23 リボンを貰った。 12月2日

 リボンを貰った。

 細くて長いリボン。艶めいたそれはエメラルドのように深い透明な緑色。


 よちよちと歩く幼児が欲しい欲しいと手を伸ばしたので、くるり腰に巻いてやった。

 キャキャと声を出して喜ぶ姿に、幾重にも輪を作ってキュッと締めれば、美しい大輪の花。

でもまだ余る。まだまだ長いそれを腰から垂らした子に足元を掬われないか、気が気でなく、こちらもよちよちついていく。


 ああ、ごめん。

やはり、やっぱり長すぎた。


 細くとも腰のあるリボンに、ザリザリと庭隅に隠れていたサワガニが釣れているのだ。よちよちとおぼつかない足取りに、ひょいひょいと巧みな揺れを誘って。


クスリ。 まあいいか。

いつまでもふたりの時間は愛おしいものだ。

愚かな母はしばし幼子との一時を楽しむ。


ただ思い出の一コマを見た1日。


12月2日

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