11 ぷう  12月14日

ぷう

 

 可愛い頬を膨らましてすねる。

「もう、怒っちゃうから!」


 うんうん。君、既に怒ってるでしょう?

 こうなってくると、その膨らました頬がただ愛しくて、わたしを映すその瞳がいじらしくて。要求を飲みたくなる気持ちと、いやいや、こんなに可愛いのだからもう少しこのままでいて欲しいという気持ちが交錯する。


 懐かしいアルバム。

 濃青の空に薄い雲が数個伸びて。さわさわと髪を揺する風に若草の匂い。あの場にいた全てが笑顔で、あの場にいた全てが嬉しさで満たされていた。


 君は輪の中心に居て、きっとその後、満面の笑みになる。頬を膨らました理由は、もう彼方に消えてしまったけれど。愛しさは形を変えて、永遠に続くのだ。


 君の隣にはもう違う人が居て、次の輪の中心はきっと小さい君の分身。

 素敵だね。嬉しいね。ただ共に喜べることに感謝する。


 あのね、なことはね、大切な気持ちを伝えること。


 あなたが大切。あなたが大好き。あなたが愛しい。


 言葉でなくていい。

 ただ髪を撫でる仕草で、ただ頷く瞳で、ただ振り向いた笑顔で。


 伝えて、伝えて、伝え続けて。


 今は頼りない輝きかもしれないけれど、続ければきっとダイヤモンドの輝きになり、世界中の何にも負けない、強い強い愛になるから。


 えっ? 重ね言葉はよくないの?


 な愛は繰り返すことで強くなるから。気にしないで。


 いつまでも 二人

  もうすぐ 新しい人生を歩む君へ。


 12月14日

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