21 クローバーを探そう! 12月4日

クローバーを探そう!


 子どもの頃十円を握りしめ、近くの空き地によって四つ葉のクローバーを探した。見つかったら運がいい日。くじつきの飴やガムを買うのです。見つからなければ、運がない日。外れても気にしないものか、一口チョコを買う。


 今の子は十円で買い物をすることはほとんどないだろう。淋しいものだ。



 わたしが通った大学は、とても田舎にあった。

 仔細は省くけれど、大学の授業で田んぼ道を楽しむという嘘のような本当の授業。何の専攻かはご想像に任せる。


 おしゃれを始めた学生達が、可愛いヒールできゃぴきゃぴ声を上げて立ち止まる中、汚れたズック(靴)で小躍りして突っ込んで行ったわたし。

 まだ水を張る前の草原であった田はレンゲやクローバーが豊かに茂っていた。凸凹激しい広大な野っ原ともいう。


 意気揚々とタンポポをちぎって笛を吹きつつ、レンゲとツメクサで花冠。葦のような細い草で縦笛を吹き、オオバコを見つけて一人相撲。シャラシャラとぺんぺん草の鈴を鳴らし、ツユクサを潰してブルーの色を確かめ……。まだ早いアメジスト色のカラスノエンドウを選別、分解、口に加えて鳴らす頃には、麗しきお嬢様方が不思議な者を見るかのような瞳を寄越した。


 教授が口をあんぐり開け、そのあと苦笑いをしたとか。翌年からその授業がなくなったのは偶然なのか、教授のプライドを折ったからなのか?


 今もシロツメクサを見かけると、クローバー探しをしたくなる。


 せの象徴クローバー。あなたの心にホンワリ、ムーンストーンのような輝きをもたらすかも。

 


12月4日。

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