第6話 あにといもうと

「お父様、その子はだぁれ?」

「おまえの妹だよ」

お父様は嬉しそうに笑った。腕の中のちびな子供は眠っている。

「いもうと…?」

母様はもう居ないのに。妹が出来るの?

「吸血種としては、この子の方がお姉さんになるかな」

「??」

「仲良くしてあげなさい」

「はい!」


庭師のハンスに聞いた所、ちびは人間達が取引する商品だったという話だった。

魔王様のご公務に付き添ったお父様は身寄りのなかったちびを引き取って来たらしい。

「ハンス。人間は子供を売るの?」

「一部ではそういう商売があるらしいですよ。ぼっちゃん」

「折角生まれた子供を?」

「人間達はおっかねぇ。おいらにゃ理解出来ませんよ」

そういってハンスは笑った。


ちびは僕より先に「大人」になった。

大人になったら僕をちゃんとしたヴァンパイアにしてくれるって言ったのに、というまだ小さいちびだけずるいと言うと、お父様は僕とちびの時間に合わせると仕方がないと笑っていた。


ちびは何をするにも僕の後をついて回っていた。

うっとおしい。本当のきょうだいでもないくせに。

僕はちびに辛く当たるようになっていった。


ちびは少しだけ背が伸びたけれど何年経ってもちびのままで、僕はあっという間にちびよりずっと大きくなった。


少しだけ、寂しかった。


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