15 好きなもふもふ達  12月10日


 好きなもふもふといえば、やっぱりワンコでしょうか?


 昔から犬派、猫派なんて分かれるけれど、「お手」「お代わり」「伏せ」などと芸をしてくれる犬に憧れていた。子育てに一段落した親が犬を飼ったというのも大きいだろう。


 だが夫の実家は犬も猫も飼っていた。気まぐれに、必要最低限に、身体をすり寄せてくる猫のよさを知った。

 そして、実家も夫家も、共に中途半端な躾しかできない馬鹿犬育成家と知り、飼うのなら金魚一択かもしれないと、もふ飼い欲に蓋をしたのである。


 異世界ファンタジーの素晴らしきところは、犬だろうが熊だろうが、オオカミだろうがフェンリルだろうが、美しき人語を話し(話せなくても意思の疎通ができ)、たいした世話や手入れもなく、ふわふわでサラサラでホワンホワンな体毛を、思い切りもふもふさせてくれるところだ。

 下世話な臭いを彷彿とさせる場面もなく(たまにはあえて描かれるが、一日に数回があるはずの行為に対して圧倒的に少ない)、食事の準備すら不要。(飯テロ系は別)


 ぬいぐるみ大好き少女だったわたしは、いまだに十個以上のぬいぐるみを、並べて、愛でて抱きしめて眠るのだけれど。実はこのもふもふで、とても悩んでいる。


 生かせないのである。


 陽の光を一身に受けて美しく艶めく様も、ふわふわと人々の心を慈しむような柔らかな毛の質感も、美術品のように鍛えられたたくましき肢体とその絶妙なバランスも。

 ラピスラズリのような華やかなだったり、ターコイズブルーのような深みを帯びていたり、ガーネットのような神秘的だったりする魅惑的な瞳も。


 もふもふが登場さえすれば「もふタグ」をつけても良いのだろうか? いや、それではもふもふファンに失礼なのでは? もふ様が登場したのであれば、書き手としてもふ様を生かすのは使命なのだけれど。


 生かせないのだ。


 もふもふが生かされるような活躍と、もふもふの素晴らしさを伝える描写と。もふもふがそのもふもふらしさを遺憾なく発揮してもふもふでよかったと思える活躍をし、もふもふに主人公も読者様も癒される、そんなもふもふストーリーを作りたいのだけれど。


 ただの登場もふもふになりさがってしまっているもふもふりょく不足なのである。


 ふぅ。そしてーーーーもふの偉大なる力にすっかりどこがもふ(描写)でどこがもふもふ(登場動物)なのかわからなくなったわたしは、ここで話をぶち終わることにしたのだった。


 12月10日

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