10 レール 12月15日
レール。
ーー物事を運ぶ道筋。
ガタンゴトン。
軽快なレール音が好きで、よく電車に乗る。我が家は旅行といえば鉄道で行くことが多く、たまに車で遠出をすれば手持ち無沙汰だと何度も途中下車をする羽目になり、目的地に着けないという事態すら発生してしまう。
その点、鉄道はいいようで。わたしに言わせれば鉄道だってただ乗っているだけで、何が車と違うのかと思うのだが……。
家の近くの鉄道は、ただ真っ直ぐに繋がる線路が見える場所があり、そのストレートラインの美しさときたら、それだけで線路よ偉大なりと言える代物なのである。
陽が当たれば、その熱すら感じさせる鉛色で、雨が当たれば雫をぱちぱちと弾き返す様さえ見て取れ、夕暮れには薄暗い空から徐々に照らされ艶めいていく。
ファーーンと歪んだ空気のような警笛音が心地よくリビングに届く日は、ああ今日の風向きはこちらなのねと心まで走りだす。
家から東の方向にある駅は月を見るのも美しく、特に十五夜の頃は駅舎と電車と満月が三揃えで並び興味深い。
仕事帰りに運よく三揃えを拝むことができると、それだけでちょっと嬉しい気分になるのだが、オタク息子曰く、互いの輝きをぶつけ合い、美しさが台無しとのこと。
まぁ、どちらの美しさかよ、と悪態をつきたくなるのだけれど、ムーンストーンの濁った美しさもあるのだから。わたしは気を持ち直すのだ。
レールよ、レール。
欲は言わない。欲の塊だけれど。
あっちもこっちもで申し訳ないけれど、どうかわたしに、いいえ、読者様に
12月15日
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