第12話 そのカフェの女店主を守れ! 2ndミッション

【髙橋】視点

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 ついにこの日が来た。


 さあ、今日こそ、泉天いずみにこのの良さを100%わからせてあげるとしよう。

 

 駐車場で待っていると、泉天が、『Cafe・プリマヴェーラ』に続く林道の方から歩いて来た。泉天は、白のワンピースにつばの広い白のハットを合わせた清楚な装いだ。泉天の清楚にして透明さが、引き立ち実に美しい!

 良かった。俺の今日の白のジャケットに白のパンツのコーディネートにもピッタリ合っている。


「おはよう、泉天。その白のワンピース素敵だね、泉天の美しさを引き立てていてとても似合っているよ」

 俺は、ニカっと微笑みを言葉に唱和させる。

「あ、ありがとうございます。先輩も素敵です」


 お!

 泉天もほんのり顔を赤らめて恥ずかしそうにしているな。

 フっ、俺も罪な男だな。また、一人美しい女性を虜にしてしまいそうだ。


「じゃあ、行こうか。えーと、行きたいところがあったんだよね?」

「はい。お店の食材の買い出しをしたくて」

「オーケー、オーケー。付き合うよ。その後食事でいいよね?」

「はい」


 カチャリッ


 俺の自慢の愛車白の『B〇WのSUVタイプX』だ。俺は助手席のドアを開ける。

 フっ、イケメンがドアを開けると、ドアの音さえ優雅に聞こえる。

「レディー、さあ。どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

「さあ、行こう」


 俺は、B〇WSUVを走らせる。

 悪い・・。俺は「華麗」と言う言葉が好きだ。

 実にイケメンの俺に相応しい言葉ではないか。


※色々髙橋こいつにツッコミを入れたくなると思いますが、もう少しお付き合いください。


「今日はいい天気で良かったね。この辺は夏でも涼しんだね。窓を開けていても気持ちいい風が入って来て清々しい気分になる」

「はい。私もここが気に入っています」

「泉天、ニカッ!」

 俺は、泉天がこっちを向いたタイミングで白い歯を見せて微笑む。

 

 名付けて、『キラースマイル俺』!

 

 さあ!

 泉天の反応は、どうだ?


「はあ・・・」

 あれ?反応が・・・、おかしいな。


 では、もう一度。これなら、どうだ!


「泉天、フッ!」

 今度は、泉天に10度の角度をつけた流し目を向けて微笑む。

 10度の角度が大事なのと俺ということが必須だ。

 

 要は、このでないとダメだということだ!


※すいません。途中で読むのやめないで、もう少し髙橋こいつにお付き合いください



「はい?」


 な、何だ!

 この何と反応していいかという困った表情は?

 おかしい・・・。

 俺の女性が必ず落ちる『キラースマイル俺』が泉天には、効かないだと?

 馬鹿な!

 あり得ないぞ!

 も、もう一度だ!


「泉天、ニカッ、フッ、ニカッ!」

 どうだ?『キラースマイル俺』は!

「せ、先輩!ま、前見てください。車がふらついています!」

「え?ああ、ごめん」

 俺は、前を向き、慌ててハンドルを戻した。

 

 な、何をやってるんだ。俺は?


「ふう」

「うふふふ、うふふふ」

 泉天が、突然堰を切ったように笑い出した。

「泉天?」

「先輩、相変わらず、私を笑わせようとするんですもの」

「ああ、そう。そうだよ。泉天の笑顔を見たいからね」

 そう言って、ニカっと白い歯を見せて笑う。

「うふ、うふふふ。もう、笑わせないでください」


 どうやら、泉天は、大きな勘違いをしているようだ。

 俺は、彼女を落とそうと思ってキラースマイルを送っているのだが、泉天は、俺がギャグか何かでやっていると思っているようだ。


 何故だ!

 何故泉天には、俺のキラースマイルが効かないんだ・・・。

 そう、苦悶していると・・・。

 

「せ、先輩、先輩?」

「ああ・・」 

「大丈夫ですか?顔色が悪いですよ。体調が悪いのでしたら今日は止めてもいいですから」

「え、嫌、そんなことは無いよ。絶好調、絶好調。ちょっと風が・・冷たかったのさ。フッ」

 そして、俺は、10度の角度の流し目で泉天に微笑む。

「うふふふ、もうおかしい」

 泉天は、口に手を当てて笑っている。


 いかん、完全に俺のキラースマイルが、笑いのツボになっちゃってるよ!



 そうだ、ここは、話題を変えよう。

 気になっていたことを訊くか。

「泉天、そう言えばカフェのバイトの男の子、〇〇君だっけ?彼とはなの?」

「どんなって?店主と従業員ですよ」

「それだけ?」

「はい」

「そうなんだ」

「〇〇君は、とても素敵な子です。気遣いもあって、優しくて、一生懸命で、誠実で。毎日とても助けられています。彼が来てくれてからお店の方の仕事もとても楽になりました。やろうと思っていてできなかったことも彼が手伝ってくれたから実現できましたし。本当に感謝していますね」

「ふ~ん。何か泉天、とても楽しそうだね」

「そうですね。充実していると思います」

「それは、〇〇君に俺も感謝しないといけないかな。でも〇〇君は、どうして泉天のところで働いているの?」

「お店に来られたお客様でした。私が困っていると思って、自分からお店を手伝うって言ってくれたんです。それから、住み込みで働いてもらっています」

「住み込みだって!泉天、それで彼とは何もないのか?彼も男だろう?泉天のことを・・」

「な、何を言ってるんですか!〇〇君はそんな子じゃありません。とても紳士的です。それに、私は〇〇君より10歳近くも年上なんですから、私なんて〇〇君の恋愛の対象にならないですよ」

「いやいや、泉天はとても魅力的だ。若かろうと関係ない。〇〇君だって男だよ」

「そ、そうでしょうか・・・」

「そうだよ。で。泉天の方は、どう思っているの?」

「え?」

 泉天は、考え込む。

 そして、少ししてから言った。


「私は、〇〇君を応援したいと思っています。彼と初めて会った時、彼は人生のどん底にいたんです。きっと立ち直ったら、元の彼のいた場所に戻ると思います。それを応援したいと思っています。プリマヴェーラは、彼が疲れを癒すためにちょっとだけ立ち寄った木なんです」

 泉天は、目を伏せて落ち着いて言った。

「ふーん、泉天は、それでいいんだ?」

「はい」

 彼女はニッコリ微笑んだ。

「なら、いいけど。フフ」

「はあ」


 俺は、泉天が、○○を好きなのかと疑ったが、まだそこまで感情が整理されていないのだろう。これは、チャンスだ。このまま二人が一緒にいれば、今はそうでなくても、どう転ぶかわかったものではない。


 フフフ、今日、泉天の心を俺に向けさせるぞ!



 ショッピングモールの市場に行くと、泉天は肉や野菜、調味料などの食材を次から次へと買っていく。

「うぐぐっ。重い」

 両手、両肩に袋一杯の荷物を持って市場を出た。

「先輩、大丈夫ですか?」

 泉天も大きな荷物を持っているが平気そうだ。

「何の、これしき」

 歯を食いしばり、俺のB〇Wまで持って行き、バックドアを開けて、荷物を詰める。結構トランクルームが一杯だ。

 しかし、毎回これを買うのかな?

 俺は、いい汗をかいてしまったが、泉天は、平気そうだ。


「じゃあ、食事に行こうか。ちょっと離れてるけど、いいレストランを予約したんだよ。」

「そんな。買い物に付き合って頂いた上に、レストランなんて。この辺でも美味しいところありますから、そこでいいですよ」

「泉天と行きたくて予約したの。一緒に行ってくれるよね」

 俺は、ニカっと白い歯を見せて笑う。

「すいません。わざわざ」

 泉天は、あまり嬉しそうに見えなかった。

 しかし、レストランに行けば変わるだろう。



 高速道路も使いつつ1時間ほど走ってやって来た。

 山頂付近の見晴らしの良い高台にある高級フレンチレストラン『サミット・ヴィスィタ』だ。

 俺は、ここに泉天と来たかったのだ。


 店専用の広い駐車場にB〇Wを止めた。

「さあ、着いたよ」

「はい」

 車を降りて、レストランの方に歩いて行くと、青空に溶け込みそうなほど青い近代風なレストランの建物がある。その横にある螺旋の階段を上ると、眺望を楽しめるようベンチや椅子を配置した屋上に上がれるのだ。

 ここから晴天の青空の下、山々が連なる尾根と田園風景、町の中の建物が遠く見渡せた。

「どうだい。この景色は?泉天にどうしても見せたかったんだよ」

「すごいです。こんな場所にレストランがあるなんて・・・」

 泉天は、瞳を大きく見開いて景色を嬉しそうに見ていた。

「山頂のレストランさ。気に入ってくれた?」

「はい」

「良かった。さあ、中に入ろう」


 俺は、泉天をエスコートして、高級フレンチレストラン『サミット・ヴィスィタ』に入った。


 フっ、ここからが勝負だ!


(すいません。ウザかったと思いますがまだつづきますのでお付き合いください)

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