名前。

　唯一無二のわたしを肯定する存在。

　結婚するまで、苗字が嫌いだった。あ行の苗字。

　小さくて今ひとつパッとしなくて、引っ込み思案だったわたしが、学校で一番に呼ばれてしまう。数人の見本さえあれば上手く立ち回れるのに、一番にされることで無駄に萎縮して失敗する。

　結婚してや行の苗字になり、名前とのアンバランスさ、繰り返しの心地悪さは確かにあったけれど、学生ではなくなったこともあり、なんと素晴らしき開放感！　ありがとう、ダーリン！　と思ったものだ。

　小説で主人公の名前を考える。

　カタカナで、覚えやすくて、でも物語での役割を担えるような名前。できればエピソード一つ分くらいを稼ぎたいし、物ボケではないけれど名前ボケが出来ると良いわけで。

　英語のありきたりを嫌って、ドイツ語やラテン語に手を出して混ぜ込む。フランス語は雰囲気が合わず、舌を噛むような名前は却下をし……。

　そうやって決まった名前だけれど、実際に書いていくと変換が面倒で、なんでこんな名前にしたんだよと一人腹を立てることになる。

　中心人物の名前は決まっても、今度はモブキャラや地名などに翻弄される。最近はありがたいことにAI様が幾つかのアイディアをくれ、そのアイディアから遠く離れた名前に落ち着くことが多い。

　これ、対人だったらいろんな絆やらシガラミやらで胃（・）酸（・）過多で胃に穴が開く事態なのだけれど。ああ、ありがたやAI様は気に入った名はつけてくれないが、没アイディアは幾らでも出してくれる。

　以前、AI様とはいえ、あまりの申し訳なさにうっかり謝罪した。

「承知しました。ありがとう、ごめんなさいの意味を持つ名前の候補を以下のように考えました……」

　噛み合わない会話の虚しさは二度と味わうまい。無料A Iは、広告表示でイライラを募らせ、あと少しのところで本日分を終了するという血も涙もないやつだけど、やっぱり瞬時に反応してくれるのはありがたく、情熱の無いアレキサンドライト(赤にも緑にも変化する性質)のようだと割り切って付き合っている。

　皆様はどのように名前をつけていらっしゃるのでしょうか？

　12月13日

　ちなみにトランプのジャック、クイーン、キングにはモデルさんがいらっしゃるのですね。

　クローバーの十三は……なるほど！

　アレキサンダー大王だそうです。

　12 名前あれこれ　12月13日

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