7 都会から離れて  12月18日

 都会から離れらたここは、夕方には早い時間でも夜のとばりが降りてくる。十八時ともなればあたり一面真っ暗闇だ。

 街灯も少なく、闇の中、車を走らせれば、真っ直ぐに伸びるライトの先すら漆黒に溶けてしまう。


 高層ビルから見る赤、黄、オレンジ、青などのカラフルな光は、宝石箱をひっくり返したような、光の絨毯のような賑やかな美しさがあるが、田舎では全てがポツポツと途切れてしまうために、雨天前の月傘のようにぼやけた光になる。


 けれども、田舎で見るイルミネーションは、実は格別な美しさがある。皆様は知っているだろうか?


 それを見るコツ 「離れて」

         「じんと冷えた空気で」

         「大好きな人と」

         「突然に見える角度から」

         「愛を忘れず」


 真っ暗な道を行く。

 できれば離れた場所に車を置いて。(田舎ゆえ、車は必須) 大好きな人と一緒に、冷えた空気を楽しみつつ、真っ暗に近い道を歩く心細さ。

 道を曲がろう。または裏手から行こう。

 突然に目に飛び込んでくる光の共演は、驚きという調味料で一層クッキリとするのだから。


 音のないひっそりとした闇に映えるカラフルな光と、寒さに際立つ吐息の白さと、離れた位置からの広がる輝きは、森の木々の不気味な暗さと対比して一層に輝きを放つのだ。

 決して近寄ってはいけない。ぐるぐると巻かれた庭木や取ってつけた電球らの間抜けな線らが露わになってしまうのだから。それらを見抜けないほどの距離を保って。

 そしてその光景は、住民のささやかな善意でできているのだから、敬意と愛を忘れることなく。


 そんな絶妙なシュチュエーションは完璧にはないかもしれないけれど、その一欠片でも体験してほしいと思う。

 そして、ぜひに空を見上げてほしい。目の前の光達が多少強烈であろうとも、見上げた空にも負けない輝きがあり、冷たくも優しくて、小さくとも愛しい世界に誘われるだろうから。

 そして感じるだろう。踏みしめる足裏のずっとずっと先のこの星のエネルギー。ガーネット、ダイヤモンド、サファイアにペリドット。強く輝く美しい仲間達が、内包されいることを。


 いつまでも、離さないで。

 いつまでも、離れないから。


 12月18日。


 イルミネーションは心を癒し、気持ちを明るくすることで運気を上げる。


 

 

 

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