。


 で、今回はかなり無理した上に、今まで以上にぶっこみを多くして「起承転結」の「転」を大盛り込みました。

 最後の方で息切れしちゃいましたけど、まあ検証小説と言う事で。

 

 もともと他のサイトでプロ作家様の「Web小説を呼んでる読者は飽きっぽい」と言う言葉を受け、思わず自分ですって挙手しちゃったわけです。

 途中までしか読んでいないで止まっちゃってる作品が多い事。

 時間ないんですよ~(言い訳)。


 で、その先生がおっしゃるにはそんな読者をつなぎとめる方法として「転」をふんだんに盛り込むとか。

 なるほど、読者に休む暇を与えずに脳みそがバグるくらいお話を二転三転させれば興味を持ってもらえると言う事か!

 じゃあやってみよう(笑)。

 それがこの「未来から来た妹はお姉ちゃんで、俺は可愛い妹?~女の子になっちゃった俺に明日はあるのか!?~」でした。


 実際やってみてプロットがしっかりあれば書いていて面白かったのでそこそこ満足だったりして。

 お話の整合性が微妙にずれたりしてるような気もしますが、そこは勢いとノリでカバーと。

 まあ、そんな訳で主人公である歩(あゆみ)にはこの後も苦労してもらいましょう。


 本作を呼んでいただき、お星様やハート、応援のコメント等々大変ありがとうございました。

  再度、御礼申し上げます。


 一応この物語も終りに出来てほっとしております。

 さてさて次なる物語でまた皆様にお会いできるでしょうか?


  それまで皆さんにも良いカクヨムライフを!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

未来から来た妹はお姉ちゃんで、俺は可愛い妹?~女の子になっちゃった俺に明日はあるのか!?~ さいとう みさき @saitoumisaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ